朽ちていった命(NHK「東海村臨界事故」取材班)
2007.02.13 Tuesday
1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工施設で臨界事故が発生した。大量の放射線を浴びた大内久さんの、83日間にわたる壮絶な闘病記録。
読んだ後、かなりのショックだった。その状態がしばらく続いた。頭の中を、読んだばかりの本の内容がぐるぐると回っていた。これは人的災害だった・・・。マニュアルを無視した、あまりにもお粗末な作業内容。安全性の考慮のかけらもない。
大量の放射線を浴びると人はどうなってしまうのか?それは恐怖の一言に尽きる。骨髄細胞の検査で判明した染色体の破壊。そのことは、今後新しい細胞が作られないことを意味していた。古い細胞から新しい細胞への入れ替わりがない体。再生できない!朽ちていくだけなのだ。現代の最新医療をもってしても、それを止めることは不可能だ。こんなにも放射線被爆というのは凄まじいものなのか。遺伝子レベルでの破壊が起こるのだ。最後まであきらめることのなかった大内さん本人、ご家族の方たち、そして医療現場の方々。壮絶な闘病記録は、読んでいて胸が痛くなるほどだった。
原子力の利用。それはこれからも続くのだろう。原子力を利用しようとする限り、この事故のことを決して忘れてはならないと思う。つねに危険と隣りあわせだということを認識していなくてはならない。あらためて、この事故の犠牲者の方々の冥福を祈りたい。オススメです!!
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