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ふくわらい(西加奈子)

鳴木戸定の名は、「マルキ・ド・サド」をもじってつけられたものだった。彼女が幼い頃に母とふくわらいをして遊んだことが、その後の彼女の人生に強い影響を与えることになる。さらに、特殊な家庭環境が定と「普通の人」たちとの間に見えない壁を作り出していた。定の進むべき道は・・・?

母とふくわらいをして遊んだことがよほど楽しかったのか、定はふくわらいにのめりこんでいった。このことと、母の死後に父とともに体験した特異なできごとが、彼女の人間性に大きな影響を与えた。定は、自分とまわりの人たちとの間に壁があるのを強く意識するようになる。しかし、彼女はよく分かっていなかったのではないのか。ほかの人と自分はどこが違うのかを。定は、人を平面的にしか見ていなかった。他人が泣いたり笑ったり怒ったりするのは、ふくわらいのように、単に目・口・鼻・眉の位置の変化だと思っていた。そんな定が少しずつだが変わり始める。顔は立体的だということにも気づく。そんな当たり前のことさえ定は今まで気づかずにいたのだ。人には顔があり、体があり、心がある。そしてそれらは繋がっている。そのことを知ったときの定の衝撃は大きかった。この瞬間、定は自分自身を解き放つ。それは、せき止められた水が一気にあふれ出すようだった。プロレスラーの守口の部屋で定に起こった異変は、彼女が「ヒト」として再生していくための一歩だったのだ。これからが、彼女の本当に人生なのだと思う。ラストは、うるっときた。定の光り輝く姿はいじらしくもあり、切なくもあり・・・。不思議な感動を与えてくれる、異色の作品だった。



| ”に” | 15:55 | comments(0) | ゆこりん |


きのうの神さま(西川美和)

父が倒れたという知らせを受け、病院に駆けつけた慎也。「兄は来るだろうか?」慎也の兄は父を尊敬し、父と同じ職業の医師をめざしたのだが、あるできごとがきっかけでまったく別の人生を歩み始めた。長いこと会っていない兄との再会は?そして父の様態は?「ディア・ドクター」を含む5編を収録。

5編の中で一番印象に残ったのは「ディア・ドクター」だ。父を尊敬し父と同じ医者をめざしたけれど、結果的にまったく別の人生を歩むことになった兄。それは父の態度に大きく関係があった。兄が父を尊敬すればするほど、父は兄に背を向けた・・・。父の心情は語られていないが、おそらく戸惑う気持ちがあったのではないだろうか。「自分はそんな人間ではない。」そういう思いが心の中に渦巻いていたに違いない。純粋な気持ちで尊敬のまなざしを向けられ、うろたえる父の姿が目に浮かぶようだ。父は兄が嫌いなわけではなかったと思う。むしろ、愛情を持って見つめていたはずだ。ちょっとした心のすれ違いが父と息子の間に大きな溝を作ってしまったが、新たな絆がまた生まれていくのだろうという期待を持つことができるラストで、ほっとさせられた。そのほかの4編も、味わい深い話になっている。会話の描写も絶妙で、息づかいまで伝わってくるような生々しさを感じた。さまざまな人間ドラマがちりばめられている、読み応えのある作品だった。



| ”に” | 20:06 | comments(0) | ゆこりん |


トライアングル(新津きよみ)

郷田亮二は、20年前に起こった悲惨な事件の影響をまだ引きずっていた・・・。10歳のときに起こった誘拐殺人事件の犠牲者の葛城佐智絵は、彼の初恋の相手だった。医師という職業を捨て刑事になった亮二は、時効後も事件の真相を追い続けるが・・・。

20年前に起こった誘拐殺人事件の犯人はまだ見つからない。時効後も真相を追い続ける亮二。元担任だった藤崎敏子にとっても、この事件は決して忘れることのできないものだった。そして、元のクラスメートたちもそれは同じだった。そんな中で開かれたクラス会で起こった衝撃的なできごと!葛城サチと名乗る葛城佐智絵そっくりの女性が現れたのだ。この女性はいったい何者なのか!?
こういう感じで話が展開していくわけだが、淡々と描かれているといった感じだ。あまりに淡々としすぎていて、ストーリーの盛り上がりに欠けている。根本的な問題として、作者自身が何に重点を置いて書こうとしたのかが分からない。謎解きでもない、人間ドラマでもない、中途半端な印象を受ける。誘拐事件の真相が明かされても、意外性も感じなければ、感動することもない。不満ばかりを抱いて読んだので、読後感もよくなかった。「いまいち」という感じの作品だった。



| ”に” | 17:56 | comments(0) | ゆこりん |


プラチナタウン(楡周平)

大手総合商社で働く鉄郎は、自分を成功者だと自負していた。だが、ひとつの失敗が上司の機嫌を損ね、破滅の道を歩むことに・・・。そんな時、中学時代の同級生熊沢がたずねてきて、鉄郎に故郷緑原町の町長になってくれと頼み込む。緑原町は財政債権団体に転落寸前だった・・・。

商社マンで出世街道まっしぐらだった男が、財政赤字に苦しむ街の町長になった。さまざまなしがらみから、議員削減もままならない。山積みの問題もどうするか?現実にもありそうなことなので、とても興味を持って読んだ。八方ふさがりの状況から、「災い転じて福となる」を地で行くような展開は爽快だ。過疎、地域の高齢化とそれに伴う介護問題、街の財政悪化など、どれも現代社会が抱える問題だ。難しいとは思うが、この作品に描かれているようにそれらを解決できたら、どんなにすばらしいことか。普通の生活を送る。そのことさえも難しい今の世の中にあり、緑原町がとてもうらやましく感じられた。



| ”に” | 19:20 | comments(0) | ゆこりん |


彼女の命日(新津きよみ)

