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宮部みゆきの江戸怪談散歩(宮部みゆき編)

宮部みゆきさんの描く怪談話の舞台はいったいどんな所なのだろう?
その疑問に答えるようにさまざまな場所が紹介されている。ほかに、北村薫氏との対談、宮部さんの作品、宮部さんおすすめの作品などを収録。

三島屋変調百物語の舞台を歩く、宮部怪談の舞台を歩く、本所深川七不思議を歩く、北村薫氏との対談、宮部作品2編、宮部さんおすすめの作品2編が収録されている。宮部ファンにとってはうれしい1冊だ。あちこち場所が写真入りで紹介されているが、写真がカラーではなく見づらいのが残念だった。北村氏との対談も興味深かった。おふたりともいろいろなことに精通している。知識量がすごい!
収録されている宮部作品は以前読んではいるが、何度読んでも面白い。特に「曼殊沙華」はとてもいい作品だと思う。三島屋変調百物語の最初の作品でおちかが聞き役を始めるきっかけになる話だが、読む者をどんどん物語の中に引き込んでいく。ほれぼれするような巧みなストリー展開だ。
サクサク読める、楽しい一冊だった。



| 宮部 みゆき | 21:44 | comments(0) | ゆこりん |


黒武御神火御殿(宮部みゆき)

江戸の神田三島町にある袋物屋の三島屋の次男・富次郎は、嫁いだおちかの跡を継ぎ、変わり百物語の聞き手になった。そんな富次郎のもとに印半天が持ち込まれた。変わった印を持つその半天には、恐ろしい秘密が隠されていた・・・。表題作を含む4編を収録。三島屋変調百物語シリーズ6。

何かに取り憑かれる怖さ、人の恨みの怖さと、怖さの種類はそれぞれ違うが、どの話も本当に怖い。特に人の恨みは怖い。なぜこんなにも相手を恨まなければならないのかと、その理不尽さに怒りさえ覚える。特に「姑の墓」は怖い。恨んで祟る。とても後味の悪い話だった。
表題作の「黒武御神火御殿」も人の恨みにまつわる話だ。その恨みは尋常ではなく、凄まじい。自分が報われなかったから人を恨む。恨む側にも理由はあるかもしれないが、ここまでするのか!という驚きもあった。恨みを向けられた人たちがいったいどうなるのか?かなり長い話だったが、最後まで一気に読んでしまった。
日々の暮らしの中、誰を恨むこともなく、誰からも恨まれることなく、穏やかに過ごしたいものだとつくづく思う。



| 宮部 みゆき | 22:36 | comments(0) | ゆこりん |


昨日がなければ明日もない(宮部みゆき)

杉村三郎が間借りしている竹中家は三世代同居の家だ。その竹中家の一員の中学生の有紗から、杉村は相談を受ける。小学生の時に同じクラスだった問題児・朽田漣の母・美姫が、探偵である杉村を紹介してくれと言っているのだ。杉村は美姫に会うことにした。だが、美姫はとんでもない女性だった・・・。表題作「昨日がなければ明日もない」を含む3編を収録。杉村三郎シリーズ5。

「昨日がなければ明日もない」に登場する美姫は、身勝手な人間だった。どうしようもないくらい。身内でさえ手を焼いていた。周りの人間をどんどん不幸にしていく。そんな人間だ。いったいどうなっていくのかと思ったが、ラストは後味が悪かった。
だが、これ以上に後味が悪かったのが「絶対零度」だ。悪意のある人間は、人の尊厳さえも平気で踏みにじる。あまりの無謀さに、読んでいて言葉もない。暗すぎる、救いがない、後味が悪い・・・。どんな言葉を並べても、この話のひどさは語れない。作者はどうしてここまでひどい話を読ませようとするのか。気分が悪くなり、トラウマにさえなりかねない。読むのを途中でやめようと思ったほどだ。
杉村三郎シリーズは、平均して暗い話が多い。だが、今回の話は個人的に受け入れられない。このシリーズはこれからも続くと思うが、こういう内容の話が多いのなら読み続けようとは思わない。



| 宮部 みゆき | 22:10 | comments(0) | ゆこりん |


あやかし草紙(宮部みゆき)

人の心のすき間にスッと入り込み、行き逢い神はその家に住みついた。開けずの間になった行き逢い神のいる部屋。だが、家族は次々と不幸に見舞われた・・・。「開けずの間」を含む5話を収録。三島屋変調百物語シリーズ5。

