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ノースライト(横山秀夫)

「ぜひ、青瀬さんに!」
依頼者の強い希望で、一級建築士の青瀬は家を設計する。しかし、新築の家に、依頼者は引越してこなかった。その家に残されていた一つの古い椅子・・・。それは、いったい何を意味するのか?

「あんなに楽しみにしていた家が完成したのに・・・。」依頼者が引っ越していないことに、青瀬は愕然とする。「なぜ自分にあれほどの強い希望で設計を依頼したのか?」青瀬の疑問は深まっていく。青瀬は、依頼者の行方を追うことにした。そこには、思いがけない真実が隠されていた!
人と人とはどこかでつながっている。この作品を読むと、そのかかわりの不思議さや奥深さを感じずにはいられない。依頼者の謎を追う。そのことは、青瀬と妻や娘との関係にもいい意味で影響を及ぼす。その部分が絶妙だと思う。ミステリーと言うよりは、青瀬自身、そして彼と彼の家族との再生の物語のような気がする。凝りすぎていてリアリティに欠けると思われるところもあるが、それなりに楽しめた。



| 横山 秀夫 | 22:08 | comments(0) | ゆこりん |


64(横山秀夫)

「未解決誘拐事件を長官が視察」という難題が持ち上がった。今では"ロクヨン"と呼ばれる誘拐事件は、14年前に起こった。誘拐された7歳の少女は犯人に殺害され、無残な姿で発見されたのだった。「なぜ今になってロクヨン視察が?」誰の胸にも疑問が浮かぶ。実は、その視察には重要な意味があったのだが・・・。

容疑者の匿名問題をめぐって報道関係者と警察の対立が起きる。そんな最悪の状況の中で突如持ち上がった未解決誘拐事件の長官視察。長官はロクヨンのことを本当に真剣に考えているのか?いや、そうではない。そこに見えるのは警察内部の事情だった。だれも事件のことを真剣に考えていない。考えるのは、自分の保身や体面を取り繕うことだけだ。遺された被害者の家族は、どれほど警察に失望感を抱いたことだろう。それだけに、被害者家族の描写は読んでいて切ない。どんなに月日が経とうとも、色あせることのない悲しみがそこには渦巻いていた。読んでいて、その悲しみが生み出す執念に圧倒された。
この作品の中には実にさまざまな伏線がある。長くて途中読むのに飽きてしまった時もあったが、後半は一気だった。さまざまな伏線は、やがてラストを鮮やかに彩る。この結末にたどりつけて本当によかった。見事な締めくくりだと思う。
これだけの長さが本当に必要だったのか、疑問は残る。でも、読んだあとの充実感は格別のものがある。面白い作品だった。



| 横山 秀夫 | 20:33 | comments(0) | ゆこりん |


深追い(横山秀夫)

昔付き合っていた明子の夫が事故死した。現場に落ちていたカード型のポケットベルを拾った秋葉は、彼女が死んだ夫にメッセージを送り続けていることに愕然とする・・・。表題作を含む7編を収録。

7編とも、作者の巧さが光る。特に印象に残ったのは、表題作の「深追い」だった。追い詰めるつもりなどなかったのに、結果的には追い詰めることになってしまった好意の行動。その皮肉さが何とも言えなかった。心にやましさがあると人は判断を誤ってしまうのか。そのほかの作品も、心理描写が見事だった。登場人物の揺れ動く内面が、しっかりと読み手に伝わってくる。人は強くもあり、弱くもあり・・・。切なさも感じる、読み応えのある作品だった。



| 横山 秀夫 | 18:12 | comments(0) | ゆこりん |


顔(横山秀夫)

ある事件がきっかけとなり、鑑識課機動鑑識班から秘書課広報公聴係に配属された平野瑞穂。得意技は似顔絵描きだったのだが・・・。彼女の周りで起こるさまざまな事件に、その能力を発揮することが出来るのか?

自分の精神がズタズタになるような事件の後、瑞穂は似顔絵描きの腕を振るう機会を奪われた。「女は使えない!」そんな言葉も浴びせられる。「婦警」という立場に耐え切れず辞めていく友人もいた・・・。今もあるのだろうか?女性蔑視の風潮が。だが、女性にしか出来ないこと、女性だからこそ気づくということもあるはずだ。彼女は必死に自分に出来ることを見つけようとする。まさに孤軍奮闘。そんな彼女の努力が報われるときがあった。読んでいて思わずほっとする。作者得意の警察物だが、女性を主人公にしたものはあまりないのではないだろうか?異色ともいえる作品だった。



| 横山 秀夫 | 15:37 | comments(0) | ゆこりん |


震度0(横山秀夫)

阪神大震災が起こった1月17日、N県警本部の警務課長の不破が失踪した。不破の失踪は県警内部に激震をもたらすのか?それぞれの部の思惑や個人の利害関係もからみ、事態は思わぬ方向へ・・・。警察内部を舞台にしたミステリー。

