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西一番街ブラックバイト(石田衣良)

池袋の雑居ビル。その最上階の8階から屋上に通じる外階段から、若い男が飛び降り自殺を図った。彼は、急成長しているOKカレーという飲食チェーン店の従業員だった。無能呼ばわりされ、退職を強要されていた。だが、この企業は、サービス残業、賃金未払い、長時間労働などが問題になっているブラック企業だった・・・。表題作「西一番街ブラックバイト」を含む4編を収録。IWGP(池袋ウエストゲートパーク)シリーズ12。

ブラック企業問題は、現実にも同じようなことがあったので読んでいて胸が痛かった。残念だが、この問題は完全には無くならないと思う。でも、いつかは無くなってほしいと切に願う。
「ユーチューバー@芸術劇場」は、時代の世相を色濃く反映している。再生回数を増やすためにはなんでもやる・・・にはならない。物事には限度というものがある。限度を超えたときに自分の身に降りかかる災難にどう対処すべきか、そのことも充分に考えて行動したほうがよさそうだ。
どの話も興味深く読んだ。時代の流れの中、タカシとマコトはこれからどう生きていくのか?どこへ行こうとしているのか?このシリーズから目が離せない。



| 石田 衣良 | 21:23 | comments(0) | ゆこりん |


憎悪のパレード(石田衣良)

メガホンからの叫び声。「中国人は池袋から出ていけ!」
今回のマコトの仕事は、どういうわけかそんなヘイトスピーチを行うデモの護衛だった。だが、そのヘイトスピーチの裏には、ある恐るべき企みが潜んでいた・・・。IWGPシリーズ11。

果物屋であり、ライターであり、トラブルシューターであるマコトは、Gボーイズのキング・タカシとともに、池袋の街のトラブルを解決していく。今回も、さまざまなトラブルがマコトに持ち込まれる。ヘイトスピーチ、脱法ドラッグ、パチンコ屋のゴト師問題、ノマドワーカーの災難・・・。今の世相を色濃く反映している話もある。これらさまざまなトラブルをマコトたちはどう解決していくのか?いつもながら、その解決方法は読んでいて楽しいし、ワクワクしてくる。中には、「そこまでやるか!」と思うようなものもあるが。
久しぶりにこのシリーズを読むことができてよかった。これからのGボーイズの活躍にも期待したい。



| 石田 衣良 | 21:45 | comments(0) | ゆこりん |


PRIDE(石田衣良)



マコトを訪ねてきたリンが語る暴行事件の話は衝撃的だった。事件から立ち直り、強く生きていく決心をしたリンに惹かれていくマコト・・・。だが、再び魔の手がリンに迫る!マコトはリンを救えるのか?表題作「PRIDE」を含む4編を収録。IWGP(池袋ウエストゲートパーク)シリーズ10。

プライドって、なんだろう?
マコトがそうつぶやいているが、私も同じ疑問を持った。それは、その人自身が何ものにもつぶされることなく輝き、そして生き続けるエネルギーの源なのか?「PRIDE」に出てくるリンの持つプライドは、まさにそういうものだ。どんなにつらいことがあっても、立ち上がり歩き出す。彼女の強さを支えているのがプライドなのだ。そんな彼女に、マコトは好意を抱く。二人のこれからがとても気になる。そのほかの3編、データを盗まれたエリートの男を描く「データBOXの蜘蛛」、弟にケガを負わせた犯人を探す姉を描いた「鬼子母神ランダウン」、30歳を過ぎてもなおアイドルでい続けようとする女性を描いた「北口アイドル・アンダーグラウンド」もよかった。特に「鬼子母神ランダウン」では、タカシの意外な一面を知ることができ興味深かった。マコトやタカシは、このシリーズの中で確実に年を重ねている。彼らの今後がどうなるのか・・・。次回作を楽しみに待ちたい。



| 石田 衣良 | 15:49 | comments(0) | ゆこりん |


5年3組リョウタ組(石田衣良)

中道良太、25歳、5年3組担任。この若き、情熱あふれる教師と生徒たちの触れ合いや、学校生活の中で起こるさまざまな問題を描いた作品。

「情熱のかたまり」そんな言葉がぴったりの中道良太。考えるよりまず行動してしまうタイプだで、まわりの人たちをヒヤッとさせる時もある。だが、どんな困難が待ち受けようと、それを乗り越えていく強さを持っている。彼の純粋な思いは、生徒たちの心にストレートに伝わっていく。実際にこんな先生がいたら、学校生活はきっと楽しいに違いない。テストの結果や受験に振り回される今の子どもたちは、本当にかわいそうだ。学校は勉強をするだけの場所ではない。友情を育んだり、いろいろ楽しいことを経験をする場所でもある。そう思うのはもう時代遅れなのだろうか・・・。そう考えるとちょっと悲しい気持ちになった。



| 石田 衣良 | 17:41 | comments(0) | ゆこりん |


ドラゴン・ティアーズ(石田衣良)

ひとりの少女の失踪が、250人の研修生の強制国外退去という最悪の事態を招くかもしれない。タイムリミットは1週間。少女の捜索に乗り出したマコトだが、中国の貧しい農民の衝撃的な実態を知ることになる・・・。表題作「ドラゴン・ティアーズ」を含む4編を収録。IWGPシリーズ9。

貧しい者、弱い者はいつだって虐げられている。中には、底辺からはい上がることなんて不可能だとあきらめてしまった者さえいる。この作品に登場するそんな人たちに救いの手を差しのべるマコトやGボーイズのメンバーたち・・・。
懸命に生きている女性を食いものにするヤツ、ホームレスたちの弱みに付け込み自分の利益を貪ろうとするヤツ、中国から働きに来た貧しい者たちを利用しようとするヤツ・・・などなど。そんな悪いヤツに制裁を加えるマコトたちは、まさに「池袋の正義の味方」だ。読んでいてやりきれない思いを味わう描写もあるけれど、どこかで救いがあることに安堵する。その一方で、マコトの母の行動力にはとても驚かされた。さすが!マコトの母!!
今回も期待通りの面白さだった。次回作を期待したい。



| 石田 衣良 | 17:13 | comments(0) | ゆこりん |


再生(石田衣良)

