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最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華(椹野道流)

深夜に営業する定食屋「ばんめし屋」。常連客の小説家・淡海五朗には、誰にも言えない心の傷があった。そのために冷やし中華は決して食べなかったのだが・・・。最後の晩ごはんシリーズ2。4編を収録。

ねつ造スキャンダルがもとで芸能界から姿を消した海里だが、しだいに「ばんめし屋」の暮らしに慣れてくる。料理も積極的に覚えようと努力している。そんな海里だが、かつての後輩が訪ねてきたり、芸能記者に居場所を知られ押しかけられたりと、心穏やかではない。「まだ役者に未練がある。けれど、それはかなわない。」心の葛藤が痛々しくもある。
一方、冷やし中華断ちしている常連客の小説家・淡海には、とりついている幽霊が・・・。海里は、どうしていつも幽霊が淡海と一緒なのか、その理由を突き止めようとする・・・。
人が心の中に抱えているさまざまな悲しみや苦悩。今回も、作者はそれをていねいに描いている。登場人物の心理描写が細やかだ。なので、読んでいて感情移入してしまう。つらくても、苦しくても、悲しくても、人は前を向いて生きなければならないのだ。
今回も面白かった。心の中にほのぼのとしたものが残った。



| ”ふ” その他 | 19:24 | comments(0) | ゆこりん |


最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵(椹野道流)

イケメン俳優として順調に歩んでいたはずの海里だったが、あるねつ造スキャンダルがもとで活動を休止せざるを得なくなった。だが、ふるさとに戻っても彼の居場所はなく・・・。絶望する彼を救ったのは、定食屋を営む留二だった。最後の晩ごはんシリーズ1。

行くあてのない海里を救った留二。彼の営む定食屋は、夜に開店し、始発が走る頃に閉店する。何だか、ちょっと不思議な定食屋だ。だが、不思議なのはそれだけではなかった。お客は普通の人間だけではない。時には幽霊も!海里には霊感のようなものがあった。幽霊が見えるのだ。なぜ幽霊は定食屋に現れるのか?留二や海里の温かな心が、幽霊になった者たちが抱える切ない思いに寄り添う。そして、そこで出されるおいしい料理が、彼らの心を癒していく。
読んでいると心がほのぼのとしてくる。海里の今後も気になるし、留二という人間も気になる。そして、眼鏡の付喪神ロイドのことも。シリーズで10巻あるが(2019.3.18現在)、これから少しずつ読み進めようと思っている。



| ”ふ” その他 | 23:55 | comments(0) | ゆこりん |


花工房ノンノの秘密(深津十一)

札幌の小さな花屋「花工房ノンノ」で働く山下純平は、幼いころに臨死体験をしたことがあった。その純平が臨死体験で見たのと全く同じ景色を、同僚の細井が動画サイトで見たと言う。いったいどういうことなのか?そこには、意外な事実が隠されていた・・・。

母はガス中毒事故で亡くなったと聞かされていた。けれど、純平がそのことについて詳しく聞こうとすると、父はいつも機嫌が悪くなる。母の死は本当にガス中毒だったのか?また、純平の父は、純平が花工房ノンノで働くことをよく思っていない。その理由は?純平の臨死体験が映像化されていたのも謎だ。さらに、臨死体験の中で一面の青い花が一瞬にして赤い花に変わる光景の描写もインパクトあり謎ありで、読み手はどんどん物語の中に引き込まれていく。前半は謎だらけだが、後半はだんだんとそれらの謎が解き明かされつながっていく。臨死体験が出て来るので「不思議な話」だとばかり思っていたが、全く違った。意外なラストに驚かされた。こういうことだったのか!緻密に考えられたストーリーだ。
読み始めたら止まらなく、一気読みだった。楽しめる作品だと思う。



| ”ふ” その他 | 20:09 | comments(0) | ゆこりん |


土佐堀川(古川智映子)

17歳で豪商三井家から大阪の両替商・加島屋に嫁いだ浅子。幕末から明治への激動の時代の中、傾きかけた加島屋を立て直し、かつ、あらゆる方面で実業家の才能を発揮する。広岡浅子の生涯を描いた作品。

