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殺人犯はそこにいる(清水潔)

栃木県足利市、群馬県太田市。この隣接するふたつの市で、5人の少女が行方不明になった・・・。
著者は、この五つの事件が連続殺人事件だと考えた。足利事件の冤罪について、そして犯人と思われる「ルパン」について、さまざまな検証をもとに描いた作品。ノンフィクション。

警察が追い求めるのは事件の真実や犯人ではないのか?自分たちに都合の悪いことを隠そうとする体質が、事件の真相を見えづらくしてしまったように思う。この作品を読んでいると、警察は本当に市民の味方なのか疑問を感じる。
警察は、やってもいない罪で長い間刑務所に入らなければならなかった人の苦しみが理解できるのか?警察は、真犯人を逮捕するということは、自分たちの過失をさらけ出すことになるとでも思っているのか?もう一度自分たちの使命を考えてほしい。私利私欲や利害関係より大切なことが見えてくるはずだ。
著者の独自の取材から見えてくる事件の真相は、とても興味深い。だが、それだけにルパンに対する記述に物足りなさを感じる。もっと突っ込んでもよかったのではないか?また、著者が語る事件の真相は本当にそうなのか、私には判断がつかない部分もあった。
ルパンが逮捕される日が来るのだろうか?それともずっと未解決のままなのか?もしこのままだとしたら、被害者の少女たちがあまりにも哀れだ。一日でも早く事件が解決しますようにと願わずにはいられない。



| ”し” その他 | 19:02 | comments(0) | ゆこりん |


桶川ストーカー殺人事件(清水潔)

1999年10月26日の白昼、JR桶川駅前で21歳の女子大生猪野詩織さんが刃物で殺害された。彼女は、ひどいストーカー行為におびえ、警察に訴えていた。だが、悲劇は起きた。事件はなぜ起きたのか?そして犯人は?衝撃のノンフィクション。

ものすごい衝撃だった。詩織さんはなぜ殺されなければならなかったのか?一体彼女が何をしたというのだ。若くして命を奪われるようなことは何もしていない。執拗なストーカー行為におびえながら、彼女は家族のことを思いやり、そして自分自身の生活を守ろうとした。けれど、限界があった。その限界を悟ったとき、詩織さんと彼女の家族は警察を頼った。だが、警察の対応はとても常識では考えられないものだった。こんなことが現実に起きていたなんて・・・。結局、警察のずさんな対応のせいで詩織さんは命を奪われてしまった。
だが、ひどいのはこれだけではない。警察は犯人を探し出せなかった。警察に先んじて犯人を特定したのはひとりの記者・・・この作品の著者だった。これも信じられない話だ。いったい警察は何をしていたのか?さらに、信じられないことは続く。警察は、自分たちの不祥事を隠すために、詩織さんの名誉を傷つけるようなことをした。あくまでこちらに非がないと主張したのだ。どこまで卑劣なのだろうか。警察の本来の使命は、市民の安全や名誉を守ることではないのか!真逆のことをおこなってどうするのだ。
「いつかは殺されるかもしれない。」そう考えた詩織さんは、遺書を残していた。その内容に胸が締めつけられる。誰も彼女を助けることはできなかった・・・。
警察の不祥事も、ストーカーによる事件も、いまだに無くならない。なぜ教訓が生かされない?この胸の中に湧き上がる怒りは一体どうすればいいのか。
こういう悲劇があった。こういう不祥事があった。このことをひとりでも多くの人に知ってもらいたい。ぜひ一度この作品を読んでほしい。強くそう願う。オススメです!



| ”し” その他 | 19:39 | comments(0) | ゆこりん |


てんやわんや(獅子文六)

犬丸順吉は29歳。戦後の戦犯狩りを恐れ、四国の片田舎に身を隠すことになった。そこで彼を待ちかまえていたものは・・・?新潮文庫20世紀の100冊1949年。

大きな事件が起こるわけでもない。四国の片田舎で暮らす犬丸順吉の日常生活を淡々と描いているだけだ。それなのに、読んでいてちっとも退屈しない。むしろ、どんどん話の中に引きずり込まれていく。不思議な魅力を持った作品だ。獅子文六の作品は初読みだが、「こんなに面白かったのか!」と驚いた。「新潮文庫20世紀の100冊」に選ばれるのも納得だ。登場人物も個性的で、生き生きと描かれている点がとてもいい。ユーモラスだが、こんな片田舎にも時代の荒波は否応なくやってくるのだという現実の厳しさも垣間見える。かなり昔の作品だが、今読んでも充分面白いと思う。
余談ですが、1949年という年について・・・。
北大西洋条約機構(NATO)発足。中華人民共和国成立。湯川秀樹がノーベル賞を受賞。



| ”し” その他 | 20:09 | comments(0) | ゆこりん |


さらば国分寺書店のオババ(椎名誠)