楠木葉子は、帰宅途中何者かに胸を刺されて死亡する。まだ35歳だった。父亡き後、母と妹のめんどうをみてきた彼女には、結婚を考えている恋人もいた。1年後、彼女は他人の体を借りてこの世に戻ってくるが・・・。

毎年命日の日に一日だけ、葉子は他人の体を借りて甦る。自分亡き後、残された家族のことが気にかかるのだが・・・。
葉子は、自分の死の1年後の家族の様子を見て愕然とする思いを味わうことになるが、そのことは仕方のないことだと次第に納得するようになる。かけがえのない人を失う悲しみは深い。けれど、いつまでも悲しんでばかりいられない。葉子にとってはつらいことかもしれないが、それが現実だと思う。だが、変化するのは残された人たちばかりではなかった。葉子自身もだんだんと変化していく。自分や自分の家族より、体を借りている人たちのことを重視するようになる。たった一日体を借りるだけなのだが、その一日が、体を借りた人たちにとって大切でかけがえのない時間だと気づいていく。そして、それに気づいた葉子は・・・。せつなさも感じるが、読後はさわやかさも感じる作品だった。



| ”に” | 17:24 | comments(0) | ゆこりん |


七人の証人(西村京太郎)

十津川警部が拉致された!気がつくと彼は無人島にいた。この島には、1年前に起こった殺人事件の現場周辺の街並みがそっくり再現されていた。そして、事件の証人だった7人もいた!これは、獄中で病死した犯人の父親が仕組んだ計画だった。いったい彼の狙いは?

無実を叫びながら獄中で病死した男。彼が犯人とされたのは、7人の男女の証言によるものだった。だが、犯人の父親佐々木の鋭い追及に、彼らの証言の信憑性はしだいに揺らいでいく。自分の都合のいいように事実を曲げたり、見ていないものを見たと言ったり、聞いていないことを聞いたと言ったり・・・。ひとつひとつは些細なことでも、それらが合わさったときには、一人の男の運命を変えてしまうほどの重大なものとなる。「冤罪」、これほど恐ろしいことはない。十津川ははたして真実にたどりつけるのか?彼が一人一人の証言を厳密に検証し、真相に迫る過程が面白かった。



| ”に” | 16:25 | comments(0) | ゆこりん |


さくら(西加奈子)

父がいて、母がいて、子供たちがいて、そして犬のさくらがいる。平凡だけれど幸せな日々が、少しずつ指の間からこぼれていった・・・。ある家族に起こったせつないできごとを綴った作品。

結論から言うと、私には合わなかった。小説の世界には現実にはありえないことがたくさんある。そのことを充分認識して読んでも、何か違和感を感じずにはいられなかった。日常のさまざまな描写も、思いつくままにダラダラと書いた脈絡のない言葉の羅列としか思えない。とにかく無駄な描写が多すぎて、なめらかに読むことができなかった。家族の人物像の設定もまるでマンガの世界のようだ。読者を感動させようとする作者の気持ちは感じられるが、メリハリのない作品で読後感もいまいちだった。



| ”に” | 16:54 | comments(0) | ゆこりん |


love history(西田俊也)

結婚式前日、過去の思い出の品々を山の中に捨てに行く途中、由希子は事故に遭う。気がつくと、彼女は過去の世界に・・。さまざまな時代のさまざまな恋愛。彼女はそれをひとつひとつたどり始める。

あの時ああしていれば・・・。過去を振り返り、そう思うときは誰にでもあるだろう。しかし、過去はやはり過去なのだ。その時代に戻れたとしても、起こってしまった事実を変えることはできない。いや、できたとしても絶対に変えてはいけないのだ。過去の積み重ねがあるから、今の自分がいる。過去を変えることは、今の自分を否定することになってしまう。だからこそ、私たちは今を、悔いのないように生きていかなくてはならない。



| ”に” | 14:21 | comments(0) | ゆこりん |


異邦人(西澤保彦)

23年前にタイムスリップ!?
そこで出会ったのは何者かに殺害されたはずの父だった。影二は、これから4日後に起こる殺人事件を何とか食い止めようとするが・・・。

過去を後悔することはある。もしもあの時、別の選択をしていたら?人生においてそういうことを思うのは、私ばかりではないと思う。しかし、後戻りできないからこそ、今を大切に生きなければならないのだ。過去を変え、そこからつながる未来をも変えたとき、はたしてそれで満足できるのだろうか?どんなに過去を変えても、後悔しない人生なんてあり得ないと思うのだが。父を殺した犯人が途中で分かってしまい、ちょっと面白みが半減してしまったのが残念だった。



| ”に” | 18:33 | comments(0) | ゆこりん |


母の晩年(丹羽文雄)

母はなぜ幼かった私と姉を捨て、家を飛び出したのか?その真相を理解した時、戻ってきた母と暮らすことを決心するが・・・。年老いた母を描いた表題作「母の晩年」を含む12編の短編を収録。

どの短編も、登場人物の心の動きを細やかに描いている。しかし、かなり以前に書かれたものなので、私としては理解し難いところもあった。この12編の中の3編、「母の晩年」「うなづく」「もとの顔」は作者丹羽文雄の生母を描いたもので、興味深かった。本来なら隠しておきたいことを包み隠さず描こうとする作者は、本当に母のことを愛していたのだ。愛すればこそ、母の全てをほかの人にも、知ってもらいたかったのではないだろうか。これも一つの愛情の形なのだと思う。



| ”に” | 16:04 | comments(0) | ゆこりん |