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カラーひよことコーヒー豆(小川洋子)

「縁日で売っていたカラーひよこを誰も知らない!」
その事実に驚くと同時に、耳にコーヒー豆のような疣ができた愛犬の老いを感じる・・・。あらためて時の流れを感じた作者の思いを綴った表題作「カラーひよことコーヒー豆」を含む31編を収録。

表題作「カラーひよことコーヒー豆」を読んで、作者と同じくびっくりしてしまった。そうか!今の若い人は縁日で売られていたカラーひよこの存在を知らないのか!私は知っている。実際に売られているのを何度も見た。作者の書いているとおりに、色づけされたひよこたちは長生きできない。でも、例外も知っている。友だちが買ったカラーひよこはたくましく成長し、りっぱな雄鶏になった。そして、毎日夜明けに凄まじい声で鳴いた。「コケコッコー!!」近所迷惑になった雄鶏のその後の運命は・・・悲惨だった。
何げない風景の中に見え隠れるする出来事をそっと掬い取り、自分の思いを重ね合わせて言葉を紡いでいく。そんな感じのする作品だ。読んでいると心がほっこり温かくなる。癒されます!



| 小川 洋子 | 21:19 | comments(0) | ゆこりん |


人質の朗読会(小川洋子)

地球の裏側の名もない村からもたらされたのは、日本から遺跡観光に出かけた人たちが拉致されたという衝撃的なニュースだった。そして、事件から100日以上経過したとき、犯人そして人質全員が死亡するという悲劇的な結末が訪れた。命を落とした人質8人が遺したものとは・・・。

今はすでに亡くなってしまった8人。その8人の声がテープから聞こえてくる。静謐な時間の中で、それぞれが自分自身のことを冷静に語っている。幼い頃の思い出を語る人、人生の転機になったできごとを語る人、自分が遭遇した不思議な体験を語る人・・・。彼らはどんな想いで語っていたのだろう。少しは未来に希望を持っていたのだろうか?けれど、読み手である私は知っている。朗読している人たちに未来がないことを。いつもの日常生活に戻れないことを。その過酷な現実が、心に突き刺さってくる。胸が痛い。
彼らがどういう状況下におかれていたのかについては、まったく描写がない。けれど、描写がない分、よけいに悲惨さや哀切さが強く伝わってくる。今はいない彼ら。朗読会の声だけが、彼らの生きていた最後の証だなんて悲しすぎる。人は生きなければだめだ。生きて生きて生き抜かなければだめなのだ。どんなことがあっても。そのことを強く感じた。「命」について考えさせられた、余韻が残る作品だった。



| 小川 洋子 | 18:08 | comments(0) | ゆこりん |


やさしい訴え(小川洋子)

夫との生活に疲れ、逃れるように山あいの別荘に来た「わたし」。そこで出会ったのは、チェンバロ作りをしている新田氏とその弟子の薫さんだった。「わたし」はしだいに新田氏に振り向いてほしいと思うようになるのだが・・・。

冷静さを装った何気ないしぐさや言葉、目線の描写などが、逆に、心に燃えている激しい情熱を感じさせる。だが、「わたし」がどんなに新田氏の心をつかもうと努力しても、新田氏と薫さんとの間には入れない。「振り向いてほしいのに振り向いてくれない・・・。」嫉妬に苦しむ「わたし」の様子が、生々しく描かれている。人の心の中に隠されている感情描写が絶妙だった。ひとつ上の大人の恋愛を味わうことができる作品だと思う。



| 小川 洋子 | 19:00 | comments(0) | ゆこりん |


薬指の標本(小川洋子)

事故で薬指が欠けてしまったことが原因で職場を辞めた「わたし」が次に見つけた働き先は、標本作りをするところだった。ここを訪れるさまざまな人たちは皆、思い出の品々を持ち込んでくるのだが・・・。表題作を含む2編を収録。

どんなものでも標本にしてしまう弟子丸氏。そこで働く「わたし」は、いつの間にか弟子丸氏に愛情を感じてしまう。だが、彼の心が分からない。自分を見てほしい。振り向かせたい。その思いが「標本」と結びついていく・・・。その過程は、読んでいてぞくぞくする。表題作「薬指の標本」は、不思議な世界をのぞいているような作品だった。もうひとつの「六角形の小部屋」も独特の雰囲気だった。懺悔室のようだが、そこは単なる「語り部屋」なのだ。だが、そのひと言では片付けられないものがその部屋にはある。狭い部屋の中には別の世界が際限なく広がっているようだ。ラストに感じる喪失感が心に残る。どちらも作者の感性が光る作品だった。



| 小川 洋子 | 15:03 | comments(0) | ゆこりん |


海(小川洋子)

