頭取の意向で業績不振に陥った帝国航空を担当することになった半沢だが、思わぬ横槍が入る。政権交替により、有識者会議で承認された修正再建プランが白紙撤回され、国土交通大臣の鶴の一声で再生検討チーム「タスクフォース」が立上げられた。半沢対タスクフォースの戦いが始まった・・・。半沢直樹シリーズ4。
有識者会議で決定された修正再建計画。それが白紙撤回され、国土交通大臣の私設諮問機関「タスクフォース」が立上げられた。だが、それは本当に帝国航空の未来を考えてのものではなかった。それは、面子のためであり、私利私欲のためだった。帝国航空再建を利用しておのれの欲求を満たそうとする者たちが群がってくる。そして、タスクフォースの乃原が銀行側に債権放棄を迫り、半沢たちと激しく対立する。
今回の戦いの相手は、巨大権力を持つ政府機関、大臣、政界の実力者だ。今度はいくら半沢でも無理なのでは?と思った。だが、半沢は怯まなかった。相手がだれであろうと、間違ったことをする人間は許さない。真正面から堂々と立ち向かっていく。帝国航空は再生することができるのか?債権放棄をしなければならないのか?すべてタスクフォースの思い通りになってしまうのか?過去の融資問題とも絡み合い、事態は思いがけない方向へと進んでいく。そしてしだいに真実が明らかになっていくが、それは諸刃の剣だった。相手を打ち負かすことはできるが、こちらも相手と同じくらい深い傷を負う。「半沢!どうする!?」読んでいて目が離せなかった。ひたすらラスト目指して読み進む。そして・・・。
半沢に達成感はあるのだろうか?あるとしたら、それは悲壮感を伴ったものではなかったのか?この作品の冒頭にある牧野治の遺書は、いったいどんな意味を持つのか?彼は何のために死んだのか?彼は本当に死ななければならなかったのか?私には分からない。銀行の体面と人の命、どちらが重いかは明白なはずなのに・・・。頭取の中野渡の言葉も胸にずしっとくるものだった。
少々マンネリ化してきたかなと思うが、このシリーズは本当に面白い。一気読みだった。次回の半沢の活躍に期待したい。