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海の見える理髪店(荻原浩)

海辺の小さな町にある理髪店に、ひとりの若い男性がやって来た。理髪店の店主は、なぜかその男性にポツリポツリとおのれの人生を語り始める。彼はなぜ自分の人生を語り始めたのか?そして、彼の語る人生とは?表題作「海の見える理髪店」を含む6編を収録。

ひと口に人生といっても、その人生には人それぞれ実にさまざまなドラマがある。過去のあやまちを後悔し続けたり、戻らない日々を切なく思い出したり、厳しかった母の老いた姿に悲哀を感じたり・・・。人はいろいろな思いを抱えながら生きている。
6編の中で特に印象深かったのは、「海の見える理髪店」だ。自分の過去を語る理髪店の店主。そして、その話に耳を傾ける若い男性。ラストでは泣かされた。
どの話も楽しい話ではない。むしろ切ない。だが、切ない中にもどこかにほんの少しだけ温もりを感じることができる、深い味わいのある作品だと思う。



| 荻原 浩 | 19:48 | comments(0) | ゆこりん |


金魚姫(荻原浩)

死にたいと思っていた男の前に現れたのは、怪しい美女だった。縁日で金魚を買ってから起こる不思議なできごとの数々・・・。彼女は金魚の化身なのか?

ブラック企業で働く江沢は、上司から激しい嫌がらせを受けていた。身も心もボロボロで死ぬことを考えていた彼の前に現れたリュウという女性は、金魚の化身だった!だが、江沢はリュウと暮らすことで心を癒していく。心を通わせるようになったふたりだが、思わぬ結末が待っていた・・・。
江沢とリュウの関係は、ちょっぴり切ないものだった。逃れられない、どうしようもない運命というものもある。けれど、人はそれを乗り越えることができる。だから、あきらめてはいけない。まして、自ら命を絶つなんてことを絶対にしてはいけない。この作品からは、作者のそんな思いが伝わってくる。江沢はこれからもしっかりと生きていけると思う。どんなにつらいことがあっても、必ずその中から希望を見出していけると思う。生きることに前向きになって、本当によかった!
不思議で、そして切ない余韻の残る作品だった。



| 荻原 浩 | 20:27 | comments(0) | ゆこりん |


冷蔵庫を抱きしめて(荻原浩)


「夫とはまるで食べ物の好みが合わない・・・。」
直子は、夫・越朗と食べ物の好みが合わないことが悩みの種だった。そんなある日、ふとしたことがきっかけで直子は摂食障害になってしまう。それは、直子にとって2度目のことだった・・・。表題作「冷蔵庫を抱きしめて」を含む8編を収録。

「ヒット・アンド・アウェイ」は暴力男から2歳の娘を守るためにひそかに立ち上がった女性の話だが、彼女がどんどん強くなっていく様子は愉快だった。こんな男にはガツンと一発お見舞いするに限る♪
「冷蔵庫を抱きしめて」は、摂食障害からなかなか抜け出せない妻を思いやる夫の心遣いがよかった。結婚してみなければ分からないことは山ほどある(笑)。それを乗り越えて進むのが結婚生活かも〜。
「アナザーフェイス」は自分に似た男が現れる話だが、読んでいて背筋が寒くなった。逃げ場はないのか!?
「マスク」は、人の心理を巧みに描いた読みごたえのある話だった。ある意味、こちらも怖かった。
笑いあり、涙あり、そして恐怖あり・・・。どの話もインパクトがあり面白かった。ちょっと残念だったのは、「エンドロールは最後まで」が既読だったことだ。あちこちの本に収録されるているとたまにこういうことがあるが、なんだかすごく損をした気分になってしまった。



| 荻原 浩 | 20:07 | comments(0) | ゆこりん |


千年樹(荻原浩)

樹齢1000年と言われているくすの木の大木。その木は、いろいろな人たちの生と死を見つめてきた。はるか昔の人々から現在の人々までの、さまざまな生きざまを描いた作品。8編を収録。

