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めくらやなぎと眠る女(村上春樹)

聴力に障害のあるいとこを病院に連れて行くとき、彼は過去に聞いた物語を思い出していた。めくらやなぎの花粉をつけた蝿が耳に入り、女を眠らせる。そしてその蝿は、女の体の中身を食べていく・・・。いとこの耳と、眠る女の耳。目に見えないものの中にある重要なものとはいったい何か?表題作「めくらやなぎと眠る女」を含む6編を収録。

村上春樹さんの文章には、実にさまざまなメッセージが含まれている。読んでいるときには分からなくても、そのメッセージは確実に心の中に入り込んでいる。そしてそれは、日常生活を送る私の目の前にさまざまな感情を伴って突然現れる。恐怖、不安、感傷、憐憫、ときにはおぞましさも・・・。
6編の中で特に印象に残ったのは、「七番目の男」だった。波にさらわれたKのにやりと笑った顔が目に浮かんできそうで、背筋が寒くなった。「蟹」の気味悪さも、後々まで残るものだった。思わず手で口を押さえそうになった。「人喰い猫」では、猫がさまざまなものを食べる音が聞こえそうで怖かった。これらの話は、読んだあともかなり長い間心に残り続けた。完全に村上ワールドの世界に引き込まれてしまった。中には正直まったく理解できない話もあったが、それはそれで不思議な魅力を感じさせるものだった。読み手をこんなに複雑な気持ちにさせる作家は、他にはいないのではないだろうか。
長編とはまったく違う味わいがある作品だった。村上ファン必読の1冊だと思う。



| 村上 春樹 | 19:46 | comments(0) | ゆこりん |


1Q84 BOOK3(村上春樹)

「さきがけ」のリーダーを殺害した青豆の行方を追う牛河。安全な場所への移動を拒み、ひたすら天吾に会うことだけを思い続ける青豆。一方天吾は、自分の部屋にふかえりを匿ったまま、眠り続ける父と対峙するため父のいる街へと向かう。天吾と青豆は再会できるのか?彼らはもとの世界に戻れるのか?

月がふたつある1Q84の世界にいるふたり。青豆はそれが不可抗力ではないことを知る。「いるべくしているこの世界。」そう感じたとき、青豆はこの世界にいる意味を考え始める。その考えの行き着く先には天吾がいる!命を懸けた青豆の思いは届くのか?1984の世界に再び戻ることができるのか?この作品を読んでいると、確かな世界などどこにも存在しないような気がする。何を信ずるべきか?信ずるに値すべきことはいったい何か?自分が今ここに存在するのはいったいなぜか?世界の本質、人間の本質が、作者に問われている。読み手はその作者の問いに答えられるのか?答えられずにたじろいでいる自分がいる。たぶん、これから一生をかけてその答えを見つけなければならないのだろう。次はどんな世界が、天吾と青豆を待っているのか・・・。楽しみと不安が入り混じる。本当に深いものを抱えた作品で、読み応えがあった。満足♪



| 村上 春樹 | 18:11 | comments(0) | ゆこりん |


1Q84(村上春樹)

天吾は小松から、「ふかえり」という17歳の少女が書いた「空気さなぎ」の物語を本に仕上げるように依頼される。その内容は天吾の心をとらえ、強く揺さぶった。「空気さなぎ」と「リトルピープル」。このふたつが、まったく関係のないところで生きてきた天吾と青豆とを結ぶ糸になっていく。1984年の世界から1Q84年の世界に足を踏み入れた青豆。望む望まないに関わらず、彼女はしだいに天吾との距離を縮めていくことになるのだが・・・。

この世の中、私たちが存在している世界が確かなものだなんて、いったい誰が言えるだろう。皆が確かなものだと錯覚しているだけかもしれないのに。自分自身についてもそうだ。自分の本質を見失わないように生きているつもりでも、いつの間にかその本質が失われてはいないだろうか。
「空気さなぎ」は、何もないところから新しいものを生み出すものではなく、本来あるべきその人の「本質」を、目に見える形で示すべき手段ではないのか?そして、「空気さなぎ」を作り出す「リトルピープル」は、人の中に存在する「核」のようなものではないのか?
この作品の中では、天吾と青豆の物語が交互に語られている。天吾と青豆、ふたりの思いは同じだった。どんなに離れていようと、置かれている状況がまったく違っても、見つめているものは同じなのだ。その出発点は、10歳の時のできごとにある。それはほんの一瞬のできごとだった。しかし、ふたりのその後の人生を決定づけるには充分な時間だったのだ。天吾と青豆は再会できるのか・・・?
もし、1Q84に3巻目があるとしたら、それは読み手の心の中に作り出される世界に存在するのだと思う。どんな世界になるかは、読み手しだいだ。
読後、さまざまな感情が入り乱れ、さまざまな思いが押し寄せてくるが、それは決して不快なものではなかった。そのあとで心に残るのは、厳粛な感動のみ。果てしない広がりと深さを持つ作品だった。

こんなに感想を書くのが困難な作品は初めてだったかも・・・(汗)。



| 村上 春樹 | 15:46 | comments(0) | ゆこりん |


ノルウェイの森(村上春樹)

どんなに時がたとうとも、決して忘れられない人がいる・・・。
かなうことのなかった恋を、哀しく歌い上げた作品。

主人公と直子との恋。それは、表面上は静かで穏やかに見えた。けれど、心の中ではお互いがお互いを激しく求め合っていた。だが、求めても求めても決して得ることのできないものもある。二人は、寂寞感を抱えながらも一生懸命生きようとしたのだが・・・。
ほかに道はなかったのか?こんなにも哀しい生き方しかできなかったのか?激しい哀しみは、時に人から生きる意欲さえも奪ってしまう。そこからどう立ち直り、どう自分を再生すればいいのだろうか?読んでいて胸が痛い。ラストに、ある女性が主人公に言った
「痛みを感じるのなら、その痛みを残りの人生を通してずっと感じ続けなさい。そしてもし学べるものなら、そこから何かを学びなさい。」
という言葉が強く心に残った。



| 村上 春樹 | 16:48 | comments(0) | ゆこりん |


レキシントンの幽霊(村上春樹)

