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ジェリーフィッシュは凍らない(市川憂人)

そのふわふわと空に浮かぶ姿が海月(くらげ)に似ていることから、「ジェリーフイッシュ」と呼ばれる飛行船。その新型機のテスト飛行のため、六人のメンバーが乗り込んだ。だが、思わぬアクシデントで山の中腹に不時着する。やがて飛行船は炎上。そして、驚愕の事実が!六人の乗組員全員が殺害されていた・・・。第26回鮎川哲也賞受賞作品。

予想外のトラブルで山の中腹に不時着することになった飛行船だったが、その後炎上。遺体となって発見された乗組員全員が殺害されていた。雪山の中腹。外部から人が飛行船へ侵入することも、内部の人間が脱出することも不可能・・・言わば、密室状態だった。アガサ・クリスティーの作品「そして誰もいなくなった」を彷彿させる。
事件解決のため刑事のマリアとその部下・九条漣が現場に向かう。過去の出来事と現在の出来事が交錯しながら、次第に事件の真実に向かうのだが・・・。
うーん。マリアと九条のキャラクターが魅力的とは言えなかった。特にマリアに対しては、好感が持てない。こんな極端な個性を持たさなくてもよかったのではないかと思う。
また、真実に意外性はあったが、なんだかすっきりしない。作者に見事にだまされた!という爽快感はなく、どこか不自然でもやもやしたものが残る。そこのところが残念だった。



| ”い” その他 | 21:23 | comments(0) | ゆこりん |


無私の日本人(磯田道史)

寂れていく宿場町。「このままでは町が危うい!」町の行く末を案じた穀田屋十三郎は、同志とともに命がけの行動を起こす。「穀田屋十三郎」を含む3編を収録。

「穀田屋十三郎」「中根東里」「太田垣蓮月」。この作品の中の3つの話は、どれも実在した人物を取り上げている。
穀田屋十三郎は、寂れゆく町を救うために藩に金を貸し付けてその利子を全住民に配る仕組みを考えた。だが、それは大変なことだった。一歩間違えば、全財産だけではなく自分の命や家族の命が無くなるかもしれないのだ。そういう不安や恐怖と闘いながら、十三郎たちは目的を遂行するために奔走する。そして奇跡が・・・!とても感動的な話だった。
中根東里は、「詩文においては中根にかなうものはない。」と言われるほど詩文の才能に超越していた。だが彼は名声を好まない。むしろひとりの平凡な人間として生きることを望んだ。現代に彼の作品がそれほど多く残されていないのがとても残念だ。
太田垣蓮月の人生は波乱万丈だった。彼女の人生は読めば読むほど切ない。多くの苦しみや悲しみを経験した蓮月は、自分のことよりもまず他人のことを考えた。困っている者には惜しみなく金銭や物を与えた。欲を完全に捨て去った生活は、他の者には絶対にまねのできない生活だ。人はこれほどまでに他人に尽くせるものなのか。彼女の生きざまから、多くのことを学んだ。
こんな立派な日本人がいたとは!この本を読まなければ、おそらくこの先もずっと彼らの存在を知らなかったと思う。この3人に光を当ててくれた作者に感謝したい。この本を多くの人に読んでもらいたい。そして、3人の存在を多くの人に知ってもらいたい。強くそう願う。



| ”い” その他 | 06:51 | comments(0) | ゆこりん |


神の値段(一色さゆり)

人前に決して姿を現さない芸術家・川田無名。彼は唯一、ギャラリーを経営している永井唯子にだけは接触していた。だが、唯子は、数億円の価値がある無名の幻の作品を手の内から出した直後に殺されてしまう。いったい誰が何の目的で唯子の命を奪ったのか?そして、無名が姿を現さない理由とは?「このミステリーがすごい!」大賞 大賞受賞作。

自分には全く縁のないアートの世界。その世界を舞台にしたミステリーは、とても新鮮に感じた。芸術家の作品に価値をつけ、そしてその価値をどんどん高めていく。美術界の光と影の部分が鮮やかに描き出されていて、読み手を引きつける。なかなか面白いと思うが、ミステリー作品としてとらえるとちょっと物足りない部分もある。川田無名の人物像も曖昧なままだ。ミステリーとしてではなく、美術界の明と暗や、その世界に生きている人たちのさまざまな思惑に重点を置いて描いたら、もっと深みのある面白い話になると思うのだが。でも、そういう描き方をすればこのミス大賞にはならなかった? うーん。複雑な思いがする。



| ”い” その他 | 20:28 | comments(0) | ゆこりん |


さようなら、オレンジ(岩城けい)

