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カーテンコール!(加納朋子)

「閉校になるので、4月以降、萌木女学園は存在しません!」
けれど、単位取得に失敗し卒業できない学生がいた。彼女らは、学園理事長からの提案で、半年間の寮生活で卒業を目指すことになったのだが・・・。

外出もネットも面会もすべて禁止。そして見知らぬ者同士の集団生活。何もかもが戸惑うことばかりの寮生活だった。彼女たちは皆それぞれ、心や体に悩みを抱えていた。それぞれの抱える問題は、胸が痛くなるものばかりだ。だが、寮生活の中で彼女たちは変わっていく。心の中に何かが芽生え始めた・・・。
「誰かが自分のことを気にかけてくれる。」
そう思えるだけで救われる。自分の未来に希望が持てる。彼女たちは単に学園を卒業したのではない。過去の自分からも卒業したのだ。そして、前向きに生きようと新たな一歩を踏み出した!
心がほのぼのとする作品だった。読後もさわやか♪



| 加納 朋子 | 21:31 | comments(0) | ゆこりん |


トオリヌケ キンシ(加納朋子)

「トオリヌケキンシ」の札を見てどこかに抜けられると思った陽は、あえて50センチくらいの幅しかない空間に足を踏み入れる。その先には、クラスメイトの女の子の家があった。小学生時代の思い出は、いつしか形を変えて・・・。表題作「トオリヌケ キンシ」を含む6編を収録。

6編の中で一番印象に残ったのは、「トオリヌケ キンシ」だ。知らず知らずのうちに誰かの役に立ち、それが巡り巡って自分の救いになる。ちょっと切ないけれど、ラストは希望が持てるものだった。陽とあずさの未来が素敵なものでありますようにと願わずにいられない。
「平穏で、幸福な人生」は、ちょっと特殊な能力を持った女性と、彼女の高校の先生の話だ。ふたりの関係がごく自然な流れの中で語られているのがほほえましかった。
「空蝉」は、読んでいてとても暗い気持ちになった。母親が豹変した理由・・・。その理由が分かったとしても、子どもの側からすれば納得できないだろう。傷ついて過ごした時間は取り戻せない。つらすぎる話だった。
「フー・アー・ユー」は、こんな病気があるのか!と驚いた。人生にはいろいろな困難があると思うけれど、病気に負けずに生きてほしいと思う。佐藤君と鈴木さん、ほほえましくていいなぁ・・・。
「座敷童と兎と亀と」は、孤独な老人の前に突然孫が現れた話だ。亀井のおじいちゃんが孫を座敷童と間違えるとは・・・。読んでいてつらい話がいろいろ出てくるが、最後はほのぼのとした気持ちになった。
「この出口の無い、閉ざされた部屋で」は、作者の闘病体験が色濃く出ている。当事者にしか分からないつらさが行間からにじみ出ていて、読むのがつらかった。呪いをかけた女の子・・・。彼女の気持ちを思うと泣けた。
「生きていると、いろいろなことがある。でも、どんなに絶望してもあきらめてはいけない。歩んでいく先には、必ず光り輝く未来がある。」それを強く感じさせてくれる、素敵な作品だった。



| 加納 朋子 | 14:31 | comments(4) | ゆこりん |


ぐるぐる猿と歌う鳥(加納朋子)

父の転勤で北九州へ引っ越してきた小学5年生の高見森は、すぐに同じ社宅に住む子供たちと仲良くなった。親しくなるにつれ、森は彼らが重大な秘密を共有していることに気づく。「パック」と呼ばれる少年はいったい何者なのか・・・?

読んでいて自分の子供のころを思い出した。ああ、こんなふうに毎日世の中に対して何の心配もせずに友だちと遊んでいたのだなぁ・・・。けれど、時は流れていく。子供たちも成長していく。否応なしに大人たちの世界の理不尽さを知ることになる。
「パック」と呼ばれる少年の身に起こったできごとは、とても衝撃的だった。これをどう受け止めたらいいのだろう?大人たちの責任ではないのか?子供たちだけで対処できる限界をはるかに超えている。作者の加納さんはパックのその後を書くつもりらしいのだが、「ぜひぜひ書いてください!」と切にお願いしたい。森やパック、そのほか登場する子供たちの未来の物語を読んでみたい。
子供向けミステリーとして刊行された作品だが、大人が読んでも充分楽しめる作品だと思う。



| 加納 朋子 | 19:54 | comments(0) | ゆこりん |


はるひのの、はる(加納朋子)

