ジェリーフィッシュは凍らない(市川憂人)
2020.07.21 Tuesday
そのふわふわと空に浮かぶ姿が海月(くらげ)に似ていることから、「ジェリーフイッシュ」と呼ばれる飛行船。その新型機のテスト飛行のため、六人のメンバーが乗り込んだ。だが、思わぬアクシデントで山の中腹に不時着する。やがて飛行船は炎上。そして、驚愕の事実が!六人の乗組員全員が殺害されていた・・・。第26回鮎川哲也賞受賞作品。
予想外のトラブルで山の中腹に不時着することになった飛行船だったが、その後炎上。遺体となって発見された乗組員全員が殺害されていた。雪山の中腹。外部から人が飛行船へ侵入することも、内部の人間が脱出することも不可能・・・言わば、密室状態だった。アガサ・クリスティーの作品「そして誰もいなくなった」を彷彿させる。
事件解決のため刑事のマリアとその部下・九条漣が現場に向かう。過去の出来事と現在の出来事が交錯しながら、次第に事件の真実に向かうのだが・・・。
うーん。マリアと九条のキャラクターが魅力的とは言えなかった。特にマリアに対しては、好感が持てない。こんな極端な個性を持たさなくてもよかったのではないかと思う。
また、真実に意外性はあったが、なんだかすっきりしない。作者に見事にだまされた!という爽快感はなく、どこか不自然でもやもやしたものが残る。そこのところが残念だった。
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