東京會舘とわたし(辻村深月)
2018.03.21 Wednesday
大正、昭和、、平成。時代が変われど、東京會舘はいつもそこにあった。旧館、そして新館になってからの東京會舘をめぐる人々の様々な物語。
大正11年に丸の内に誕生した東京會舘。国際社交場としての華やかな時代があった。訪れる人たちも、夢と希望にあふれていた。だが、時代は移り変わり、激動の時代へと・・・。喜びだけではなく悲しみも苦しみも、この會舘は経験することになる。けれど、この作品の中では特別な事件などは起こらない。そこで繰り広げられるのは、ささやかな日常を生きようとする人たちの物語だ。
時代が変わっても東京會舘を愛し続ける人たちがいる。東京會舘とともに歳を重ねる人がいる。そして、どこかで微妙につながりあう人たち。人を思いやったり、思われたり。ここで語られるさまざまなエピソードが胸を打つ。読後は、静かで穏やかな感動に満たされた。深い味わいがあり、いつまでも余韻が残る、読みごたえのある作品だった。
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