難民だったサリマが夫とともにやって来たのは、オーストラリアの田舎町だった。だが、夫は逃げ出し、サリマは精肉の加工場で働くことになった。全く読み書きができなかったサリマだが、生きていくために英語を学ぶことを決心する・・・。

右も左も分からない。頼る人もいない。言葉も全く分からない。そんな状況に置かれても、強く生きていけるだろうか・・・。だが、サリマは強かった。ゆっくりだが確実に英語を学び、それと同時に生きる希望も見出していく。サリマの強さは太く頑丈なものではない。細くてしなやかな強さだ。彼女は、困難な状況を受け入れながらも、決して自分の道を見失うことはなかった。「何かを成し遂げる。」それは、大きな感動を伴うものなのだ。
読みやすい文章ではない。読んでいてもぎこちなさを感じたし、感動の伝わり方もスムーズではなかった。けれど、ひとりの人間の生きざまを鮮やかに描き、好感が持てた。



| ”い” その他 | 19:29 | comments(0) | ゆこりん |


わが蒸発始末記(井上ひさし)

1970年代から1990年代までのエッセイ集10冊から選り抜いた、41編を収録。

とにかく面白かった。文章が軽快でテンポがよく、内容もバラエティに富んでいて、気がついたらあっという間に読んでいた。ミステリーならページをめくる手が止まらないということはよくあるが、エッセイでそういう状態になることは珍しい。
才能豊かで、機知に富み、人生の悲哀をきちんと分かっている。そういう作者の人物像が鮮やかに浮かび上がってくる。サラリと書いているようで、実は内容も文章力もすごい!!ずっと積読本の中に埋もれさせていたが、こんな面白い本をなぜもっと早く読まなかったのだろうとつくづく思う。これを機会に他のエッセイ集もぜひ読んでみたいと思う。
井上ひさしさんといえば・・・。
私と同じ世代の人は、「ひょっこりひょうたん島」を思い出すのではないだろうか。放送作家・劇作家としても、才能を持った人だった。



| ”い” その他 | 14:08 | comments(0) | ゆこりん |


セブン(乾くるみ)

女子高の生徒会室に集まった7人の生徒。彼女たちの中のひとりが、トランプの数当てゲームを思いつく。だが、それは単なる数当てゲームではなかった。生きるか死ぬかの、サバイバルゲームだった・・・。「ラッキーセブン」を含む7編を収録。

この作品の中には、数字の「7」にまつわる7つの話が収められている。どれも個性的でよかったが、特に「ラッキーセブン」、「ユニーク・ゲーム」、「TLP49」がよかった。
「ラッキーセブン」は単なる数当てゲームかと思ったが、奥が深かった!彼女たちが互いに裏の裏を読もうとする心理描写は、読んでいてドキドキした。また、やるかやられるか?命をかけたゲームの描写は緊迫感があり、ラストまで目が離せない面白さだった。
「ユニーク・ゲーム」も、命を賭けた勝負だ。生か死か?シリアスなのだが、意外なラストは滑稽でもあった。こちらも、相手の心理を読み取るという点で面白かった。
「TLP49」は、しっかり読まないと頭の中が混乱してしまう。絶体絶命のピンチの後に来たものは・・・。ラストはちょっとでき過ぎの気もするが、ほっとするものでもあった。作者の発想の良さが光る。
その他の作品もなかなかよかった。読後も満足感が残る、面白い作品だと思う。



| ”い” その他 | 17:36 | comments(0) | ゆこりん |


完全なる首長竜の日(乾緑郎)

自殺未遂を起こし意識不明の状態がもう何年も続いている弟浩市。姉の淳美は自殺の理由が知りたくて、開発された医療器具「SCインターフェイス」で浩市とのコンタクトを試みる。だが、そんな淳美の周辺で不可解なことが起こり始める・・・。第9回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。