思いつくまま気の向くまま♪さらさらと綴ったらベストセラーに!彗星のごとく鮮やかに文壇界に登場した、椎名誠の記念すべきデビュー作のエッセイ。新潮文庫20世紀の100冊1979年。

社会に対しちょっと反抗的な態度で臨む。強がって見せる。そんな作者が作品の中に見え隠れする。若いなぁ・・・。その若さがまぶしく見える。軽いノリのタッチで描かれたこの作品は、当時の若者の心をわしづかみにした。作者は、よくテレビにも登場した。そんな作者を、ちょっと冷ややかな目で見ていた自分がいた。なので、この作品はずっと読まなかった。今回読んでみて、なぜこの作品が衝撃を起こしたのかが分かるような気がした。出版されてすぐ(私が20代の頃)に読んでいたのなら、かなり共感しただろうと思う。古き良き時代の貴重な作品だ。読んでいて懐かしい気持ちになった。今の若い人にも、ぜひ読んでもらいたいと思う。
余談ですが、1979年という年について・・・。
この年には、ソニーがウォークマンを発売しました。また、アニメ「機動戦士ガンダム」が放送を開始した年でもありました。



| ”し” その他 | 16:56 | comments(0) | ゆこりん |


ブロードアレイ・ミュージアム(小路幸也)

1920年代の古き良き時代のブロードウエイの裏通りに、ブロードアレイ・ミュージアムがあった。30数年後、当時のことを聞きにある男がかつての<さえずり屋>グッデイを訪ねてきた。グッディが語るブロードアレイ・ミュージアム(BAM)・・・。そこにはいったいどんなドラマがあったのか?不思議な感動に満ちた物語。

物に触れると、その物にまつわるいろいろなできごとが見えてしまう不思議な少女フェイ。彼女のために、彼女が見た"これから起ころうとする悲劇"を防ごうと奮闘するブッチ、メイベル、バーンスタイン、モース、エディの5人のキュレーターたち。ブロードアレイ・ミュージアム(BAM)に集う人たちは、個性的で何とステキな人ばかりなのだろう。
「サッチモのコルネット」「ラリックのガラス細工」「ベーブ・ルースのボール」「シャネルの0番」「リンドバーグの帽子」、そのどれもがミステリアスで面白い。さまざまな謎を解いていくうちに、BAMの秘密やフェイの秘密も少しずつ明らかになっていく。BAMで、フェイは本当に楽しく暮らしていたのだけれど、彼女が決断しなければならない日がやって来た・・・。「フェイ、本当にそれでよかったの?」彼女に問いかけてみたい。
時は流れる。どんなに楽しい日々も、いつかは過去のできごとになってしまう。けれど、どんなに月日が経とうとも、決して色あせることなく輝く思い出がある。それがBAMでのできごとだと思う。
ちょっぴり切なくほろ苦い、いつまでも心に残るステキな作品だった。



| ”し” その他 | 21:53 | comments(0) | ゆこりん |


誘拐(翔田寛)

戦後の混乱期の昭和21年、5歳の男の子が誘拐された。用意周到な犯人の計画。身代金は犯人にまんまと奪われてしまう。だが、人質の男の子はついに戻らなかった。そして15年後、この誘拐事件は衝撃的なできごとで再び姿をあらわすことなったのだが・・・。

昭和36年、良雄は死ぬ間際の母から驚くべきことを聞かされる。「おまえは誘拐された子だ。」実の母だと信じて疑わなかった良雄は、奈落の底に突き落とされたような絶望感を味わう。だが、母の遺した言葉の真実性を確かめるために行動を起こす。
良雄は本当に誘拐事件の被害者なのか?犯人は、育ててくれた母なのか?それとも・・・?昭和36年に起こった殺人事件が15年前に起こった誘拐事件の真相を暴くきっかけとなっていくのだが、そこに見えてきたのは戦後の混乱期を必死に生き抜いた人たちの姿だった。小さな、ほんの小さな恨みが、やがて大きな悲劇を生み出す。人間とは、何と愚かで哀れな生き物なのだろう。過去の事件と現在の事件、登場人物たちの過去と現在、それが微妙に交錯する。そして、交錯しながら確実に事件の核心に近づいていく。読んでいて納得できない部分もあったが、その構成は見事だと思う。最後まで読み手を引きつけて離さない、面白い作品だった。



| ”し” その他 | 19:22 | comments(0) | ゆこりん |


さくらの丘で(小路幸也)

