ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶(大崎善生)
2005.07.14 Thursday
出会いがあり、そして別れがあった。愛し合い触れ合っていたときのぬくもりの記憶をいつまでも心にとどめたまま、人は歩き続けていく。4つの愛の物語を収録。
自分が愛した人のことは、何年たっても決して色あせることはないのだろう。たとえ別れのときに心が傷ついたとしても、人はいつかその傷を淡い思い出に変えていく。この本の中にはそういう人たちが息づいていた。さまざまな愛し方、さまざまな別れ方。4つの物語はまったく違う愛の物語だが、彩る色はどれもブルーというイメージが強い。それは海の色だったり、水の色だったり、空の色だったり・・・。
こういう恋愛もあるのだろう。でも作者の描く世界に入り込めない。妙に飾られた世界は、全ての出来事をガラス越しに見ているようなもどかしさある。淡々と読み進めるしかない作品だった。
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