女が強く願ったこと。それは、人として母として当然のことだったのではないのか。けれど、行き逢い神はその女の家に住みついた。そして、その家の者たちの心を惑わし、狂わせていった。怖い!怖い!読んでいて背筋がぞっとする。他の話も怖かったが、5編の中でこの話が一番怖く、特に印象に残った。行き逢い神も怖いが、もっと怖いものが人の心の中にあった!
また、本の帯に「シリーズ第一期完結編」と書かれていてどういうことかと思ったが、意外な展開があった。おちかの決断に、これからの幸せを願わずにはいられない。
ともあれ、このシリーズはまだ続くらしい。これから先どういうストーリーになるのか?新たな三島屋変調百物語シリーズに期待したい。



| 宮部 みゆき | 20:08 | comments(0) | ゆこりん |


この世の春(宮部みゆき)

 

北見藩藩主の北見重興は、病を理由に代々の家老衆によって突然隠居させられる。彼は、藩主の別邸・五香苑の座敷牢に幽閉されるとこになった。だが、重興の不可解な病には、恐るべき真実が隠されていた・・・。。

重興の病の源には深い闇があった。作事方の家に生まれた各務(かがみ)多紀は、医師の白田登、いとこの田島半十郎、元江戸家老の石野織部らとともに、なんとか重興を救おうとする。そして、その闇の正体がしだいに暴かれていく。重興の身に起こったことはあまりにも衝撃的なものだった・・・。
五香苑での重興と彼に関わる人たちの触れ合いがとてもいい。特に多紀の献身ぶりは、胸を打つものがある。重興が病になるほどの衝撃的なできごと!当時幼い少年だった重興が抱えるには、余りにも大きすぎたのだろう・・・。だが、この衝撃的なできごとの発端となった事柄、そしてそのために重興の身に起こるできごと、このふたつは読んでいて受け入れ難い。抵抗がある。「ああいう事柄から、こういう発想が生まれるのだろうか?」とても疑問に感じた。作者はどうしてこういう設定にしたのか?
また、ストーリー展開に緩慢な部分があり、長過ぎることもあって読んでいてイライラしてしまった。そうは言っても、ラストはそれなりの感動があった。未来に希望が持てるものだった。
30周年記念作品ということで期待して読んだのだが、私個人としてはそれほどでもなかった。以前読んだ「孤宿の人」のほうが、ずっとよかったように思う。



| 宮部 みゆき | 20:25 | comments(2) | ゆこりん |


三鬼(宮部みゆき)

やむを得ない事情があったとはいえ、家臣同士の私闘はご法度。掟を破り牢に入れられた村井清佐衛門は、異例の処分で山番士として洞ヶ森村へ発つことになった。だが、その村には恐ろしい秘密があった・・・。表題作「三鬼」を含む4編を収録。三島屋変調百物語シリーズ4。

「怖かった!!」と言っても、怪談ではない。人の心が怖かった。鬼はいる。確かにいる。だが、もともといたわけではない。鬼は、人の心が作り出すものなのだ。恨みや妬み、疑いや嫌悪、そして貧困・・・。それらは人の心を荒ませる。そして、その荒んだ心がこの世に鬼を生み出す。作者は、人の心の陰の部分を巧みに描いている。だが、感じるのは恐ろしさだけではない。救いようのない悲哀さも感じる。「三鬼」では、貧しさゆえの悲劇を描いている。どんなに努力しても報われないこともあるのだ。「迷いの旅籠」では、あの世とこの世を独特の世界観で描いている。「食客ひだる神」では、神の存在を不思議なタッチで描いている。「おくらさま」は、ある娘の憤懣と悲しみの果てに起こった悲劇を描いている。
鬼を生み出すのは、特別な人間ではない。それは、どんな人間でも可能なのだ・・・。
面白いだけではなく、人間の本質を深く考えさせられる読みごたえのある作品だった。オススメです。



| 宮部 みゆき | 21:46 | comments(0) | ゆこりん |


希望荘(宮部みゆき)

「昔、人を殺したことがある。」
老人ホームで暮らしていた78歳の武藤寛二が死ぬ前に告白したことは、周りの人たちに大きな衝撃を与えた。「父は本当に人を殺したのか?」息子である相沢幸司は、杉村に調査を依頼する。そして・・・。武藤寛二の告白には、思わぬ真実が隠されていた! 表題作「希望荘」を含む4編を収録。杉村三郎シリーズ4。

