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遠い唇(北村薫)

何十年かぶりに見た学生時代の同人誌。その中にはさまっていたのは、姉のように慕っていた今は亡き先輩から届いたハガキだった。そのハガキに書かれていた暗号めいたアルファベットの文字には、先輩の想いが込められていた・・・。表題作「遠い唇」を含む7編を収録。

学生時代に受け取った時には分からなかったアルファベットの文字の暗号の意味が、何十年もたってから分かった。だが、そこに込められた先輩の想いにようやく気づいた時、先輩はもうこの世の人ではなかった。「遠い唇」は読んでいてとても切なかった。先輩はなぜ自分の想いを直接伝えなかったのか?伝えなかったことを後で悔やむことはなかったのだろうか・・・?哀しい余韻が残る。
「しりとり」も、切ない話だった。命が尽きようとしている夫が、愛する妻に残したしりとりの謎。そこには、あふれんばかりの愛があった。ホロリとする話だった。
「ビスケット」では、「冬のオペラ」という作品に登場した名探偵・巫弓彦と姫宮あゆみが登場する。ふたりにまた会えた!!
何気ない日常の中からきらりと光る謎を紡ぎ出す。作者の独特の感性に彩られた楽しい作品だった。



| 北村 薫 | 17:10 | comments(0) | ゆこりん |


中野のお父さん(北村薫)

定年間際の高校国語教師の父のところに不可解なできごとを持ち込んでくる文芸編集者の娘。ふたりが挑む日常の中の謎とは?8編を収録。

編集部に勤めている美希のまわりで起こるちょっとした謎。その謎が解けないとき、美希は父に助けを求める。娘から頼りにされる美希の父のうれしそうな顔が目に浮かぶ。
8編どれもがなかなか面白い。その中で印象的だったのは、「茶の痕跡」だ。本を愛するがゆえの悲劇を巧みに描いている。「夢の風車」では新人賞の最終選考に残った作品をめぐるミステリーを描いているが、親子の情愛も感じる話だった。「冬の走者」も発想が面白く、ほほえましい動機で好感が持てた。
どれも日常生活の中で起こるちょっとした事件やできごとを題材にしている。短編なのでサラリと読める。でも、サラリと読めるが奥が深い。そこに作者のすごさをあらためて感じる。楽しい作品だと思う。



| 北村 薫 | 20:21 | comments(0) | ゆこりん |


太宰治の辞書(北村薫)

中学生の子どもを持つ身になった”私”。やはり本が好きで、いつも本とつながっている。編集者として働く”私”は、太宰治の創作にまつわる謎を探り始める。太宰には、いったいどんな謎があったのだろう?≪私≫シリーズ。

シリーズ1作目の「空飛ぶ馬」では大学生だった”私”。今では、母であり、バリバリ働く編集者でもある。 今回の作品の中には、日常生活の中で起こるミステリーなどはない。作家が作品を生み出すときの謎に迫っている。私の好きな言葉に「眼光紙背」という言葉がある。「紙の裏まで見通す」という意から、書物の字句の背後にある深い意味をも読みとるということだが、まさにそれを地で行く話だった。
作者自身も太宰治が好きとのことだが、太宰の作品「女学生」創作にまつわる謎を実に丹念に調べている。「こういう個所からこういう考え方ができるのか!」読んでいて驚きの連続だった。すごく残念だが、私にはここまで読み込む力はない。自分の読解力に限界を感じてしまった(涙)。
最初から最後まで興味深いことばかりだった。太宰治は、彼の作品の中で今も生き続けている。そう思わずにはいられない。本好きの人にはたまらない1冊だと思う。けれど、本の中身をそれほど深く追求することに興味がない人にとっては、読んでいて退屈だと感じる部分もあるのではないだろうか?好みが分かれる作品だと思う。


| 北村 薫 | 18:37 | comments(0) | ゆこりん |


月の砂漠をさばさばと(北村薫)

