カラーひよことコーヒー豆(小川洋子)
2014.04.12 Saturday
「縁日で売っていたカラーひよこを誰も知らない!」
その事実に驚くと同時に、耳にコーヒー豆のような疣ができた愛犬の老いを感じる・・・。あらためて時の流れを感じた作者の思いを綴った表題作「カラーひよことコーヒー豆」を含む31編を収録。
表題作「カラーひよことコーヒー豆」を読んで、作者と同じくびっくりしてしまった。そうか!今の若い人は縁日で売られていたカラーひよこの存在を知らないのか!私は知っている。実際に売られているのを何度も見た。作者の書いているとおりに、色づけされたひよこたちは長生きできない。でも、例外も知っている。友だちが買ったカラーひよこはたくましく成長し、りっぱな雄鶏になった。そして、毎日夜明けに凄まじい声で鳴いた。「コケコッコー!!」近所迷惑になった雄鶏のその後の運命は・・・悲惨だった。
何げない風景の中に見え隠れるする出来事をそっと掬い取り、自分の思いを重ね合わせて言葉を紡いでいく。そんな感じのする作品だ。読んでいると心がほっこり温かくなる。癒されます!
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