結婚のあいさつに行った泉さんの実家には、両親と90歳の祖母と10歳下の小さな(?)弟が住んでいた。夜弟の部屋で、僕と弟が語ったことは?表題作を含む7編を収録。

「海」はとても不思議な話だった。ざらざらした手で心を逆なでされるようなざわざわした感触を味わった。僕が泉さんの実家で体験したことや、僕と弟の会話。何気ないといえば何気ないことなのだろうが、読んでいて引き込まれていった。鳴鱗琴の音色はどんな音色なのか?
また、特に印象に残ったのは「ひよこトラック」だった。言葉を介さない男と少女の触れ合いが細やかに描かれている。「命」に対する作者の思いも垣間見えるし、ラストのまとめ方もとてもよかった。
どの話にも深みがあり、行間にさまざまなことが隠されているようで面白かった。



| 小川 洋子 | 14:28 | comments(0) | ゆこりん |


ミーナの行進(小川洋子)

母と二人暮しの朋子は、母が洋裁の腕をみがくために1年間洋裁学校に通うことになったので、その間伯母のところへ預けられることになった。伯母の家族、そこで働く人たち。そしてすてきな家。決して忘れることのできないできごとを、あざやかに描いた作品。

伯父さん、伯母さん、ローザおばあさん、米田さん、小林さん、そしてミーナ、朋子。みんなひとつの輪になっているような、確かなつながりが感じられる。どの登場人物も、とてもすてきな人たちばかりだ。朋子が1年の間に得たたくさんの思い出は何物にも替え難い。ミーナと同じものを見て同じものに感動したことは、生涯忘れることはないだろう。こんなにすてきな思い出を持っている朋子を、とてもうらやましいと思う。1972年から1973年の出来事として書いているが、この時期私もミーナや朋子と同じように、ミュンヘンオリンピックのバレーボールを見て感激していた。だから、彼女たちに共感できることがたくさんあった。そういう意味ではとても懐かしいものも感じた。心温まる、すてきな作品だった。



| 小川 洋子 | 18:27 | comments(0) | ゆこりん |


まぶた(小川洋子)

Nと初めて会ったのは、Nが鼻血を出して倒れているときだった。Nは、病気でまぶたを切り取られたハムスターを飼っていた。ずっと見続けなければならないという行為は、いったい何をもたらすのか?表題作を含む8編を収録。

見る、見ない。睡眠と覚醒。光と闇。生と死。そこにはまぶたが深く関わっている。目を閉じるだけで、自分が別の世界に引き込まれてしまったような感覚を味わう。まぶたは薄い皮なのに、時には人の心を左右するほどの力を持っている。作者の描く世界は独特だ。時には摩訶不思議で、時にはちょっぴり怖く、そして時には涙が出るほど切ない。この作品を読み終えてまぶたを閉じた時、その時に作者の思いが見えてくるような気がする。



| 小川 洋子 | 14:52 | comments(0) | ゆこりん |


ブラフマンの埋葬(小川洋子)

「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
夏の始まる頃に現れて、夏の終わりに逝ってしまったブラフマン。心にちょっぴり切なさをおぼえる作品。

「創作者の家」と呼ばれるそこには、夏の間さまざまな芸術家が創作のために集まってくる。その人たちの世話をする男のところに、ブラフマンはやって来た。それは、飼い主とペットという関係ではなかった。友情という固い絆で結ばれた者同士だった。心の奥に寂しさを抱えた男と、親にはぐれたブラフマン。お互いがお互いの寂しさを分かっていたような気がする。出会いがあれば別れがある。その当たり前のことが、とてもつらく感じられた。



| 小川 洋子 | 09:48 | comments(0) | ゆこりん |


博士の愛した数式(小川洋子)

何人もの家政婦がやめていった家。そこに住むのは、事故のため記憶が80分しかもたない、数学の天才学者だった。博士と私と私の息子のルート、3人の愛情あふれる出来事をつづった心温まる作品。

毎日通ってくる家政婦の顔さえ覚えられない。博士にとっては毎日が初対面なのだ。背広にクリップで留められたたくさんのメモが何とも物悲しい。博士と私だけの味気ない雰囲気を明るく楽しいものにしたのは、私の息子、博士がルートと呼ぶ11歳の少年だった。博士と少年の心の触れ合いが胸を打つ。博士はずっと温かな家庭を求めていたのではないだろうか。黙々と机に向かい数学に打ち込むのは、もしかしたら数学が好きなだけではなく、寂しさを紛らすためだったのではないだろうか。それにしても、数学がこんなに素敵な物語を奏でるなんて、想像も出来なかった。数学の中に隠された、たくさんのロマン。ますます数学が好きになる。



| 小川 洋子 | 11:59 | comments(0) | ゆこりん |