みずうみ(いしいしんじ)
2007.06.27 Wednesday
「朝の水くみは、どの家でも、いちばん年若い息子の役目だった。」
人々の暮らしに深く関わってきた「みずうみ」。それは人々の命さえもつかさどる。水にまつわる不思議な物語。
人と水との関わりは、「人類」というものがこの世に存在した時からずっと続いてきたのだろう。この作品を読んでいる間中、常にそういう思いにとらわれていた。人類を誕生させたのも「海」という水。そして、人が生まれるまで命をはぐくんでいるのも「羊水」という水の中。自分自身も、水の中でふわりとゆれているような錯覚を覚える。「不思議な話」だけでは終われない何かがこの作品にはあった。それは人としての本質なのかもしれない。文字の裏に隠された作者の思いは・・・?ぞくっとするような怖さが見え隠れする。
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