不死鳥少年(石田衣良)
2021.06.05 Saturday
アメリカ人の父と日本人の母を持つ少年タケシ。
父と父親似の姉はアメリカに、見た目が日本人のタケシと母は日本へ。戦争は家族を引き裂いた。そして、1945年3月10日、東京大空襲が!タケシの、大切な家族を守りたいと思う気持ちがある奇跡を起こした・・・。
茶色い目以外は髪が黒いので日本人のようだった。だが、その茶色い目のために、タケシはいじめに遭う。「クラスメイトと何とか心を通わせたい。」そのタケシの願いがようやく叶ったかに見えた時、残酷な運命が待ち受けていた。東京大空襲だ。雨のように降り注ぐ焼夷弾のため、タケシの住む本所地区は、住民の半数が亡くなり、九割を超える家屋が焼失した。いつ死んでもおかしくない状況の中、タケシの家族は誰一人欠けることなく難を逃れた。それは、家族を救いたいと思うタケシの強い願いが起こした奇跡だった。「よかった!」読んでいてそう思ったのだが・・・。読後は切なさが残った。
「東京大空襲を記録として残したい。」そういう作者の思いがしっかりと伝わってくる。平和の大切さを改めて感じた。読み応えがあり、心に強く残る作品だった。
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