読んでまず驚いた。こんなにすごい女性が明治期にいたのだ。家業の立て直し、炭鉱経営、日本初の女子大学開設。度胸の良さと天賦の商才を持ち、人生を突っ走る。男顔負けの活躍だ。時には危ない目にも遭い、恐ろしい病にも罹った。だが、それも見事にはねのける。どんなに困難なことがあろうとも、恐れず立ち向かえば道は開ける。彼女の生き方は、私たちにそのことを教えてくれる。しなやかな強さ、決してあきらめない心、多くの人を惹きつける人柄、そして天賦の才、彼女は多くの宝を持っていた。そして、その宝を惜しげもなく他人のために使った。本当に素晴らしい人だったのだと思う。この本を読むと、勇気が湧いてくる。どんな困難にも向かっていけるような気持ちになる。元気をたくさんもらえた本だった。



| ”ふ” その他 | 20:14 | comments(0) | ゆこりん |


コレクター 不思議な石の物語(深津十一)

祖母の遺言は、「死人石を作って、ある人物に届けること。」だった。木島耕平は、作った石を届けるために石コレクターの林の家を訪れるが・・・。「このミステリーがすごい!」大賞優秀作を受賞。

まず最初の描写で驚かされる。”死人石”の作り方が衝撃だった。この石を作った意味はいったい何なのか・・・?他にも、耕平の学校の生物教師が語る、人の体の一部が含まれている童石や、林が語る、中に魚が生息している魚石、割ると文字が浮き出る仮名石、不思議な夢を見ることができる白夢石、黒夢石など、さまざまな石が登場する。
だが、石コレクターの林は、石を大切に保管するわけではない。驚きの行動に出る。この林の行動と童石は、その後思いもよらぬできごとにつながっていく。時空を超えた物語だ。ただ少々現実離れしているので、その辺をどうとらえるかで評価が分かれる作品ではないだろうか。ラストはあっさりしていてちょっと物足りなさを感じた。ひとつ疑問が・・・この作品はやはりミステリーなのだろうか?



| ”ふ” その他 | 20:58 | comments(0) | ゆこりん |


戦場のコックたち(深緑野分)

1944年6月のノルマンディー上陸作戦が初陣だった。ティムは、普段は戦場での食事作りが主な仕事のコックだが、ひとたび戦闘が起これば銃を持つ。彼は、戦場で起こるさまざまな謎に、仲間たちと挑んでいく。はたしてその謎は解けるのか?

戦場の日常の中に起こるミステリー。そういう設定だが、私たちの日常とは大きくかけ離れている。そこで起こるのはささいなできごとだが、舞台が戦場なので何だかしっくりこない。戦闘が頻繁にあり、仲間が次々に死んでいく。そんな状況の中で、謎解きとは・・・。読むのがすごく苦痛だった。
「ミステリーであり、戦争物語であり、友情物語であり、成長物語である。」と述べている人がいるが、戦争色が濃いような感じがする。謎解きも友情も成長も、戦争の前ではかすんでしまう。戦争の悲惨な描写のみが強烈に迫って来る。ラストでは多少救われたが、全体的な印象はあまり良くなかった。戦争とミステリーの融合は、私には合わなかった。



| ”ふ” その他 | 20:56 | comments(0) | ゆこりん |


怪物(福田和代)

刑事の香西には、人が死ぬ瞬間に発散する「死」の匂いを感じ取ることができるという特殊能力があった。彼は、失踪した橋爪という男の行方を追い求めているときに、ゴミ処理施設で働く真崎という青年と出会う。真崎の周辺に「死」の匂いを感じ取った香西は、真崎が橋爪の失踪に関わっているのではと疑いを抱く。「この男が犯人なのか?」香西は、真崎という男に次第にのめり込んでいくのだが・・・。

失踪した男はいったいどこに消えたのか?真崎からゴミの特殊な処理方法を聞かされた香西は、真崎に疑念を抱く。そんな中、別の事件が起こった。それは、香西の刑事としての正義感を根底から覆してしまう。香西はしだいに泥沼にはまり込み真崎に翻弄させられるが、その過程はなかなか面白いと思った。だが、後半になるにつれ話の軸が次第に逸れていくような違和感を覚えた。前半と後半では全く印象が違う感じがする。それに、作者の言わんとしていることが曖昧で分かりづらい。何に主点を置いているのかはっきりしない。香西の心が変化していく様子も説得力が弱い。読んでいて、ん?ん?ん?と疑問符が頭の中を飛び交った。ラストもすっきりしない終わり方で、読後感もよくなかった。少々期待外れだった。



| ”ふ” その他 | 19:27 | comments(0) | ゆこりん |


蘆火野(船山馨)