自分が触れていると思っているものや見えていると思っているものは、果たしてそこに「存在」するのか?いや、「存在」という定義すら疑わしいものに思えてくる。いったい自分自身の何を信じればいいのか?「現実と仮想」、「生と死」、「肉体と精神」、それらのものが入り混じり、読んでいるうちに何が「本当」なのかがよく分からなくなってしまった。ごちゃごちゃし過ぎている。
また、読み始めの段階で、どういう設定なのかが分かってしまった。こういう類の話は以前にも読んだことがあり、決して目新しいものではない。それでも、どういうふうに話を展開させるのか期待しながら読んだのだが、新鮮な感動を感じることはできなかった。ラストも消化不良。この作品で作者が読み手に伝えたかったことは何か?それも見えず、物足りないもやもやとした思いだけが読後に残った。



| ”い” その他 | 20:00 | comments(0) | ゆこりん |


あわせ鏡に飛び込んで(井上夢人)

気の進まないままパーティに出席した城所病院の院長城所優一は、主催者である天沼稔に声をかけられる。城所病院で死んだ妻の死因に疑問を持つ天沼は、言葉巧みに城所をアトリエに誘い真相を聞きだそうとする。だが、城所は決して真実を語ろうとはしなかった。ついに天沼は最後の手段に出た・・・。表題作「あわせ鏡に飛び込んで」を含む10編を収録。

軽いミステリーという感じだが、星新一さんのショートショートのような独特の味わいの話もある。「ノックを待ちながら」の話は、読み手に強烈な余韻を残す。「いったいどうするのだ!?」と叫びたくなる。「あなたをはなさない」では、愛する男と別れたくないという執念にも似た女心の恐ろしさを見せつけられる。「さよならの転送」は、携帯電話がそれほど普及していなかった頃に描かれた話なので今読むとちょっと古臭い感じもするが、アイディアが面白かった。どの話も巧みな展開で、サラリと読める。ラストのまとめ方もすっきりとしていて、読後感も悪くなかった。まあまあ楽しめる作品だと思う。



| ”い” その他 | 17:31 | comments(0) | ゆこりん |


始祖鳥記(飯嶋和一)

飢饉、悪政と、人々の日常の暮らしもままならない世の中にあって、おのれの夢を貫き通した男がいた。幸吉が大空を舞ったとき、人々は理不尽なものに敢然と立ち向かう勇気を持った。
困難を乗り越えようとする人たちの姿を、感動的に描いた作品。

「鳥のように空を飛びたい」純粋にそれだけを願い、試行錯誤を繰り返す幸吉。やがてそのことは、江戸の空に鵺が飛んでいるという噂となって広まる。幕府は、人々に混乱と恐怖を与えたとして幸吉を捕らえてしまう。表具師として真面目に働いているだけならば、何の不自由もなく穏やかに暮らせただろう。しかし彼は、自分の夢を決してあきらめなかった。彼が信念を貫き通そうとする姿は、やがて、悪政に苦しむ人たちに奮起をもたらす。いろいろな人たちが手をたずさえ、長年の悪政を打ち破っていく姿には感動を覚えた。信念を持ち、何ものをも恐れず、あきらめずに困難に立ち向かう強さや勇気が、人が人として生きていくためには必要なのだと強く感じた。「ダラダラと流されるように生きていくだけでは意味がない。人生を鮮やかに生きてみたい。」そういう気持ちにさせてくれる作品だった。オススメです。



| ”い” その他 | 15:43 | comments(0) | ゆこりん |


リピート(乾くるみ)

地震を正確に予告する一本の電話。電話をかけてきた風間という男は、今現在をすでにもう体験しているという。何度でも過去に戻って人生をやり直しできる「リピート」。風間の誘いに応じ「リピート」を体験した者たちの運命は?

ケン・グリムウッドの「リプレイ」とアガサ・クリスティ−の「そして誰もいなくなった」をあわせたような作品ということで期待して読んだが、正直どっちつかずの作品だと思った。この作品でも、リプレイした人間が次々に命を落としていくという衝撃的なことが起こるが、その真相は「こんなものか」と思った程度だった。タイトルは「リピート」だが、その意味「繰り返し」が作品の中であまり生かされていないような気がする。リピートした人たちのその後の描写も、特定の人物だけに限られていて物足りない。「リプレイ」、「そして誰もいなくなった」では、得られたこと感じたことも多々あったのだが・・・。読後、満足感がなかったのは残念!



| ”い” その他 | 16:31 | comments(0) | ゆこりん |