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みずうみ(いしいしんじ)

「朝の水くみは、どの家でも、いちばん年若い息子の役目だった。」
人々の暮らしに深く関わってきた「みずうみ」。それは人々の命さえもつかさどる。水にまつわる不思議な物語。

人と水との関わりは、「人類」というものがこの世に存在した時からずっと続いてきたのだろう。この作品を読んでいる間中、常にそういう思いにとらわれていた。人類を誕生させたのも「海」という水。そして、人が生まれるまで命をはぐくんでいるのも「羊水」という水の中。自分自身も、水の中でふわりとゆれているような錯覚を覚える。「不思議な話」だけでは終われない何かがこの作品にはあった。それは人としての本質なのかもしれない。文字の裏に隠された作者の思いは・・・?ぞくっとするような怖さが見え隠れする。



| いしい しんじ | 18:06 | comments(0) | ゆこりん |


雪屋のロッスさん(いしいしんじ)

ロッスさん。彼は、望まれればどんなところにも雪を降らせることの出来る有名な雪屋だった。ある日、雪を憎む男が現れたが・・・。表題作を含む30編の作品を収録。

190ページ足らずの本の中に収められた30もの物語。中には、読み始めたと思ったらあっという間に終わってしまったものもあった。だが、短いけれど心にしっかり残る作品も数多くあった。心の奥底を見せられたような気がしてはっとした話、語られる言葉の中に深い意味を秘めた話、、行く末を切なく感じる話・・・。中にはどうしても理解できないものもあったが。
この作品を読んでいると、子供の頃おとぎ話を読んでいた気持ちを思い出す。あの時の感覚とそっくりだ。この作品はおとなのためのおとぎ話と言ってもいいのではないだろうか。いしいしんじの世界を思いっきり楽しめる作品だった。



| いしい しんじ | 15:43 | comments(0) | ゆこりん |


麦ふみクーツェ( いしいしんじ)

とん たたん とん♪
「ねこ」の心の中にはいつもクーツェの麦ふみの音が響いていた。いろいろな人たちとの出会いを通して、「ねこ」は本当の意味での音楽を知る・・・。心の再生の物語。

「ねこ」と彼の祖父と父、用務員さん、局長、盲目の元ボクサー、チェロの先生、みどり色など、いろいろな人のいろいろな人生。それは音楽のさまざまな音色のようだ。悲しい音色、楽しい音色、苦悩の音色。だが、それがひとつになったとき、思わぬ美しい音色が生まれ出ることもある。「とん たたん とん」麦たちはその音を聴きながら踏まれ、そして強くなる。人も、さまざまな人生の音色を聴きながら強くなる。音楽が人を再生していく。まるでこの作品全体がひとつの音楽のようだ。人の心の中にある音楽。私はいったいどんな音色なのだろう。自分の心に耳を傾けてみたくなった。



| いしい しんじ | 20:43 | comments(0) | ゆこりん |


ポーの話(いしいしんじ)

貧しいけれど幸せな日々。泥川でうなぎを捕る「うなぎ女」を母に持つポーは、愛情に包まれて成長していた。やがて彼はメリーゴーランドと知り合い、一緒に悪事を働くようになる。だがある夏の日に、彼の運命は一変する。500年に一度という大雨が穏やかな川を濁流に変え、ポーをはるか彼方へと運び去ってしまった・・・。心打つ、感動の名作。

この作品を読むと、自分が今こだわっているものや執着しているものが、とても無意味に思えてくる。もっと大切なものがあるのではないだろうか?そんな気持ちにさせられる。この世の中の全てのものには、必ず表と裏がある。だが、ポーにはなかった。ポーは表も裏も、ポーのままだった。そのことに気づいたとき、なぜか泣きたい気持ちになった。
「心の奥底で、間違ったことをしないのが大事。」
「うれしい大切なことより、悲しい大切なことの方が多い。だから悲しい分、いっそう大切に扱わなくてはならない。」
「目の前に、くっきり見えてるものしか信じられなくなるのが、いちばんつまらないし、いちばん悲しい。」
この作品の中で語られる言葉の一つ一つが胸に迫る。読後も、静かな感動が余韻となって、いつまでも心に響いていた。 オススメです!



| いしい しんじ | 16:08 | comments(0) | ゆこりん |


白の鳥と黒の鳥(いしいしんじ)

肉屋の主人の自慢は物まね。動物の鳴き声が得意で、その物まねを聞けば今日はどんな肉が入ったのかを知ることができた。彼の家族は無口な妻と「ラー」しか言えない息子。家族はいつも幸せそうだった。「肉屋おうむ」など19編の作品を収録。

いしいしんじの独特の世界。今回はその色合いがいっそう濃くなっているようだ。人間も植物も動物もみんな同じ。そこには境界線はまったくない。みんな、自然の中で暮らす生き物として捉えている。作品の中には作者の言わんとすることが見え隠れしているけれど、読んでも読んでもそれに手が届かないもどかしさがある。読み手の理解力を超えた作品なのだろうか・・・。



| いしい しんじ | 15:42 | comments(0) | ゆこりん |


ぶらんこ乗り(いしいしんじ)

ある日出てきた古いノート。そこには、まだ幼かった弟が書き綴ったお話しがあった。不幸な出来事で声を失い、それでも笑っていた弟。動物の心が分かると言っていた弟。遠い日の出来事を、胸がしめつけられるほど切なく描いた作品。

読んだあと、ふいに涙がこぼれた。弟の心の奥に隠された悲しみ。笑顔の陰にあった、ガラス細工のような繊細な心。夜、一人ブランコの上で寂しさに震えながら、彼は何を思っていたのだろう。誰もそれを理解することはできなかった。この作品の中に挿入されている、弟が作った物語。その一つ一つも心にしみる。いしいしんじの独特の世界は、私を不思議な感動で包んでくれた。



| いしい しんじ | 16:27 | comments(0) | ゆこりん |


プラネタリウムのふたご(いしいしんじ)

ある秋の日、プラネタリウムに捨てられたふたごの赤ん坊。彼らは「テンペル」、「タットル」と名づけられ、プラネタリウムの解説員泣き男の愛情に包まれて成長する。やがて一人は手品師に、もう一人は星の語り部となった・・。

長編小説なのだが、まるで童話を読んでいるような感じがした。テンペル、タットル、それぞれを取り巻く人たちは、どの人もみなやさしい。心がほのぼのとしてくる。離れ離れになったテンペルとタットルの再会が楽しみだった。それぞれの道を歩み始めた二人がどんな話をするのか、楽しみだった。それだけに、ラストの切なさが心にしみる。「大切なのは、誰かが自分と同じものを見て喜んでいると、心から信じられること。そんな相手がこの世にいてくれること。」タットルにそう話す泣き男の言葉が深く心に残った。



| いしい しんじ | 10:51 | comments(0) | ゆこりん |