約束の海(山崎豊子)
2014.09.10 Wednesday
1989年7月22日、海上自衛隊の潜水艦と釣り船が衝突!そのときから、若き士官花巻朔太郎の苦悩が始まった。一方、朔太郎の父花巻和成にも壮絶な過去があった。父と子の壮大な物語。
第1部では、潜水艦と釣り船の衝突という大きな事件の中で苦悩する朔太郎を描いている。自衛隊という組織の中で順調に昇っていくはずだった朔太郎は、厳しい現実の中に投げ込まれることになる。海難審判の描写も緊迫感があり、胸に迫るものがあった。はたしてこれからどうなるのか?頼子との関係も気になるところだ。
作者は、第2部では真珠湾攻撃に参加した朔太郎の父和成のことを、第3部では第2部最後のシーンから数年後のこと(父の和成は死去)を描こうとしていた。この作品は壮大な物語になるはずだった。それが、作者が亡くなったことで未完になってしまった。第1部しか読めないのは、本当に残念でならない。
作品は未完になってしまったが、この作品に込められた作者の思いはしっかりと受け止めたいと思う。戦争とは、平和とは、そして国を守るということは・・・?あらためて考えてみたい。
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