9歳のさきちゃんは、お母さんとふたり暮らし。何気ないけれど、温かく愛情あふれる日常生活がそこにはあった。ほのぼのとした、母と娘の物語。

母と娘。ふたりは寄り添い、信頼し合い生きている。何気ない会話の中には、相手への愛がいっぱい詰まっている。それは、読んでいて泣きたくなるほどだ。みんながこういう親子関係なら、虐待などという悲惨なことが起こらないのに・・・。おだやかに、本当におだやかに時が流れている。その心地よさに、いつまでもいつまでもこの本を読んでいたいと思ってしまう。さきちゃんはこれからどんどん大きくなる。けれど、大人になっても、今持っている心を大切にしてほしいと思う。「お金や高価な物なんかたくさんなくていい。もっと大切なものがこの世の中にはある。」そのことを、いつまでも忘れないでいてほしい。読んでいると心が癒され、和んでいくような感じがする作品だった。イラストも、作品の内容にぴったりでとてもよかった。



| 北村 薫 | 16:26 | comments(0) | ゆこりん |


紙魚家崩壊(北村薫)

ふたりが一緒になることで得た完璧さは、ふたりが別れることで悲劇に変わる・・・。完璧なものを追い求めたために起こる、ある崩壊を描いた表題作「紙魚家崩壊」を含む9編を収録。

この作品の中に収められている話は、どれも独創的で個性的なものばかりだった。「溶けていく」は、自分の作り出した世界に引きずり込まれていく女性の狂気を描いた興味深い話だった。「白い朝」は、日常の中のミステリーと呼ぶほどではない、ほんのささいな謎に隠された真実がほほえましい。「おにぎり、ぎりぎり」では、おにぎりを誰が作ったのかについての推理と現実の微妙なずれに、思わず笑ってしまった。「新釈おぎばなし」は、まさに新釈!「とにかく読んでみてほしい。」そう言わずにはいられない。そのほかの話もなかなか味わいがあった。北村薫という作家の別の一面を垣間見ることができる作品だと思う。



| 北村 薫 | 13:40 | comments(0) | ゆこりん |


水に眠る(北村薫)

会社の同僚に誘われて行ったお店で飲んだ水割りは、不思議な味わいだった。マスターが、「この人になら。」と思ったお客にだけ出す水割りの秘密とは?表題作「水に眠る」を含む10編を収録。

評判がいい短編集ということで読んでみたが、私にはあまり合わない作品だった。中には、「植物採集」のように女心を絶妙に描き面白いと思ったものもあるが、ほかの話は受け入れがたいものがあった。「くらげ」の話は星新一さんのショートショートを思い起こさせるが、星作品のような完成度には到っていないのではないだろうか?「矢が三つ」は一妻多夫のような話だが、作者が何を言いたいのかが伝わってこない。どの話も中途半端な印象が強い。読み手側に響いてくるものがない。いろいろな方がこの作品を絶賛しているが、どうも私には理解できない。今まで読んだ北村作品とはまるで違う。異色だ。これから北村作品を読もうと考えている人は、この作品を最初に読む作品に選ばないほうがいいと思う。



| 北村 薫 | 15:36 | comments(0) | ゆこりん |


冬のオペラ(北村薫)

叔父の会社で働いている姫宮あゆみは、同じビルの中に探偵事務所ができたことを知る。自称名探偵の巫(かんなぎ)弓彦は、仕事がないときはさまざまなアルバイトをしていた。行く先々で彼の姿を見かけ気になっていたあゆみは、ある日思いきって事務所を訪ね、彼の記録者に志願する。巫とあゆみ、ふたりが出会った3つの事件を収録。

あらぬ疑いをかけられた女子大生を救う「三角の水」、蘭の花をめぐる二人の女性を描いた「蘭と韋駄天」、大学構内で起きた殺人事件の謎を解く「冬のオペラ」、この3編どれもが楽しめる話だった。中でも表題作の「冬のオペラ」は心に残る話だった。ふたつめの話に登場した椿雪子が再び登場する。彼女の職場である大学構内で起こった殺人事件は、奇妙で謎に満ちたものだった。巫はひとつひとつ事実を積み重ね、やがて真実にたどりつくのだが、真相と同時にある一人の人間の苦悩をも知ることになる。殺意を抱くほどのひどいできごとがあったのだ。これには同情すべき点もあると思う。だが、巫のひと言が、犯人との間に明確な線を引く。
「わたしは探偵で、あなたは犯人です。」
巫の探偵としての誇りを感じさせる言葉だ。解決した事件の数は限りなく少ないが、巫は心の底から名探偵だった。彼の活躍をもっと読みたいと思う。そして、彼のことをもっと知りたいと思う。作者にぜひ頼みたい。



| 北村 薫 | 21:35 | comments(0) | ゆこりん |


盤上の敵(北村薫)

妻友貴子を人質にして我が家に立てこもった殺人犯。しかも彼は猟銃を持っている。夫である末永純一は、警察には内緒で極秘に犯人と直接交渉する。はたして彼は、無事に妻を救出できるのか?ラストには、驚愕の真実が待っていた!!

