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そしてバトンは渡された(瀬尾まいこ)

まるでリレーのように、次から次へと親というバトンが渡されていく。けれど、血のつながらない親たちと優子の間には、確かな愛情と絆があった。心温まる物語。

実の母は早くに亡くなった。その後再婚した父は、再婚相手と娘の優子を残し、ブラジル(?)へ。優子は、血のつながらない親たちに育てられることになる。彼らはさまざまな事情から、優子の養育を次の者に引き継いでいく。彼らに共通しているのは、優子をこよなく愛しているということだ。親として、限りない愛情を注いでいる。そんな育ての親たちの気持ちを優子もしっかり受け止めている。血がつながっているとかいないとか、そんなことは関係ない。愛情や信頼で結びついていれば、りっぱな親子なのだ。
こんな大人たちがたくさんいれば、幼い子供たちへの虐待もなくなるかもしれない。幼児虐待が頻繁に起こっている今の世の中の状況を見ると、そう思わずにはいられない。
ちょっと切ないところもあるけれど、ほのぼのとした心に残る作品だった。



| 瀬尾 まいこ | 21:59 | comments(0) | ゆこりん |


春、戻る(瀬尾まいこ)

結婚を控えたさくらの前に、突然ひとりの男性が現れた。さくらより12歳も年下なのに、彼は”さくらの兄”だと主張する。いったい彼の正体は?その目的は?

さくらの前に突然現れた”兄”だと名乗る男性。「12歳も年下なのになぜ兄なのだろう?」彼の正体が知りたくてあっという間に読んでしまった。
「おにいさん」は、明るくて、少々お気楽主義で、さくらだけではなく彼女の周りの人たちも笑顔にしてしまう。最初は警戒していたさくらも、彼に心を許していく。だが、それと同時に、忘れようとしていたつらい過去のできごとがさくらの心に影を落とす。「おにいさん」はそんなさくらにそっと手を差しのべる・・・。
登場人物はみんなとてもいい人で、悪意を持った人はひとりも出てこない。「おにいさん」や周りの人たちの思いやりが、いつしかさくらに過去と向き合う勇気をくれた。人生は自分の思い通りにはいかない。つまづいて、転んで、ケガをする時がある。でも、自分の人生にとって何が一番大切かに気づいたとき、人は再生することができるのではないだろうか。
心が温まる話で、読後感もよかった。でも、ひとつだけ気になることがある。それは、「おにいさん」のことを誰も怪しいと思わなかったことだ。さくらより年下で、しかも自分の名前を明かさなかったのに。これだけはとても不思議だった。



| 瀬尾 まいこ | 20:13 | comments(0) | ゆこりん |


温室デイズ(瀬尾まいこ)

学校が、クラスが崩壊していく!!何とかしようとみちるが行動を起こそうとしたとき、つらい現実がせまってきた・・・。

クラス崩壊やいじめの問題は珍しくなくなっている。だからと言って見過ごすことはできないのだが・・・。一人の人間が標的にされていても、誰もとめる人はいない。担任までもが見て見ぬふりをする。こんなことが実際に多くの学校で起こっている。読んでいてつらかったが、反面怒りも感じた。一人を寄ってたかってみんなでいじめることに何の罪悪感も感じない今の子供たち。それをとめようともしない大人たち。世の中、どこかおかしい。中学校生活はもうぬるま湯ではないのだ。見せかけだけの「温室」の中にいる子供たちは、これからどうなるのだろう?先が全く見えないことに、とても不安を感じた。



| 瀬尾 まいこ | 20:10 | comments(0) | ゆこりん |


優しい音楽(瀬尾まいこ)

人と人とが出会い、そこからいろいろな思いを紡いでいく。優しい時間、優しい関係、そして優しい心。読んでいて心が温まる3つの作品を収録。

恋人に亡き兄の面影を重ねる「優しい音楽」、不倫相手の子供を預かる「タイムラグ」、人間を拾ってきた「がらくた効果」。どの作品もそれぞれにとても優しく描かれている。人と人との出会いや関わりは、思いがけないところから生まれる。この作品に登場する人たちは、そういうことをとても大切にしている人ばかりだ。読んでいて心が癒されてくる。そして優しい気持ちになってくる。心の清涼剤のような作品だった。



| 瀬尾 まいこ | 16:50 | comments(0) | ゆこりん |


幸福な食卓(瀬尾まいこ)

