キャロリング(有川浩)
2014.11.10 Monday
小規模子供服メーカー「エンジェル・メーカー」のクリスマス倒産が決定!それと同時に学童保育も終了することに・・・。「エンジェル・メーカー」で働く元恋人同士の俊介と柊子。そして、両親の離婚の危機で悩んでいる学童保育に通ってくる航平。航平は何とか両親を仲直りさせたいと思い、今は別居している父親に会いに行こうとする。俊介と柊子はそんな航平と行動を共にするのだが・・・。
航平の両親の不和はもうどうしようもない。それは小学生の航平には理解できない。父親が母親に謝ればすべてうまくいくと思いこんでいる。両親の不仲がいったいどれほど子どもの心を傷つけるのか・・・。読んでいて切ない。元恋人同士の俊介と柊子の関係も微妙だ。ふたりともまだ心が揺れ動いている。ふたりともまだお互いに相手を想っている。そのことが、ふたりのしぐさや言葉からにじみ出ている。もう一度寄り添いたいと思っているのになかなかそれができない。そういう作者の描写は絶妙だ。
「離婚してほしくないという少年の願いは?」「俊介と柊子はどうなる?」そこに「誘拐」という要素が加わり、事態は思わぬ方向に・・・。
現実味が乏しくドラマっぽい展開だが、後半はよくまとめられていたと思う。ラストもぐっとくる。読後、心がほんのりと温かくなる作品だった。
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