罪の轍(奥田英朗)
2020.01.12 Sunday
昭和38年、漁師の手伝いをしていた青年・宇野寛治は、窃盗事件を起こす。住んでいた北海道・礼文島にはいられなくなり、彼は東京へ逃亡する。その東京で起こった強盗殺人事件、そして幼児誘拐事件。このふたつに宇野は関わっているのか?刑事・落合昌夫の執念の捜査が始まる・・・。
子供のころのある出来事が原因で、宇野は脳に機能障害を抱えている。子供たちからは「莫迦」と呼ばれる。そんな宇野が事件を起こす・・・。
この作品で描かれている幼児誘拐事件は、昭和38年に起こった「吉展(よしのぶ)ちゃん誘拐事件」を彷彿とさせる。
「身代金を受け取りに来たところで犯人を逮捕し、子供を無事両親のもとへ返す。」警察の必死の捜査が始まる。本当に宇野が犯人なのか?先が気になり、ページをめくる手が止まらなかった。
面白いと思う。だが、かなりの長さの作品で、少々うんざりした。ここまでの長さが果たして必要だったのか?個人的には、疑問だ。ダラダラ感が強いので、もう少し的確にコンパクトにまとめたほうがよかったと思う。また、これだけ長いのに、ラストは意外とあっさりだったので拍子抜けした。犯人が犯行に至った経緯も描写がイマイチだった。こういう部分こそ、長くなってもいいから丁寧に描くべきではなかったのか。読後、感動が得られなかったのも残念だった。
ちなみに・・・
吉展ちゃん誘拐事件を扱ったノンフィクションは、おススメです!
→ 「誘拐」(本田靖春)
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