幼い頃からユウスケには、人には見えないものが見えるという不思議な力があった。小学校に上がる前の年、ユウスケは川原ではるひというひとりの少女と出会う。ユウスケははるひから、亡くなった女の子を助ける手伝いをしてほしいと頼まれる。それはいったいどういうことなのか・・・?表題作「はるひのの、はる」を含む短編集。「ささら」シリーズ3。

この作品は「ささらさや」「てるてるあした」に続くシリーズ3作目で、完結編になっている。それだけに、「ささらさや」で登場したときはまだ赤ちゃんだったユウスケの成長がうれしい。ほかにも懐かしい人が登場している。
ユウスケは、人が見えないものを見ることができる。そんなユウスケの前に現れた、謎の少女。その少女との不思議なできごとを描いた「はるひのの、はる」。物語はさらに「はるひのの、なつ」「はるひのの、あき」「はるひのの、ふゆ」・・・と、ユウスケの成長をとらえながら続く。だが、ユウスケが体験するそれらの不思議なできごとがいったいどう形を作っていくのか、最初はまったく分からなかった。作者は、やさしくていねいに、その謎を解き明かしていく。
「ああ、こんなふうにつながっていたんだ。」
すべてのできごとがつながったとき、はるひという女性の切実な願いが見えた。そして、静かな感動を伴いながら物語はラストを迎える。変えられるものと変えられないもの。その違いは、本当につらく切ない。残酷なまでに・・・。できるのなら、すべてがいい方向に変わってほしかったと思う。
切ない中にも心にほんのりとした温もりが残る、深い味わいのある作品だった。



| 加納 朋子 | 20:10 | comments(0) | ゆこりん |


七人の敵がいる(加納朋子)

毎日バリバリと仕事をこなす陽子。そんな陽子のひとり息子の陽介が小学校に入学した時から状況は一変する。PTA、学童保育所父母会、自治会・・・。次々に「役員」という名の仕事が!子供が大きくなり、少しは楽になるかと思ったら大間違い。親としての大変さを味わうことになった。さて、陽子はどうこなしていくのか?

子供が小学校に入学したとたんに、次々にいろいろな役員が!そういう経験をした人はたくさんいると思う。私もそのひとりだ。次から次へと、よくもまあこれだけあるものだというくらいたくさん頼まれた。専業主婦で子供がひとり。役員にはうってつけの人材だったのかもしれない。専業主婦でも大変な役員の仕事。まして働く人にとってはなおさらだ。けれど、小学校に通う子供を持つという親の立場は同だと思う。どんな状況であれ、どんな立場であれ、まったく関わらないというのは問題なような気がする。その点、この作品に登場する陽子はエライ!その奮闘振りには頭が下がる。要は「やる気」なのだ。一歩外に出たら七人の敵がいる・・・。それは男性でも女性でも変わりはない。けれど、闘うだけではだめだ。時には話し合いや和睦も必要だ。次から次へと押し寄せる「問題」という波を、陽子は何とか乗り切っていく。痛快!
この作品が書かれた時期は、作者の加納さんが大変な病気になった時だと聞いた。万全ではない体調でよくもまあこれだけの作品を!すごいプロ根性だ!加納さん、面白い作品をありがとうございます!
(追記・・加納さんの闘病の様子は「無菌病棟より愛をこめて」で。)



| 加納 朋子 | 16:10 | comments(0) | ゆこりん |


無菌病棟より愛をこめて(加納朋子)

2010年6月、突然「急性白血病」だと宣告された!そこから生きるための壮絶な戦いが始まった・・・。作家加納朋子が、自分自身の闘病を克明に記録した命の書。

もし、ある日突然大変な病名を宣告されたら冷静でいられるだろうか?加納朋子さんのように・・・。彼女は自分の病気と真正面から向き合った。そして、作家として自分の病気を客観的に見つめ、記録した。深刻さをなるべく感じさせないような文章になっているが、行間からにじみ出るのは、彼女の生きることへの執念と絶対にあきらめない意志の強さだ。彼女を支えた家族の力も大きかった。
普通に何気なく過ごす日常生活が、いかに大切で貴重な時間であるか!健康で過ごせることに感謝したい。それと同時に、この先自分の人生にどんな災難が降りかかっても、決して希望を捨てず前向きに生きていかなければならないと感じた。加納朋子さん、どんどん元気になって、これからもステキな作品を世にたくさん送り出してください!待っています♪



| 加納 朋子 | 19:16 | comments(0) | ゆこりん |


いちばん初めにあった海(加納朋子)

