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琥珀の夢(伊集院静)
 

1879年(明治12年)1月30日、両替商・鳥井忠兵衛に次男・信治郎が誕生した。やがて彼は、日本に新たな風を巻き起こす・・・。サントリー創業者・鳥井信治郎の生涯を描いた作品。

明治、大正、昭和・・・。日本は激動の時代だった。日本が世界と対等に渡り合える力をつけようとするこの時期に、信治郎はおのれの夢を実現すべく奔走する。「本格国産ウイスキーを造る!」そのためにはどんな労力も惜しまない。周囲の反対、莫大な借金、数々の挫折・・・それらを乗り越え、ひたすら突き進む。人が喜ぶ優れたものを作るために。恐ろしいほどの情熱だ。彼は、商売には厳しかった。だが、人を思いやる心は決して忘れなかった。とても人情があり、人を惹きつける人柄だった。
幾多の困難を乗り越えて、信治郎の苦労が報われる時が来る。それはとても感動的だ。何度失敗してもくじけずにそこからさらに先に進もうとする鳥井信治郎。彼の生き方は、多くの教訓を私たちに遺してくれた。「やってみなはれ」信治郎のこの言葉が胸を打つ。
人間味あふれる感動的な話だった。多くのことも学んだ。面白かった。



| 伊集院 静 | 23:25 | comments(0) | ゆこりん |


ノボさん(伊集院静)

野球に夢中で、そして俳句・短歌・小説・随筆等にも夢中だった。子規の未来は輝いていた。やがて彼はひとりの青年と出会う。夏目漱石だった。子規と漱石、ふたりは固い友情で結ばれていく。正岡子規の人生を鮮やかに描いた作品。司馬遼太郎賞受賞作。

子規と漱石を中心に、明治期に活躍した多くの著名人が登場する。子規はこんなにもいろいろな人と交流があったのかと驚いた。彼には人を引きつける魅力がある。彼のもとには大勢の人が集まって来る。子規は、たくさんの人に影響を与えた。だが、彼は病魔に襲われる。自分は長生きできないと悟った子規は、残りの人生を自分が本当にやりたいことのために使った。子規の運命は知っているはずなのにそれでも「こんなに無茶をしたら病気が悪化するのに。」と読んでいてハラハラせずにはいられなかった。凄まじい闘病生活の中、苦しみや痛みと闘いながら彼は多くの作品を世に残した。明治という時代を駆け抜けた子規の人生は、強烈に胸に迫って来る。漱石との友情にも感動した。
心を揺さぶられる、読みごたえのある作品だった。一度読んでみることをオススメします。



| 伊集院 静 | 21:51 | comments(0) | ゆこりん |


駅までの道をおしえて(伊集院静)

失われたものはもう二度と戻ってはこない。そのことをどうしても認めることの出来ない少女と老人。二つの心が触れ合ったとき、原っぱの中の線路を電車が走った・・・。表題作を含む8つの作品を収録。

過ぎ去った日々、逝ってしまった人。手を伸ばしても、もう二度と触れることは出来ない。人は時々自分の心の奥からそれらを取り出し、懐かしむだけだ。人それぞれに、それぞれの悲しみや喜びがある。作者はしっとりとそれらを描いている。読んでいて、切なくてたまらなくなる話もある。しかし、誰かを、何かを、想い続ける人たちの姿は、とてもまぶしかった。心に余韻が残る話ばかりだった。



| 伊集院 静 | 19:58 | comments(0) | ゆこりん |


ぼくのボールが君に届けば(伊集院静)

野球をしていたグラウンドの草むらで、少年は青いガラスで出来たピエロの人形を拾い、警察に届けた。ピエロの人形を捨てたのは、病気で入院している「ソウ」という男の子。少年はソウのために、試合でホームランを打つと約束するが・・・。表題作を含む9つの短編を収録。

どの話も野球にまつわるエピソードが書かれている。それは過ぎ去った日々の懐かしい思い出であったり、生きていく張り合いであったり。この作品を読んでいると、キャッチボールがとても素敵なことに思えてくる。人は、いろいろな人生を抱えて生きている。だがどんな人でも、キャッチボールのときは笑顔になる。それはボールと一緒に、お互いがお互いの心を受けとめ合っているからではないだろうか。切ない話が多かったが、読んだ後にやさしい気持ちになれる作品だった。



| 伊集院 静 | 15:30 | comments(0) | ゆこりん |


機関車先生(伊集院静)

わずか120人の人が暮らす葉名島。この島にある生徒7人の水見色小学校。この小さな学校に、一人の先生が赴任した。彼は小さい頃の病気が原因で、口がきけなかった・・・。

美しく自然豊かな島。その中で暮らす人たちの悲喜交々。人々の日常は決してきれいごとばかりではない。悩みもあればいさかいもある。貧しさゆえの悲劇も起こる。それは大人たちばかりの問題ではなく、子供たちの中にもある。「機関車先生」と呼ばれる吉岡誠吾。彼は口がきけないけれど、精一杯のやさしさで子供たちに接する。言葉にしなくても、心から心へと伝わるものがあるのだ。ほのぼのとした思いが伝わってくる、ちょっぴり切ない作品だった。



| 伊集院 静 | 14:26 | comments(0) | ゆこりん |


岬へ(伊集院静)

父の反対を押し切っての東京の大学への進学。そこでのいろいろな人とのかかわりの中から、しだいに大人として生きるすべを学んでいく英雄。家を継がないという英雄の真意を知った父との決別、弟正雄の遭難事故、旧友との切ない再会。人との絆を強烈に感じさせる、海峡、春雷に続く自伝的作品の第3部。

人はどんなことがあっても逃げてはいけない。生きていかなければならない。英雄は人とのふれあいの中で、確実に何かをつかみ取り、新たな1歩を踏み出していく。決して忘れてはならないもの、それは英雄に対するさまざまな人の思いだ。その思いを無にすることなく歩んでほしい。人は人に支えられて生きているのだから。



| 伊集院 静 | 12:24 | comments(0) | ゆこりん |


春雷(伊集院静)

さまざまな友との友情、淡い思い、差別的な教師への反抗、弟への兄弟愛、父への反抗心の芽生え。少年から大人への微妙な心の動きを瑞々しく描く、海峡に続く自伝的作品の第2部。

主人公英雄の心の動きがていねいに描かれていて、好感が持てる。ちょっと背伸びしてみたい多感な時期の経験は何ものにも替え難い。少年はこうして大人になっていくのだとあらためて思った。



| 伊集院 静 | 12:21 | comments(0) | ゆこりん |


海峡(伊集院静)

いろいろな事業を展開する父、それを陰で支える母、家に出入りする、父のところで働く者たち。さまざまな人間のいる家で、英雄は長男として生まれた。人との出会いと別れの繰り返しの中で、英雄はしだいに成長していく。3部からなる自伝的小説の第1作目。

幼年時代の英雄の心の動きや、それを取り巻く人達の心情などがとてもよく描かれている。英雄は日常生活の中の出会いや別れを通して、人間の喜びや悲しみをつかみとっていく。そして、だんだんと精神的に成長していく。その過程がとても面白い。これから英雄がどういう人生を歩んでいくのか、目が離せない。



| 伊集院 静 | 12:19 | comments(0) | ゆこりん |