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ユリゴコロ(沼田まほかる)

突然の母の死により、余命いくばくもない父がひとり家に残された。仕事の都合で父と同居できない亮介は時々父の様子を見に来ていたが、ある日押し入れの中で数冊のノートを見つけた。そこに書かれていたのは、衝撃的なできごとだった!

父がいて母がいて弟がいて、そして自分には結婚したいと思う相手がいる。亮介は、この充実した幸せな生活がこの先もずっと続くと信じていた。だが、予想もしないできごとが次々と彼を襲った。父の病気、母の死、恋人の失踪。さらに、父がひとりで暮らす家の押入れから見つけたノートに書かれた衝撃的な内容!謎めいた手記の描写は圧倒的な迫力だ。ノートに書かれた手記は、亮介が幼い頃母に抱いた違和感と関係があるのか?現実のできごとといつ交錯するのか?謎の答えが知りたくて、一気に読んでしまった。ラストに待っていたのは、驚きの真実だった。まったく予想していなかった。いや、できなかった。ドロドロとした内容の作品だと思いながら読んでいたが、このラストでそういう思いは吹き飛んでしまった。こういう愛の形もあるのか!せつない余韻が残る、感動の作品だった。



| ”ぬ” その他 | 19:05 | comments(0) | ゆこりん |


九月が永遠に続けば(沼田まほかる)

離婚した後、一生懸命息子を育ててきた。だがその息子はゴミを捨てに行ったまま戻らなかった。息子にいったい何があったのか?息子文彦の、佐知子が知らなかった面が明るみに出ようとしていた。

息子の失踪により、息子のまったく知らなかった一面を知る。それは母親にとっては残酷なことかもしれない。自分の腕の中にいると思っていたが、実はすでに手の届かないところに息子はいた。失踪をきっかけにさまざまな事が見えてくる。自分の家庭、離婚した夫の新しい家庭。いろいろなものを巻き込んで、物語は思わぬ方向へ・・・。読み手をのめり込ませる力のある作品だと思う。しかし、失踪の理由や、複雑そうに見えて実際にはそれほど複雑ではない人間関係などに、少々不満が残った。ラストにも意外性がほしかった。



| ”ぬ” その他 | 19:29 | comments(0) | ゆこりん |