この作品を読んだ感想をひとことで言うのなら「衝撃」だろう。本当に、これほど衝撃を受けた作品はあまりない。人質となっている妻をいかに無事に救出するか?孤軍奮闘する純一の妻を思う心には、胸を打たれる。だが、その裏に隠された真実には驚愕させられた。
何の理由もなく、人が人に対し憎悪をむき出しにする。「ただそこに存在する。」そんなことが憎悪の理由になる。こんな恐ろしいことがあるだろうか。「つらい、つらい、つらい。」読み進めるのがつらかった。ある人間の悪意が残酷なできごとを引き起こす。「どうしてここまでするのか?」読んでいて、怒りと同時に恐ろしさを感じる。その人間の残酷さはの象徴は、あとがきで作家の光原百合さんが述べているように、私も「第3部中盤戦第8章」の「蚊」の描写だと思う。状況を直接的に表現するより、この方が何倍も衝撃的だ。
作者がこの作品の冒頭で、「物語によって慰めを得たり、安らかな心を得たいという方には、このお話は不向きです。」と述べていることが、しだいに鋭い痛みを伴った実感となって迫ってくる。
そしてラスト・・・。人の悪意や残酷さと人質事件がどう結びついていくのか?真相が分かったときにはあ然とした。同時に、作品の中に巧みに張りめぐらされていた伏線に気づき驚いた。見事なストーリー展開だった。
はたしてこの後ふたりはどうなっていくのか?決して平坦な人生ではないと思うが、幸せになってほしいと願わずにはいられない。
ミステリーとしても、人間的なドラマとしても、読み応えのある作品だった。オススメです!!



| 北村 薫 | 19:48 | comments(0) | ゆこりん |


鷺と雪(北村薫)

そこにいるはずのない人が写真に写っている!能楽堂で「鷺」を演じた万三郎が、いつもはつけない面をつけていた!作家芥川龍之介の体験したドッペルゲンガーとは?英子とベッキーさんの謎解きの結末は?「鷺と雪」を含む3編を収録。「街の灯」「玻璃の天」に続く、シリーズ3作目。

3編どれもが期待どおりの面白さだった。「鷺と雪」のほかに、突然失踪した華族の男の謎を追う「不在の父」、真夜中に出かける少年の目的を探る「獅子と地下鉄」の話がある。この中で一番心に残ったのは「鷺と雪」だった。さまざまな謎を解き明かす面白さに酔いしれていると、ラストで突然刃を突きつけられるような衝撃に襲われる。英子やベッキーさん、そして彼女らを取り巻く人たちのおだやかな生活が、このままずっと続くかに思われたのだが・・・。残酷な時の流れが、否応なしに人々を飲み込んでいく。暗い時代の幕開けを予感させる終わり方に、ただ呆然とするのみだった。このシリーズがこういう形で終わるとはまったく予想していなかっただけに、強烈な余韻が残る作品となった。



| 北村 薫 | 19:41 | comments(0) | ゆこりん |


街の灯(北村薫)

相模の士族の出である花村家に雇われた新しい運転手は女性だった。別宮みつ子という女性を、英子はひそかにベッキーさんと呼ぶことにした。日常の中で起きる不思議な出来事やささやかな事件。英子とベッキーさん、ふたりの謎解きが始まった。3つの短編を収録。

この作品の中に収められている3つ話どれもが面白かったが、「銀座八丁」の話が特に印象に残った。英子の兄のもとに送られてくる品物に隠された謎解きもよかったし、ベッキーさんの射撃の腕にも驚かされた。女性らしい面も持ち合わせながら、男顔負けの度胸や腕もある。また、かなり才能豊かな人にも感じられる。いったい彼女はどういう素性の人なのか?読み手は、気にせずにはいられない。ベッキーさんの素性は、シリーズ2作目の「玻璃の天」で語られている。そちらもあわせて読むことをオススメしたい。大きな事件は起きないが、謎解きの醍醐味が味わえる作品だった。



| 北村 薫 | 14:21 | comments(0) | ゆこりん |