みかづき(森絵都)
2017.01.14 Saturday
1961(昭和36)年, 小学校の用務員として働く吾郎は、用務員室で子供たちに頼まれて勉強を教えていた。やがて、用務員室は大島教室と呼ばれるようになる。そんなとき、大島教室に通うひとりの少女の母親・赤坂千明が現れる。彼女の立上げる塾に来てほしいと誘われた吾郎は・・・。
1961(昭和36)年。まだ塾の存在が社会に認められていない時代だ。吾郎は千明と結婚し、学習塾を立上げる。順風満帆ではない。紆余曲折を経て、塾はしだいに成長していく。だが、成長し規模が大きくなるにつれて、千明と吾郎の考え方の違いが明確になっていく。理想を追い求める者と現実に根ざそうとする者。やがて、ふたりの間には亀裂が生じていく・・・。
親から子へ、子から孫へ。時代は流れていく。その流れの中で、塾の有り様も変わっていく。塾の存在が認められる半面、国の教育機関との関係が問題化する。奔走する千明。見守るしかない吾郎。そして、そんな両親を見つめる3人の子どもたち。いったい日本の教育はどこへ行こうとしているのか?混沌とした状況の中、塾はさまよい続ける。そして、行きついたところは・・・。
単行本で約460ページの、親子3代にわたる壮大な物語だ。千明と吾郎が追い求めるもの、彼らの3人の子どもたちや孫のそれぞれの人生、それらは感動的なはずなのだが、読んでいてそれほど感動することはなかった。登場人物の生き方や考え方にも共感できる部分は少ない。熱く語られる教育論も、読んでいる途中で飽きてしまう。情熱がこちらまで伝わってこない。高評価の作品なので期待して読んだのだが、それほど面白いとは思えなかった。
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