母さんごめん、もう無理だ(朝日新聞社会部)
2016.05.10 Tuesday
「100歳まで頑張る。」母はそう言っていた。だが、98歳の母は74歳の息子に殺された。老々介護の果ての悲劇だった・・・。
表題作を含め、新聞記者が見た法廷で繰り広げられる人間ドラマ29編を収録。
この本の中で記者が訴えかける言葉・・・「殺人に”やむをえない事情があっていいのか?”」これが強く印象に残った。殺人は絶対に許されるべきものではない。それは当たり前のことだけれど、この本を読むとその気持ちが揺れ動く。「いったいどうしてそんなことになってしまったのか?」ずっとそのことが頭から離れない事件も多々あった。
張り詰めていたものが緩んで心がくじけたとき、悲劇は起こる。誰か手を差し伸べてくれる人はいなかったのだろうか?誰か相談できる人はいなかったのだろうか?ほんのささいなきっかけで、堕ちていく時もあれば救われる時もある。その差は紙一重でしかない。
現代社会が抱える多くの問題を含んでいて、いろいろ考えさせられることが多い作品だった。
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