おのれに課せられた運命を静かに受け入れ、ただひたすら枝を伸ばし生きてきた木。そんなくすの木のまわりで、さまざまな人間ドラマが繰り広げられた。いったいくすの木は何を思っていたのだろう。過去と現在のできごとが、くすの木のまわりで交錯する。どの話も強烈なインパクトを持って迫ってくるが、そこから感じるのはやるせなさばかりだ。こんな悲しい話ばかりを描いて、作者は読み手に何を訴えようというのか?人生、そんなにつらいことばかりではないはずなのに。ただただ心が暗くなるばかりで、読んでいて得るものが何もなかったような気がする。後味の悪さだけが残った。また、「千年樹」というタイトルが示すような、壮大な時の流れを感じさせる物語を期待していたが、それがあまり感じられなかったのが残念だった。



| 荻原 浩 | 18:04 | comments(0) | ゆこりん |


花のさくら通り(荻原浩)

オフィスの家賃の支払いが苦しくなり、郊外に引っ越してきたユニバーサル広告社。引越し先は、さびれた商店街の中にある和菓子屋の2階だった・・・。「ここの商店街を何とかしてほしい。」その思いに応えるべく、ユニバーサル広告社の面々が立ち上がった!「ユニバーサル広告社」シリーズ第3弾。

以前は活気があった街。子供たちの声が聞こえ、商店街もにぎやかで人通りが絶えなかった。それが今では、住んでいる人も高齢化し、商店街もすっかりさびれ、シャッターを閉めたままの店が目立つようになった。こういう姿の街が、日本のあちこちに増えている。この作品に登場するのもそんな街だ。「今までと同じやり方ではだめだ。新たな有効策を考えなくては!」そう叫んで街の活性化を模索する人々の前に、その街のぬしのような者たちが立ちはだかる。彼らは、今までのやり方を押し通そうとする。「商店街全体に危機が迫っているのに、なぜ分からないのだ!」あまりの頑固さに読んでいてイライラしてくる。ユニバーサル広告社の面々は、さまざまな困難を乗り越えながら、商店街の活性化のために奔走する。やがて少しずつ人々の意識が変わり始め、商店街に活気が戻り始める。努力が実を結んだ瞬間は、感動的だった。すぐには大きく変わらないだろう。でも、一歩ずつ確実に前に進み続けてほしい。読後、そんな想いが胸にあふれた。人情味あふれるさくら通り商店街が、これからもずっと続きますようにと願わずにはいられない。本当に楽しい作品だった。読後感もよかった♪



| 荻原 浩 | 15:14 | comments(0) | ゆこりん |


オイアウエ漂流記(荻原浩)

トンガ王国ファアモツ空港から飛び立った飛行機が行方不明に!乗客は10人。接待出張の面々、怪しげな外人、仲がいいのか悪いのか分からない不思議な新婚カップル、痴呆気味な老人とその孫、機長の犬・・・。無人島にたどりついた彼らに、明日はあるのか!?

日本から遠く離れた無人島においても、上司風を吹かせる男とそれに従う部下。なんだか典型的な日本の会社組織を見せられている気がする。こんな状況でも威張り散らす男が、愚かというより哀しく見える。だが、みんなが「生き抜く。」というひとつの目標に向かい始めたときに、立場に微妙な変化が生じる。人間、生きるためには必死になるものだ。知恵を出し合い、工夫を重ね、10人は救助される日をひたすら待ちながら生きていく。日々おのれの命と向き合うようなギリギリの環境は、ふだんの生活からは見えない人間の本質をあらわにする。他人の意外な面ばかりではない。自分自身の意外な一面を知ることになる。人間とは何か?生きるとは何か?作者は読み手に問いかけてくる。
「どんな状態に置かれても、可能性は最大限に生かす。そうすれば、道はきっと開ける!」読んでいてそのことを強く感じた。



| 荻原 浩 | 17:26 | comments(0) | ゆこりん |


ひまわり事件(荻原浩)

ある日突然、「ひまわり幼稚園」と有料老人ホーム「ひまわり苑」の間にあった壁が取り払われた。幼稚園の子供たち、老人ホームのお年寄りたち、それぞれが壁の向こうをおそるおそる覗いてみれば、そこには未知の世界(?)が広がっていた。ぎこちない交流が続く中、ある日衝撃的な事件が起こった・・・。