自殺に失敗した父。そのことに対して自分を責め続け、疲れ果てて家を出た母。そして父はある日突然「父さんを辞める。」と宣言する。そんな家庭でも、父と直と佐和子は毎日朝食を一緒に食べた。本当に大切なものは何か?楽しくて、そしてちょっぴり切ない物語。

母が家を出て、父が父を辞めると宣言した家。どんなにひどい家庭なのだろうと思うが、そこには暗さが微塵もない。壊れかけているという感じもない。父は父であり、母は母であり、兄は兄であり、そして佐和子は佐和子だった。それは何一つ変わらない。バラバラに見えても、心がしっかり一つになっている。そのことは佐和子を襲った突然のある出来事のときの、家族の行動を見ても分かる。楽しいときも悲しいときも、家族はいつも温かく見守ってくれる。大切なものは私たちの身近にある。身近すぎてたまに忘れることもあるけれど・・・。心がほかほかと温かくなってくる作品だった。



| 瀬尾 まいこ | 22:12 | comments(0) | ゆこりん |


天国はまだ遠く(瀬尾まいこ)

疲れきった心や体。だれにも救いを求めることができず、最後に選んだものは自殺。だれも知らない遠くで死のうと決心し、たどり着いた先は・・・。心癒される作品。

千鶴がやって来たのは、豊かな自然に囲まれた木屋谷の民宿。人々は自然の中に溶け込んで暮らしている。満天の星、新鮮な野菜、豊富な魚。そして山や海。千鶴は、ここには何でもあるような気がした。だが、彼女は気づく。ここにないのは自分の居場所だけだと。彼女の居場所は今まで暮らしてきたところにあるのだ。どんなにつらくても、彼女の居場所はそこなのだ。そう気づいたとき千鶴は・・・。読んでいて、心がやさしくなってくる。民宿の田村さんの人柄も、とても印象的だった。



| 瀬尾 まいこ | 08:16 | comments(0) | ゆこりん |


図書館の神様(瀬尾まいこ)

同じバレー部だった山本さんが自殺したのは、私のせい?なりたくてなったわけじゃない国語の講師、そして文芸部の顧問だったが、傷ついた清の心は少しずつ癒やされていった・・。心が温まる作品。

どんな人にも、心の中には悩みがあるし、傷もある。それを癒やしてくれるのは、時の流れと、人の思いやり。清の心を癒やしてくれたのは、図書室でいつも一緒だった垣内君。それに弟の拓実と不倫相手の浅見さん。特別なことをしたわけではない。何気ない日常の思いやりが、心を癒やしていくのだ。その過程がとてもよく描かれていた。本の整理を終えた後の清と垣内君のハイタッチ、そして山本さんのお母さんからの手紙のところではじんときた。清はきっと、人の心の痛みが分かる、思いやりのある先生になるだろう。



| 瀬尾 まいこ | 08:11 | comments(0) | ゆこりん |


卵の緒(瀬尾まいこ)

僕は母さんの本当の子じゃない・・。」育生は母にへその緒を見せてほしいと頼むが、母が出してきた箱に入っていたのは、卵の殻だった。表題作「卵の緒」と「7’s blood」、2編の作品を収録。

「卵の緒」は血のつながらない母と子の物語。
血がつながらないということを、それほど深刻に考えていない母。育生自身もそのことを、悲観的には考えていない。母に愛されている。それだけで充分なのだ。実の子さえ虐待する世の中。この「卵の緒」は、家族にとって何が大切なのかを教えてくれた。
「7’s blood」は異母姉弟の物語。
姉の七子、弟の七生。一緒に住むようになり、次第に心を通わせていく姿は胸を打つ。ラストシーンは、涙が出た。どちらも家族のあり方を見直させてくれる、とても素敵な作品だった。



| 瀬尾 まいこ | 08:04 | comments(0) | ゆこりん |