知り合った男の家は、レキシントンにある古い大きな家だった。あるとき留守番を頼まれた「僕」が、その家で真夜中に体験したできごととは?表題作を含む7編を収録。

どれも不思議な雰囲気を持った話だった。読めば読むほど味わいがあるが、同時に得体の知れない怖さも感じる。読んでいると、深い闇の底を覗き込んだときのような不安や恐れが迫ってくる。どの話も面白いと思ったが、一番印象に残ったのは「沈黙」だった。人の悪意ほど恐ろしいものはない。一人の人間の悪意が多くの人たちを動かしていく。そしてその悪意が特定の人間に向けられたとき、悲劇が始まる。決して物語の世界だけのできごとではない。いつ自分の身に起こるか分からないできごとなのだ。最後に大沢が語る言葉が切実に胸に迫った。本当に怖いものは、すぐ身近にあるのだ。



| 村上 春樹 | 16:18 | comments(0) | ゆこりん |


村上朝日堂はいほー!(村上春樹)

さまざまな名作を生み出し続けている村上春樹氏。彼の日常生活や日頃考えていることが垣間見えるエッセイ。

小説だけを読んでいると、そのイメージで作者をとらえてしまいがちだ。だがエッセイを読むと、こんな一面もあったのかと驚かされることが多々ある。ものの見方、考え方、そして趣味や嗜好まで、幅広く書かれた内容は興味深い。なかには、作家としての鋭い洞察力を感じるものもある。さまざまなことについて書かれているが、その中で「おっ!」と思ったのは、「ウサギ亭」のコロッケ定食。読んでいるうちにたまらなく食べたくなってしまった。このお店、どこにあるのだろうか?気になる・・・。



| 村上 春樹 | 11:07 | comments(0) | ゆこりん |


東京奇譚集(村上春樹)

「まさか、そんなことはあるはずがない。」そう思いながらも心のどこかで「あり得るかも・・・。」と思ってしまう。そんな不思議な話を5編収録。

あり得なさそうであり得る話。単なる偶然と片付けるにはあまりにも不思議な出来事。そういうことを経験した人は、世の中にはけっこういるのかもしれない。いつもの日常生活の中にそれは何気なく存在していて、ある時ふっと現れる。怖いような気もするし、体験してみたいような気もする。科学では割り切れないものが、この世の中にはまだまだたくさん存在する。それはきっと人の心の中にも存在するものなのだろう。しばし日常を忘れさせてくれる作品だった。



| 村上 春樹 | 17:06 | comments(0) | ゆこりん |


象の消滅(村上春樹)

ある日、象と飼育係が忽然と姿を消した。それはまるで「消滅した」という消え方だった。象の最後の目撃者である男は、そのときにいったい何を見たのだろうか?表題作「象の消滅」を含む17編を収録。

以前、この作者の別の作品を読んだときにも感じたことだが、文字の持つ意味だけをとらえようとすると、彼の作品は理解できないような気がする。文字の裏に隠されたもの、それはいったい何なのか?読んでも読んでもつかめないこともあるが・・・。また、同じ作品でも、いつも同じ姿で読者の前には現れてくれない。読むたびに色も形も変わっている。彼の作品は多彩な面を持っている。
この作品からは、何気ない日常の中で人の心が変わる瞬間や、人が心の奥に何を秘めて生きているのか、そういうものがぞくっとするほど激しく伝わってくる。人の本質を見つめようとする作者の思いが込められているのだろうか?とても不思議な雰囲気を持った作品だった。



| 村上 春樹 | 17:30 | comments(0) | ゆこりん |


ふしぎな図書館(村上春樹)

いつもの図書館にいつものように本を返して、いつものように本を探していただけなのに・・・。図書館にとらわれた「ぼく」は、はたして無事に家に戻れるのか?大人のためのファンタジー。

いつもの図書館がいつもの図書館ではなくなる。日常の当たり前が当たり前ではなくなって、別の世界が現れた!だが「ぼく」はそれほど驚きもせずに受け入れる。村上春樹の独特の世界が広がっている。怖いような話だけれど、怖さを感じさせない。悲しいような話だけれど、悲しさも感じさせない。「無」から生まれて「無」に還るようなそんな話だった。「ぼく」に残されたものはいったい何だったのだろう?それを考えるのは、やはり読者なのだ。物語に添えられている絵もとても素敵だった。(絵は佐々木マキさん)



| 村上 春樹 | 15:17 | comments(0) | ゆこりん |


アフターダーク(村上春樹)

真夜中から夜が明け、人々が目覚めるまでの時間。その数時間、眠らない人々がいた。彼らの生活、彼らの思想、彼らの行動を通して、人という物体の奥底に流れるものを、独特の視線で描いた作品。

考え方、生活のパターン、性格、性別・・。それぞれ異なる人々が、同じ時間の中にいる。どこかでつながっているようでもあるけれど、それに気づくことなく生きている。そういう人たちを、密やかに見つめる目がどこかにある。それは人間ではない。人間の想像をはるかに超えた、超自然的なものではないだろうか。人々の真の目覚めとは?おのれの心の内側をのぞき見れば、答えは見つかるのだろうか?難解な作品だけれど、私好みの作品だった。



| 村上 春樹 | 16:38 | comments(0) | ゆこりん |