核家族化する中、幼稚園児から見ればお年よりはエイリアン、お年寄りから見れば幼稚園児はエイリアンに見えるかもしれない。年代はもちろん、考え方、行動思考パターンがまるで違う彼ら。ぎこちない交流を重ね、少しずつ信頼関係が築かれていく。ほほえましい部分もあるが、現代社会が抱える老人ホームの深刻な問題も描かれていて、いろいろ考えさせられる部分も多かった。事件の首謀者である元過激派学生だった片岡老人の悲痛な叫びが、問題の多くを語っている。一生懸命働き日本の国を支えてきた者が老いたとき、そこに何の希望も見えないのは悲しすぎる。
笑いあり、涙あり、作者お得意のパターンだが、少々長過ぎて読んでいる途中で飽きてくる部分があった。もっと簡潔にまとまっていた方が印象がよくなると思うのだが・・・。全体的には、まあまあ面白い作品だった。



| 荻原 浩 | 19:40 | comments(0) | ゆこりん |


メリーゴーランド(荻原浩)

生まれ故郷の駒谷市に戻り市役所に就職した遠野啓一は、赤字続きのテーマパーク「アテネ村」の再建を任される。民間の会社勤めの経験を活かし再建計画を遂行しようとする啓一だが、お役所の旧体制が行く手を阻む。はたして「アテネ村」はよみがえるのか?

新しいことには手を出さない。何かするときには上の者の顔色をうかがう。頑固でわからずやばかりの理事たちに手を焼きながら、彼は何とか打開策を見出そうとする。涙ぐましい努力をユーモラスに描いてはいるが、そこには悲哀感が漂う。努力しても、がんばっても、なかなか報われない。民間企業でもお役所でも、働くということは厳しいものだ。
「アテネ村を黒字にすることができるのか?」
そこにもいろいろな人たちの思惑が複雑に入り組んでいた。啓一の孤軍奮闘はいったい何だったのか?彼はむなしさを感じなかったのか?「これでいいのだろうか。」読んでいて、そうつぶやかずにはいられない。読後にちょっぴりほろ苦さが残る作品だった。



| 荻原 浩 | 15:27 | comments(0) | ゆこりん |


コールドゲーム(荻原浩)

4年前のいじめに関わった人間が、一人ずつ何者かに襲われていった。とろ吉と呼ばれ、いじめられていた廣吉剛史の存在が浮かび上がる。決して姿を現すことなく復讐を続ける廣吉。彼を追うかつてのクラスメート渡辺光也たちは、やがて驚くべき真実を知ることになる・・・。

いじめていた者たちにとっては過去のできごとだった。「今さらなぜ?」「もうすんでしまったことなのに・・・。」などと思うのは当然かもしれない。だが、いじめられていた者にとっては、いつまでも現在形のままなのだ。思い出すたびに心が血を流す。決して忘れることはない。一人の少年を寄ってたかっていじめる描写は、読んでいて胸が痛い。「何か言えば、今度は自分がいじめの標的になる・・・。」だから、誰も何も言えない。何も言わない。こんな状況は異常としか言いようがない。ひどい話だ。
ラストはある程度予想がついた。だが、それでも衝撃的だった。廣吉一家に平穏な日々が訪れることはもうないのか・・・?苦い思いが残る作品だった。



| 荻原 浩 | 17:20 | comments(0) | ゆこりん |


愛しの座敷わらし(荻原浩)

東京から田舎へ引っ越すことになった高橋家。一家の主人晃一が選んだ家は古民家!!その古民家で起こる不思議なできごとの数々は、座敷わらしのしわざだった・・・。バラバラになりかけた高橋家は座敷わらしとのふれあいを通して、いつしか家族の絆を取り戻していく。

読んでいる途中で、必要以上の描写にダラダラとした感じを抱いたが、それを補って余りある内容だった。家族の心がバラバラになりかけていたときに現れた座敷わらし。晃一・史子夫妻、娘の梓美、息子の智也、そして晃一の母澄代。それぞれの抱える問題は、いつしか和らいでいく。座敷わらしは福をもたらすと言われているが、福をもたらすのではなく、身近にありすぎて気づかない幸福に気づかせてくれる存在なのではないかと思う。高橋家の人たちもそれに気づいたとき、再び家族の絆を取り戻す。「私たちは、大切なものを犠牲にしたリ、失くしたり、忘れたりしながら毎日の生活を送っている。」そのことを強く感じずにはいられない。座敷わらしの生まれたいきさつにはホロリとさせられたが、全体的にほのぼのとした心が温まる作品になっている。ラストの1行は絶妙!輝いている♪



| 荻原 浩 | 15:59 | comments(0) | ゆこりん |