部や個人の利害関係ばかりが優先され、不破の失踪を心から心配している人間はいない。内部の不祥事を、おおやけにならないうちに解決しようとする人間ばかりがうごめいている。はたして不破はどうなったのか?それぞれの部や人間の駆け引きの後見えた真実は意外なものだった!ラストは題名が生きていると思った。だが不破の人間像が描ききれていないと思う。だから、真実が明らかになったときも感動はなかった。それと、不破の失踪が阪神大震災の刻々と増える犠牲者の数、行方不明者の数、負傷者の数よりも優先だというこの作品の描き方には反発を覚えた。警察内部の自己中心的な考えを強調したかったのだろうとは思うが、とても不快だった。別に阪神大震災を持ち出さなくてもこの作品は書けると思うのだが。阪神大震災をこういうふうに扱うのは、犠牲者の方々に対してとても失礼だと思う。



| 横山 秀夫 | 23:27 | comments(0) | ゆこりん |


ルパンの消息(横山秀夫)

15年前の女性教師の自殺は、実は他殺だった!時効24時間前のたれ込み情報は、警察を混乱の渦に巻き込んだ。15年前、3人の高校生が計画した「ルパン作戦」。それはどういうものだったのか?また、事件とどういう関係があったのか?ラストには驚愕の真実が待っていた・・・。

たれ込み元が分からない情報・・・。時効まで24時間という限られた時間の中で、はたして真実は見えてくるのか?緊迫した状況は、読み手にも緊張感を与える。次第に明らかになっていく15年前の事件の夜のできごと。死んだ女性教師の裏の顔。はたして犯人は誰なのか?ラストには驚かされた。だが、詰めが甘く、多少の疑問も残る。前半がとてもよかったと感じるだけに、後半の展開には不満が残った。けれど、作者の処女作ということで、楽しみながら読んだ。非凡な才能をあらためて感じた作品だった。



| 横山 秀夫 | 14:48 | comments(0) | ゆこりん |


出口のない海(横山秀夫)

甲子園の優勝投手である並木浩二は、大学に入ってからヒジの故障で苦しんでいた。ある日彼は、速球のかわりに魔球を投げることを思いつく。毎日練習に明け暮れる日々。だが、戦争の暗い影が日本全体を覆い始めていた・・・。

平和な世の中なら、勉強に、スポーツにと、毎日の生活を楽しんでいる時期だろう。だが戦争は、並木やその仲間たちを戦場へと送り出す。そして並木は「回天」に乗ることを決意する。それは特攻兵器!一度それに乗って出撃すれば、二度と生きては戻れない。家族や恋人への思い、そして「生」への未練。並木の心は揺れる。その心情が痛いほど伝わってくる。最後まで魔球完成を夢見た並木。その思いを受け止めた仲間たち。戦争の悲惨さをあらためて思う。できれば、マウンドの上で魔球を投げさせてやりたかった。こんな悲劇がもう二度と起こらないようにと、願わずにはいられない。



| 横山 秀夫 | 11:45 | comments(0) | ゆこりん |


臨場(横山秀夫)

事故か事件か?人の「死」には、さまざまな理由がある。人から「終身検視官」と言われる倉石の鋭い目が、現場の状況の中に隠された真実を暴いていく。8つの短編を収録。

うっかりすると見逃してしまいそうな些細なことの中に、大きな真実が隠されていることがある。倉石の鋭い観察力は絶対にそれを見逃さない。人の心の奥底に潜むものさえも、時には見抜いてしまう。事件や事故を機械的に処理するのではない。そこには温かな心遣いが感じられる。そこが倉石の魅力となっている。倉石はこれから先もずっと検視官を続けていけるのだろうか?ラストの描写が気にかかる。



| 横山 秀夫 | 10:04 | comments(0) | ゆこりん |


看守眼(横山秀夫)

「死体なき殺人事件」・・。容疑者として取り調べられた山野井は、一貫して無罪を主張した。そして釈放。だが、山野井の行動に不信を抱く人物がいた。長年看守をしていた近藤は、この事件の裏にある真実を探り始めていた。表題作を含む6作品を収録。

人の心理を描いたもので、どれも面白かった。なかでも「看守眼」は特に面白かった。何気ないしぐさの中に、他の人が気づかなかった何かを感じ取る。それは長い間に培われた職業的な勘なのだが、そこから真実が見えてくる。人の心に潜むものは、知らず知らずのうちに行動となって現れてくるものなのだ。作者はそれを鋭く描いている。どの作品も、読者をのめりこませる魅力があった。楽しめる1冊だ。



| 横山 秀夫 | 14:23 | comments(0) | ゆこりん |


影踏み(横山秀夫)

家に火を放ち、弟啓二とともに焼死した母。救おうとした父もまた焼死する。一人きりになった修一は、傷害事件を起こし大学も退学になり、やがて刑務所へ。心の中に、死んだ弟の啓二を抱えたままで。

修一は、突然家族を全て亡くしてしまった。そのときから弟啓二は修一の心の中に住みつくようになる。啓二の抜群の記憶力を生かし、修一は逮捕された時からずっと疑問に思っていたことを調べ始める。謎を追う過程で、修一の過去が次第に明らかになっていく。修一と啓二の関係、母の思い、そして父のことも。
話としては面白いが、淡々と書かれすぎているような気がした。人物描写についてもそう思う。事件の背景もちょっとわかりづらい。読んでいて、夢中になれる作品ではなかった。



| 横山 秀夫 | 14:17 | comments(0) | ゆこりん |