武田斐三郎に師事するべく函館にやって来た河井準之助は、斐三郎の下で働くおゆきと知り合う。勉学に励む一方で、料理の腕を振るう準之助。毎日かいがいしく働くおゆき。そんなふたりは、いつしか互いに惹かれあうようになる。だが、幕末から明治へと時代は激動の時を迎え、ふたりも巻き込まれていくことになる。準之助とおゆきの運命は・・・。

武田斐三郎、土方歳三、大鳥圭介、ブリュネ、新島襄など、歴史上の人物も数多く登場する。時代は激しく揺れ動いた幕末から明治。時代の波に翻弄され離れ離れになりながらも、おゆきと準之助はしっかりと心で結びついていた。数々の困難や試練がふたりを襲う。函館における官軍と旧幕府軍の戦いでは、命の危険さえ・・・。かろうじて函館を脱出したふたりはやがてフランスのパリへ。準之助の料理人としての修行が始まる。だが、パリもふたりにとって安住の地ではなかった。普仏戦争が始まり、ふたりを巻き込んでいく。「いつかふたりで函館に自分たちの店を。」準之助の願いは、ラストで切なさを読み手にもたらす。おゆきの運命にも涙した。
細やかで、そして味わいのある描写で、静かな感動を与えてくれる作品だった。日本の歴史やフランスの歴史にも触れられていて、そちらの方も読み応えがあった。



| ”ふ” その他 | 19:26 | comments(0) | ゆこりん |


プロメテウス・トラップ(福田和代)

かつては「プロメテ」呼ばれる天才ハッカーだった能條良明。その後彼は平凡な在宅プログラマーとしての生活を送っていた。だが、ある男からICチップの解析を依頼されたことで事件に巻き込まれていく。敵は、サイバーテロ・・・。見えない敵に、彼はどう立ち向かっていくのか?表題作を含む6編を収録。連作ミステリー。

パスポートの偽造、会社や政府機関のコンピューターへのハッキング、そしてスーパーコンピューターとのチェス対決の描写などに、作者のIT関係の知識が遺憾なく発揮されている。好きな分野なので、とても興味深く読み進めた。テーマはとても面白いと思うが、描写にぎこちなさを感じるし、ストーリー展開にも軽快さがなく、少々もたつきを感じる。また、描写不足のせいか、主人公の能條にもそれほど魅力を感じなかった。なので、読んでいてぐいぐい引き込まれるような感じではなく、そこがちょっと残念だった。だが、ラストは意外性があり、全体的には楽しめる作品に仕上がっていると思う。



| ”ふ” その他 | 16:57 | comments(0) | ゆこりん |


血と夢(船戸与一)

1981年3月、ドイツのブロウミッツに漂着した男の死体から驚くべき事実が判明した。新型の銃がソ連で開発された!それに関する情報をめぐり、さまざまな国や男たちが動き出す。元自衛隊陸幕一尉の壱岐もアフガニスタンへと送り込まれるが・・・。

20数年前のアフガニスタンの複雑な国の内情が詳しく述べられていて、とても興味深く読んだ。アフガニスタンに送り込まれた壱岐の任務は、銃を開発したワシリー・ボルコフを、彼が開発した銃とともに拉致することだった。厳重な警戒の中、果たして彼は任務を遂行できるのか?いったいどんな方法をとるのか?緊迫した展開を、息詰まるような思いで読んだ。人をより多く殺戮する目的で作られた新型の銃。そして、その銃の情報を得ようとして、また多くの人の命が犠牲になる。血で血を洗う修羅場のような状況だ。人が血を流し死んでいく描写は、小説といえども読むのがつらかった。また、最後に待っていた結末もほろ苦い。誰も救われないのは、あまりにもむなしすぎる。



| ”ふ” その他 | 17:19 | comments(0) | ゆこりん |