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レオナルドの扉(真保裕一)

祖父のベルナルドとともにおだやかな生活を営んできた若き時計職人ジャン。だが、彼の住む小さな村にフランス軍が侵攻する。狙いは、レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した秘密のノートだった。そのノートは本当に存在するのか?また、何が書かれているノートなのか?ジャンの秘密とは?

天才レオナルド・ダ・ヴィンチのノートを、さまざまな人間が追い求める。その中には、かの有名なナポレオンもいた。そのノートさえあれば世界征服も夢ではないのだ。追う者、追われる者、両者の攻防は手に汗握る緊迫感がある。レオナルドのアイディアを使い、ジャンが敵の包囲網から脱出する描写は爽快だった。
素晴らしい道具は人々を幸せにする力がある。だが使い方を間違えると、それは恐ろしい兵器になる・・・。ジャンが必死で守ろうとしたのは人々のささやかな幸せなのだ。ラストはどうなるかと思ったが、まあ納得できるものだった。
作者があとがきでも触れているが、アニメにしたら面白いのではないだろうか。子供が喜びそうな作品になると思う。



| 真保 裕一 | 20:01 | comments(0) | ゆこりん |


ローカル線で行こう!(真保裕一)

もりはら鉄道は、JRから経営を引き継いだ第3セクターのローカル線だ。地域の足となっているが、赤字続きで国からの交付金も底をついてしまった。
「もりはら鉄道に未来はない。」
誰もがそう思っていたとき、ひとりの女性が登場する。篠宮亜佐美!彼女は新社長としてこの赤字ローカル線の建て直しを試みるが・・・。

第3セクターのローカル線。それはどこも厳しい経営状況にあるのが現状だ。しかし、簡単に廃線にはできない。地域の足を奪うことになるからだ。「赤字解消」その困難な目標に向って、篠宮亜佐美は果敢に挑戦を続ける。次々に出される奇抜なアイディア。マスコミも上手に利用して、彼女は売り上げを着実に伸ばしていく。だが、それを喜ぶ者ばかりがいるわけではない。中には、自分の利益優先のために快く思わない者もいる。不可解なできごとが次々に起こる。予想外の出費!イベントへの妨害工作!列車の進路妨害!もりはら鉄道を窮地に追い込むため、敵はあらゆる方法を画策する。けれど、亜佐美はそのつど危機を乗り越える。まだ赤字が解消されたわけではない。乗客数がこれからも伸び続けるのかも未知数だ。だが、彼女は胸を張って己の信念を貫き通すだろう。歩くその先に、明るい未来が待っていることを信じたい。読み出したら最後まで止まらない、楽しい作品だと思う。



| 真保 裕一 | 19:24 | comments(0) | ゆこりん |


追伸(真保裕一)

一緒に行くはずだった妻が交通事故に遭い、夫だけがひと足先に赴任先のギリシャに向かった。ギリシャの地で妻を待つ夫に届いたのは、離婚を願う妻からの手紙だった。いったい妻に何があったのか?手紙だけで構成された異色の作品。

離婚の原因はいったい何か?山上と妻美奈子の間で交わされる手紙から読み手はそれを探っていく。発想的にはとても面白いと思った。また、美奈子の祖父と祖母の手紙も、お互いに思いやりにあふれ、胸が熱くなった。だが実際に、こういう内容の手紙を書けるものなのだろうかという疑問も残る。平凡な生活を送る平凡な人が書いたとは思えない。「普通の人はこんなふうに書かないのでは?」と不自然に感じるところがあり、完全には感情移入ができなかった。美奈子が離婚を決意する理由も、納得できない。説得力に欠ける気がする。ただ、手紙のよさを改めて感じさせてくれる作品だった。読後、誰かに無性に手紙が書きたくなった。



| 真保 裕一 | 16:42 | comments(0) | ゆこりん |


連鎖(真保裕一)

友人の竹脇が車ごと海に転落。警察は自殺と判断するが、羽川はどうしても納得できなかった。竹脇はいったい何を調べていたのか?彼の足跡をたどっていくうちに、放射能汚染食品の輸入という恐るべき事実が見えてきた・・・。

厳密な検査を受け、OKの出たものだけが輸入されている。誰もがそう信じていることだろう。だが、その信頼を根底から覆す恐るべき事実が!どんなに厳格なチェックにも必ず抜け道がある。それを巧みに利用した犯罪を描いたこの作品は、読んでいて驚きの連続だった。それぞれの利害関係、追う者と追われる者、緊迫した展開は読み手を飽きさせることはない。この作品を書くに当たっての、作者の緻密な下調べの努力も垣間見える。ラストも無難にまとめられていた。それにしても・・・世の中に絶対安全という食品があるのか?とても疑問に思えてくる。



| 真保 裕一 | 16:08 | comments(0) | ゆこりん |


最愛(真保裕一)

小児科医の押村悟郎に、警察から電話が・・・。18年間会っていなかった姉が救急病院に搬送された。しかも、大変危険な状態らしい。姉は前日に婚姻届を出していたが、相手の男は行方不明だった。はたして姉に何があったのか?