住んでいるアパートのあまりの騒音のひどさに引越しを決意した千波。本を片付けようとした時、1冊の見慣れない本があるのに気づく。「いちばん初めにあった海」というタイトルの本の間には、「YUKI」という見知らぬ人物からの手紙がはさまっていた。千波と「YUKI]、二人の過去にはいったい何があったのか?表題作と「化石の樹」の2編を収録。

過去のできごとの描写と現在のできごとの描写のはざまの中、千波という一人の女性の姿が、一枚一枚ベールをはぐように見えてくる。心に深い傷がある。そのことにさえも気づいていない千波。そんな千波を救おうとしたのは、やはり心に深い傷を持つ麻子だった。友情がいつしか千波の心を癒していく。そして麻子の心も・・・。悲しみの底に突き落とされた時、人は自分で自分の心を壊してしまうことがある。そんな時、やさしく手を差し伸べてくれる人がいたならどんなに救われることか!千波が再生していく様子を泣きたくなるような気持ちで読んだ。「いちばん初めにあった海」「化石の樹」の二つで一つの物語は、心温まるものだった。



| 加納 朋子 | 17:04 | comments(0) | ゆこりん |


月曜日の水玉模様(加納朋子)

いつもの時間、いつもの電車、いつもの座席に座る「彼」の月曜日のネクタイは、水玉模様だった。だがある日突然、水玉模様のネクタイが月曜日以外の日にも!陶子と「彼」こと広海のまわりで起こる小さなミステリーを、曜日ごとに7編収録。

大きな事件は起こらない。日常生活の中で、ほんのちょっといつもと違うことが起こるだけ。どれもそんな感じのするできごとばかりだ。謎解きの楽しさと、そこに見え隠れする人たちの悲喜交々がうまくとけあって、作品全体がやわらかで温かいものに包まれているようだった。曜日ごとのミステリー。月曜日、火曜日、水曜日・・・。話が進むにしたがって、陶子と広海の関係も微妙に変化していく。この二人どうなるの?そんなことを考えながら、ほのぼのとした気持ちで本を閉じた。



| 加納 朋子 | 16:31 | comments(0) | ゆこりん |


モノレールねこ(加納朋子)

だらんとして、まるでスライムみたいなねこ。あまったお肉が塀の上で垂れ下がっているところは、モノレールそっくり!そんなモノレールねこの赤い首輪に手紙をはさみ、見知らぬ相手との文通が始まった。はたして結末は?表題作を含む8編を収録。

どの話も心温まるものだった。読後も余韻が残る。特に好きな作品は「モノレールねこ」「パズルの中の犬」「ポトスの樹」「バルタン最期の日」だった。「モノレールねこ」では、ねこを通して文通する二人の、その後の結末に思わずほほえんだ。「パズルの中の犬」では、人が心の中に抱え込んでいる思いに、ため息をついた。「ポトスの樹」では、家族の温かさを感じた。そして「バルタン最期の日」では、笑いの中にもちょっぴりの切なさを感じた。短編集だとどうしても好きな話とあまりそうではない話があるものなのだけれど、この作品の中の話はどれもほんわかしていて好きだった。8編に共通するのは家族への思い。作者はていねいにやさしく、いつくしみながら描いている。手元に置いて、何度でも読み返したい!・・・そんなステキな作品だった。



| 加納 朋子 | 18:02 | comments(0) | ゆこりん |


スペース(加納朋子)

駒子から瀬尾に送った手紙。「前略はるか様」で始まるその手紙にも謎はあるのだろうか?瀬尾は、行間からにじみ出る何かを感じ取った・・・。「スペース」「バックスペース」2編を収録した、駒子シリーズ第3作。

長い長い手紙。そこに書かれているのは毎日の何気ない日常。だが瀬尾はいつものようにそこに隠された真実を探り当てる。誰が書いた手紙なのか?その謎が分かったときもそれほど意外な感じはしなかった。「スペース」は平凡なストーリーだと思った。だが、「バックスペース」を読むと、「スペース」自体が深みのある物語へと姿を変えた。作者に見事にやられた!「スペース」の裏にこんな物語が隠されていようとは思わなかった。ミステリーとしても、恋物語としても、どちらにしてもとても素敵だ。ラストは絶対にニヤリとするはず。瀬尾と駒子がはたしてこれからどうなるのか?次回作も期待したい。



| 加納 朋子 | 18:10 | comments(0) | ゆこりん |