祖母と友人ふたりが少女時代を過ごした土地に建つ古い西洋館。彼女たち3人は、なぜそれを自分たちの孫に遺そうと思ったのか?この西洋館にはいったいどんな真実が隠されているのか?3人の孫は、彼女たちの人生の軌跡をたどり始めた。

彼女たちはなぜ、自分の子供ではなく孫に思いを託したのか?その理由が徐々に明らかになっていく。過去の物語と現在の物語。そのふたつが、両側からそっと包み込むように真実に迫っていく。きらめくような少女時代の中にあった祖母たちが直面したできごと。それを知ったとき、作中の孫たちも、そして読み手である私も、同じように衝撃を受けた。祖母たちは、語らなかったのではない。語ることができなかったのだ・・・。語ることができなかったからこそ、孫たちには自分自身の目で見て、自分自身の耳で聞いて、そして自分自身の肌で感じてほしかったのだ。そういう祖母たちの思いが、痛いほど伝わってくる。温かみのある文章で、静かな感動を描き出した、読み応えあるの作品だと思う。



| ”し” その他 | 20:12 | comments(0) | ゆこりん |


オルゴォル(朱川湊人)

最初は、トンダじいさんがくれるという旅費が目当てだった。ハヤトはもらったお金でゲーム機を買ってしまう。だが、ずっと平気でいることはできなかった。ハヤトはトンダじいさんの願いを叶えるため、鹿児島行きを決断する。東京から鹿児島までの旅は、小学5年生のハヤトにとっては大冒険だ。はたして、無事にたどりつけるのか?

大きな事故、戦争そして原爆・・・。さまざまな理由で、人は心の奥底に悩みや悲しみを抱えている。ハヤトは、旅の途中で知り合ったいろいろな人と触れ合ううちに、そのことに気づいていく。オルゴールを届ける相手とトンダじいさんとの関係は?そのオルゴールがどんな音楽を奏でるのか?そのことはとても気になったが、それ以上にハヤトが成長していく描写に心を惹かれた。ハヤトは、他人の心の痛みを感じることができるようになり、そして自分にとって大切な人は誰かということをしっかりと見極められるようになった。読んでいて胸に迫るものがある。
切なくホロリとくるようなところもあったが、読後ほのぼのとしたぬくもりを感じる作品だった。



| ”し” その他 | 18:13 | comments(0) | ゆこりん |


そうか、もう君はいないのか(城山三郎)

かけがえのない存在だった妻・・・。出会い、結婚生活、そして妻が病に倒れ逝ってしまうまでを切々と描いた、城山三郎の「遺稿」をまとめた作品。

「二人三脚」。この言葉がふさわしい夫婦の歩みだった。出会いから結婚までの不思議な縁。ほほえましい結婚生活。そして悲しい別れ。どの文章にも、作者の妻へのあふれんばかりの愛情が感じられる。この作品には書かれることのなかった、つらいことや苦しいこともたくさんあっただろう。それらを、夫婦ふたり手をたずさえて乗り越えてきたに違いない。出会いがあれば別れがある。それは当たり前のことだけれど、作者と妻との別れには涙した。どれほどつらかったことか・・・。夫婦や家族の絆の大切さをあらためて感じさせてくれる、感動的な作品だった。



| ”し” その他 | 15:42 | comments(0) | ゆこりん |


ピンポンさん〜荻村伊智朗伝(城島充)

高校1年生のときに卓球を始めて、わずか6年弱で世界の頂点に登りつめた男荻村伊智朗。彼の、卓球にかける情熱の全てを描いた作品。

家族皆が卓球好きなので、荻村伊智朗の名前は以前から知っていた。また、テレビで放映されたので、彼の人生もそれなりに知っているつもりだった。だが、この本を読んで自分の認識不足を痛感した。彼の卓球にかける情熱には、思っていた以上の凄まじさがある。卓球という魔物に魅入られたのか?彼は命を削るようにして卓球に打ち込んだ。けれど、その業績や功績とは裏腹に、彼の生き方に共感できる者は少なかったのではないだろうか?まさに孤高の人だった。現役選手時代の栄光、そして引退後の活躍。どれをとっても並みの人間にできるものではない。小さなピンポン球で世界から国境をなくそうとした志には、頭が下がる。ラケットと球があれば、言葉が通じなくても人はつながっていける。この彼の信念が、ずっと受け継がれていくことを切に願う。卓球を知る知らないに関わらず、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。



| ”し” その他 | 00:21 | comments(0) | ゆこりん |