さゆり(アーサー・ゴールデン)
2012.03.27 Tuesday
昭和の初め、家の貧しさゆえ千代はわずか9歳で置屋に売られた。父や母から遠く離れ、一緒に売られた姉とも離れ離れになり、彼女はひとり厳しい世界を生き抜いていくことになる・・・。ひとりの女性の数奇な人生を描いた作品。
アメリカ人の男性がこの本を書いたことにかなりびっくりした。戦前の祇園の様子やしきたり、芸妓になるまでのさまざまな手順など、これほどリアルに書くことが出来るものなのか!「これはノンフィクションです。」と言われたら、信じてしまうだろう。それほどリアルだ。
9歳で置屋に売られた千代。花柳界という世界の中で生き残るのは並大抵のことではない。彼女の才覚、運の強さ、彼女を支えてくれた人たち。それらさまざまな要素が、しだいに彼女を大きく成長させていく。「流されるだけではだめだ。おのれの運命はおのれ自身の手で切り開かなければ!」そういう彼女自身の意志の強さも、成功者となるためには不可欠だったと思う。面白く、そしてさまざまな意味で興味深い作品だった。
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