おもかげ(浅田次郎)
2018.08.21 Tuesday
定年の日を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りの地下鉄の中で突然倒れた。意識不明になり集中治療室で生死の境をさまよう日々が続く。だが、彼の体は全く動かないが、彼自身は目も見えるし耳も聞こえる。やがて彼は、体をベットの上に残したまま、さまざまな場所やさまざまな年代へと飛び立った・・・。
意識不明の重体のはずなのに、竹脇正一はさまざまな場所でいろいろな人に出会う。時には、時間を超越することもある。就職したばかりの頃、大学生だった頃、子供の頃・・・。ほろ苦い思い出もよみがえる。そして、彼がいちばん知りたかった母や自分の出自のことを知る日が・・・。
後悔のない人生なんてない。だが、悔やんでも悔やんでも元には戻らない。やり直しはできないのだ。できるのは、その後悔を未来への糧とすることだ。だが、竹脇正一に未来はあるのか・・・?
読んでいてとても切なかった。「生きてほしい。」ただそれだけを願って読み進めた。ラストはホロリとした。感動的な話だったが、同じような描写が続きうんざりする部分があった。もう少しすっきりと分かりやすくまとめられていたらよかったと思う。
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