ちょうちんそで(江國香織)
2015.01.05 Monday
架空の妹と会話しながらひとりで暮らす雛子。そんな彼女のところへやって来る人たち。雛子は孤独なのか・・・。そして、雛子の秘密とは?
最初から最後まで、穏やかなときの流れを感じる。特別な事件が起こるわけでもなく、驚くような出来事が隠されているわけでもない。そんなゆったりとした流れの中の話だが、登場する人たちが抱えるものは実にさまざまだ。いろいろな人とのしがらみ、人の心の表と裏、過去と現在・・・。人の持つ多種多様な断片が、どこかで微妙につながっている。そのつながり方はさりげないけれど、何か深い意味を持っている。雛子の生き方に共感はできなかったが、雛子をめぐる人と人とのつながりはなかなか面白かった。
現実的な部分と現実離れした部分が絶妙に絡み合い、独特の雰囲気を作り出している味わいのある作品だと思う。
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