世界中が雨だったら(市川拓司)
2005.07.13 Wednesday
愛してほしい人に愛されず、学校ではいじめられてばかり。「雨が降ったら軒下に逃れればいい。」の言葉に、「でも、世界中が雨だったら?」そんなことを言っていた少年は、つらい現実から背を向けた!表題作を含む3つの作品を収録。
愛というものを知らない少女。愛されることを望む少年。女性をどう愛すればいいのか分からない青年。そこに描かれているのはゆがんでしまった愛だった。どちらを向いても出口が見えず、閉塞した世界の中にいるような息苦しさを感じる。どこにも救いを見出せない。作者の描く世界はいつも独特の雰囲気を持っている。だがその世界は頼りなく、ふわふわと漂っている。そこからつかみ取れるものはない。読後、物足りなさだけが残った。
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