シリーズ3作目の「ペテロの葬列」は衝撃のラストだった。その後の杉村のことが気にかかっていたが、彼は探偵として新たな人生を歩み始めていた。探偵になったいきさつも描かれている。彼は、探偵になる前もなってからも、人の悲哀、人の心の中に潜むねたみや恨み、悪意などと対峙することになる。読んでいて決して心地いいものではない。むしろつらい。できるならこういう話は読むのを避けたいとさえ思う。けれど、これが現実なのだと思う。人生、楽しいことばかりではない。もしかしたら、苦しいことの方が多いかもしれない。それでも人は、現実から目をそむけずに生きていかなければならない。
後味はあまりいいとは言えないが、心に響く読み応え充分の面白い作品だった。



| 宮部 みゆき | 20:19 | comments(0) | ゆこりん |


昭和史の10大事件(宮部みゆき・半籐一利)

60年以上続いた昭和の時代には、数々の事件があった。宮部みゆき、半籐一利、このふたりが選んだ昭和の10大事件とは?対談集。

「昭和の10大事件」。宮部さんと半籐さんが選んだリストを見て驚いた。普通の人ならこういうのは選ばないだろうと思うものも入っている。さすがに普通の人とは視点が違う。
歴史は、見る角度を変えるとさまざまな顔が見えて来る。ふたりの対談では、歴史の教科書からでは決して知ることのできない、できごとの裏の裏が語られている。「その事件にはそんな裏が!」と驚くこともたくさんあった。ふたりの選んだ事件の数々は、まさに日本の運命を変えたものだ。実際に起こった事件だけに、どんなミステリーよりも面白い。
「できれば、ほかの昭和の事件もいろいろ取り上げてこのふたりに対談してもらいたい。」「もっと昭和を知りたい。」そんな気持ちにさせられる、とても興味深い本だった。
| 宮部 みゆき | 20:28 | comments(0) | ゆこりん |


過ぎ去りし王国の城(宮部みゆき)

尾垣真は、銀行のロビーのパネルに貼られた1枚の絵に激しく心を揺さぶられる。不思議な、中世の城を思わせる絵だった。思わず絵を持ち帰ってしまった真は、アバターを使い絵の中に入り込むことができることを知る。絵のうまい同級生の城田珠美にアバター作成を依頼し、ふたりは絵の中の世界へ。やがて彼らは、絵に隠されたある人物の想いに触れることになる・・・。

緻密に、ストーリーが構築されていく。そのひとつひとつの描写が見事で、読み進めていくうちにごく自然に物語の中に引き込まれていく。なぜこの絵が存在するのか?なぜ絵の世界に入ることができるのか?そのカギを握るひとりの少女の存在が浮かび上がってくる。そして、その少女の正体を知るパクさんとの出会いが、真実への扉を開く・・・。ページをめくる手が止まらず、一気にラストまで突っ走った。
中には、つらく切なく、胸が痛くなるような描写もあった。こんなにひどい経験をしたら、心が壊れてしまいそうだ。ずっとつらいままだったらどうしようと思ったが、ラストでは救われた気持ちになった。誰か手を差し伸べてくれる人がいたら、希望を持って生きていくことができる!こういうラストで本当によかったと思う。読後にほのぼのとした温もりを感じる、とても面白い作品だった。



| 宮部 みゆき | 14:10 | comments(2) | ゆこりん |


幻色江戸ごよみ(宮部みゆき)

伊丹屋で小火騒ぎがあった。火が出たのは、全く火の気がないところからだった。だが、この騒ぎには哀しい想いが秘められていた・・・。「鬼子母火」を含む12話を収録。

死んでしまってもなお残る人の想い、呪いとなって現れた人の恨み、人を変え破滅に追い込む頭巾、家宝として大切にされている不思議な絵など、作者は人の心の奥底に潜むものをさまざまな形で描いている。ホロリとした話、やりきれなさを感じた話、ゾクッとした話などさまざまだが、いちばん印象に残ったのは「紅の玉」だった。
病気がちの妻を抱えまじめに働く飾り職人の佐吉だが、贅沢を取り締まる「奢侈取り締まり」のため、仕事がほとんどなく困窮にあえいでいた。そこへ思いがけない仕事の話が舞い込むが・・・。
人の運命はどこでどう変わるか分からない。佐吉に突然襲い掛かった不幸は、読み手には恐怖となって迫ってくる。「本当に怖いのは生きている人間なのだ!」衝撃的なラストは、いつまでも余韻が残るものだった。
どの話も不思議な魅力があり、読んでいてとても惹きつけられた。読みごたえのある珠玉の短編集だと思う。オススメです。



| 宮部 みゆき | 20:51 | comments(0) | ゆこりん |