妻梨枝子を突然喪ってから2年。康彦は、6歳になる息子耕太と2人で生きてきた。そんなある日、梨枝子の友人だった谷内果歩から連絡が入る。彼女は、梨枝子のメッセージを意外な形で伝えようとする・・・。表題作を含む12編を収録。

「特別なことなど望んでいない。いつもの日常生活を送り、いつものささやかな幸せをかみしめることができればそれでいい。」
そう望んでも、それさえかなわぬことがある。哀しみ、絶望、虚無、喪失感・・・。次々と心を襲うそれらに対しなすすべがなくなったとき、人はいったいどうなってしまうのか?闇の底でひざを抱えうずくまるしかないのか・・・。
作者はそんな人たちに、やわらかでおだやかなまなざしを向ける。ほんのわずかな希望が闇の中でひと筋の光となったとき、彼らは再生の道を歩み始める。その過程は、読み手の心にしっとりとしみてくる。静かな感動をもたらしてくれる作品だった。



| 石田 衣良 | 16:17 | comments(0) | ゆこりん |


非正規レジスタンス(石田衣良)

仕事は派遣の日雇い、住むところもない。そんなサトシが襲われ重傷を負う。背後には、弱者を食い物にする者たちがうごめいていた。マコトやGボーイズが立ち上がった!表題作を含む4編を収録。IWGPシリーズ8。

真面目に生きている者がバカを見る。そんな世の中はあまりにも寂しすぎるが、これが現実なのだと思うとやりきれない気持ちになる。この作品の中に登場する者たちの中にも、そんな人たちがいる。必死に生きている母と息子。その母を自分の利益のために利用しようとするヤツ。せめて人並みな暮らしを!と願う者をつぶそうとするヤツ。弱者を踏み台にしようとする悪いヤツは、数限りなくいる。だが一方で、弱者を守ろうとする人たちがいるのは救いだ。マコトやGボーイズの活躍は、読んでいて小気味よい。今回の作品では、マコトの幼い頃のエピソードもほんの少し描かれていた。意外な過去!?人気シリーズ、今回も期待を裏切らない内容だった。



| 石田 衣良 | 20:02 | comments(0) | ゆこりん |


4TEEN(石田衣良)

ナオト、ダイ、ジュン、テツローの4人は、14歳で中学2年生。
「病気のこと、恋愛のこと、家族のことなど、いろいろ考えることはあるけれど、4人一緒なら何とかなるさ!」
そんな彼らの、喜び、悲しみ、悩み、苦しみを、あざやかに描いた青春小説。直木賞受賞作品。

「未来がきらきら光り輝いて自分たちを待っている。」そんなふうに考えている時期が誰にでもあると思う。14歳の4人の少年たちも、そんなふうに考えているのではないだろうか。ナオトの病気は深刻なものがあるけれど、彼らはくよくよ考えない。常にまっすぐ前を向いて進んで行こうとしている。その姿は、とても純粋で一途だ。今どきこんな中学生は現実にはいないと思うが、この作品を読んでいると、いたらいいなとか、いてほしいと思ってしまう。読みやすく、さわやかさを感じさせる作品だった。



| 石田 衣良 | 15:45 | comments(0) | ゆこりん |


夜を守る(石田衣良)

息子を殺した犯人を捜し続ける老人と出会ったことがきっかけでチームを結成し、アメ横の治安を守ることになった4人組。窃盗団に、薬物中毒の男、消えたダンサーの行方・・・などなど。彼らのもとに持ち込まれる問題は種々様々だ。そしてついに、老人の息子殺しの犯人につながる手がかりが!

この作品を読むと、池袋ウエストゲートパークシリーズ(IWGP)と比較せずにはいられなくなる。同じ類の作品はどうしても比較されてしまう。比較すると、やはりIWGPの方が面白い。そういう意味では、不幸な作品なのかもしれない。登場する4人の個性はとてもよく描かれている。趣味も考え方も性格もまったく違う4人が発揮する見事なチームワークは、読んでいて楽しい。けれど、起こるできごとは新鮮味がなくいまいちという感じだった。ワクワク感や緊迫感、新鮮な驚きを読み手は求めているのだが、それが最後まで満たされず、読後もすっきりしないのが残念だった。



| 石田 衣良 | 15:50 | comments(0) | ゆこりん |


赤(ルージュ)・黒(ノワール)(石田衣良)

村瀬という男に誘われて、カジノバーの裏の売り上げを強奪するメンバーに加わった小峰。だが、一人の男が裏切り村瀬は死んだ。小峰にも、裏社会の容赦ない制裁が・・・。小峰は自分の命をかけて、裏切った男を捜し始める。池袋ウェストゲートパーク外伝。

「マコトの登場しないIWGPなんて。」と思ったが、テンポのある面白い内容だった。期限内に、裏切った男と奪われた金を探し出さなければならない。池袋を駆け回る小峰。そして行動を共にするおなじみのサル。その緊迫感がたまらない。追うものと追われるもの。どちらも生きることに必死だ。運だけでは乗り切れない。最後におのれの運命を決めるのは、やはりおのれ自身だ。「赤と黒」どちらを選ぶのか?作者の憎いまでの演出が光る。読後も爽快♪楽しめる作品だった。



| 石田 衣良 | 16:04 | comments(0) | ゆこりん |