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トムは真夜中の庭で(フィリパ・ピアス)

弟のピーターがはしかにかかったため、いやいやよその家に預けられることになったトム。その家の古時計が真夜中に、あるはずのない時刻・・・13の鐘を打つとき、昼間なかったはずの庭園が現れた。時を超えた不思議な物語。

時は流れている。過去から現在、そして未来へ。過去の世界へ行くということは、昔からの人類の夢でもあり、あこがれでもあった。そんな夢やあこがれを見事に描いている。トムが真夜中の裏庭で知り合うのは、過去の時代に生きている少女だ。古時計が13の鐘を鳴らすとき、何の変哲もない扉が未知の世界への入り口となる。読んでいてワクワクした。トムとハティ、2人の生き生きとした描写が印象的だ。トムが、預けられている家から自分の家に戻る日が近づいてくる・・・。また、裏庭やハティの様子も変化していく・・・。残りのページが少なくなるにつれ、どんなラストが待っているのかとても心配だったが、読者を感動に導くすばらしいラストだった。児童文学に位置づけられている本だが、大人が読んでも充分に楽しめる内容だと思う。



| フィリパ・ピアス | 17:45 | comments(0) | ゆこりん |