花野に眠る(森谷明子)
2015.03.01 Sunday
両親の離婚問題に心を痛める少年。落雁をめぐる騒動。そして、白骨死体などなど・・・。新人司書・文子の周りで起きるできごとを描いた短編集。「れんげ野原のまんなかで」の続編。
この作品には5つの話が収められている。それらの話は所々で微妙につながり、やがてひとつの真実につながっていく・・・。
日向山から発見された白骨死体は誰なのか?文子は、先輩たちの助けを借りながら真実に迫っていく。そしてたどり着いた真実は、あまりにも悲しいものだった。
誰からも理解されない。誰からも疎まれ必要とされない。人並みの幸せを求めることも許されない。そんな状況の中で自分を否定しながら生きていかなければならないとしたら、こんなにつらいことがあるだろうか。ひとりの人間についての真実は、あまりにも切ない。
ストーリー構成がとてもよかった。ひとつひとつの話が心に染み、物語の中にどんどん引き込まれていく。重い内容だが、作者が、温かな目で見つめ優しく描いているのが救いだった。静かな感動を与えてくれる、読みごたえのある作品だと思う。面白かった。
「れんげ野原のまんなかで」を読んだのは、2005年3月だった。ちょうど10年前だ。その時も思ったが、「秋葉図書館」のような図書館が身近にあったらどんなにステキだろうと思う。私も、もっと図書館と仲良くなりたい。ならなければ!
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