幼い頃両親と死に別れ、姉弟でつらい思いをしてきた。そんな過去を織り交ぜながら話は展開する。姉はいったいどんな生活をしていたのか?姉はいったい何をしたのか?そこに隠された真実は?それが知りたくて一気に読んだが、真相が分かってもそれほどの感動はなかった。姉のエピソードも語られていたが、ちょっと大げさで、わざとらしく感じた。姉弟の関係は、「そう来たか!」といった感じだが、「そうしなきゃダメなの?」と思ってしまう。作者はこの作品になぜ「最愛」というタイトルをつけたのか?その意味がよく理解できない。恋愛小説?ミステリー?どっちつかずの中途半端なものになってしまったのでは?



| 真保 裕一 | 19:02 | comments(0) | ゆこりん |


灰色の北壁(真保裕一)

「二十世紀の課題のひとつ」と言われ続けたカスール・ベーラの北壁。そこをたったひとりで、しかも驚くほど短時間で制覇した男がいた。だが、ある疑惑が生じる。発端となった記事に隠された真実とは?表題作を含む3つの作品を収録。

「なぜ山に登る?」「そこに山があるから」これは有名な言葉だが、この作品を読むと、まさにその言葉どおりの世界が広がっていた。自然の大きさから比べると、人間は本当にちっぽけな存在でしかない。だが、人はその雄大な自然の一部でもある。人は山に登ることでそのことを感じ、そして自分を再生していくのではないだろうか。この作品に登場する者たちも、それぞれに自分を見つめなおしていく。山と、それに関わる人たちの悲しみや苦悩がとてもよく描かれていて、楽しめる作品だった。



| 真保 裕一 | 16:33 | comments(0) | ゆこりん |


真夜中の神話(真保裕一)

「仕事優先の生活が、夫と娘を死に追いやった・・。」
癒えることのない傷を心に抱えている晃子。ある日彼女の乗った飛行機が墜落した!瀕死の彼女を助けたのは、外部との接触を断ち続ける村の住人だった。そしてその村には、神秘の歌声を持つ少女がいた・・・。今なお残る吸血鬼伝説とは?

晃子の驚異的とも思える傷の回復ぶり。吸血鬼伝説におびえる地元住民たち。そこにからむ、少女を狙う謎の男たち。そして殺人事件。これらがどうつながっているのか?少女の歌声にはどんな秘密があるのか?緻密な描写はさすがだと思う。しかし、「どこかに無理があるのではないか?」読んでいる間中、その思いを拭い去ることが出来なかった。晃子の、家族を失った苦悩もうまく伝わってこない。最初から最後まで、心が入り込めない作品だった。



| 真保 裕一 | 14:23 | comments(0) | ゆこりん |


盗聴(真保裕一)

永田町のどこかに盗聴器が・・。電波の発信源を特定し、プロテクトを解除したとたんレシーバーから聞こえてきたのは、殺人現場の音だった・・。表題作を含む5編を収録。作者の初の短編集。

人の心に何が潜んでいるのか・・。知られたくない過去を隠すため、日ごろの恨みを晴らすため、人は罪を犯す。人の心というのは、とても怖い一面を持っている。作者は、犯罪に至るまでの過程や、その後の様子をとてもよく描いている。どの作品も、充分に練られているといった印象だった。長編にはない作者の魅力が、よく出ているのではないだろうか。



| 真保 裕一 | 15:43 | comments(0) | ゆこりん |


繋がれた明日(真保裕一)

中道隆太。彼は殺人を犯し懲役7年の刑を言い渡される。仮釈放となり刑務所を出た彼はまじめに働こうとするが、思わぬ災難が降りかかる。罪、罰、償い・・・。様々な重いテーマを抱えた作品。

人の罪は、懲役刑に服したからといって簡単に許されるものではないのか?まじめに働こうとしても、罪を犯した過去は執拗にまとわりついてくる。被害者の家族も、そして加害者の家族も、言葉には言い表せないほどの苦しみを背負って生きていかなければならない。「殺される側にも非があった。」最初そう考えていた隆太だったが、「殺される」ということを身をもって知ったとき、初めて罪の重さに気づく。人はどんな場合でも、やってはいけないことがある。それを知った彼を、はたして周りは温かく迎え入れてくれるのだろうか?また、自分なら迎え入れることができるのか?読んだあと、様々な思いが胸の中に渦巻いていた。



| 真保 裕一 | 08:33 | comments(0) | ゆこりん |


奪取(真保裕一)

友人雅人の借金のためにヤクザに脅され、やむなく偽札造りを思いついた道郎。それは彼が本格的な偽札造りに取り組むきっかけとなる。より完璧に!はたして彼らの造った偽札は、本物となりうるのか?日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、受賞作品。

笑いあり、涙あり、友情あり、恋あり。そしてスリルとサスペンス。事態はめまぐるしく展開する。長編だが、読者を飽きさせずに最後まで引っ張っていくのは、やはり作者の筆力のすごさだ。専門的な知識の描写は理解しづらいが、それもこの作品には必要だと納得させられてしまう。いかに人を欺くか。読んでいてとても楽しめた。ラストも見事!読んだ人はあっと驚くに違いない。



| 真保 裕一 | 10:13 | comments(0) | ゆこりん |