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おもかげ(浅田次郎)

定年の日を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りの地下鉄の中で突然倒れた。意識不明になり集中治療室で生死の境をさまよう日々が続く。だが、彼の体は全く動かないが、彼自身は目も見えるし耳も聞こえる。やがて彼は、体をベットの上に残したまま、さまざまな場所やさまざまな年代へと飛び立った・・・。

意識不明の重体のはずなのに、竹脇正一はさまざまな場所でいろいろな人に出会う。時には、時間を超越することもある。就職したばかりの頃、大学生だった頃、子供の頃・・・。ほろ苦い思い出もよみがえる。そして、彼がいちばん知りたかった母や自分の出自のことを知る日が・・・。
後悔のない人生なんてない。だが、悔やんでも悔やんでも元には戻らない。やり直しはできないのだ。できるのは、その後悔を未来への糧とすることだ。だが、竹脇正一に未来はあるのか・・・?
読んでいてとても切なかった。「生きてほしい。」ただそれだけを願って読み進めた。ラストはホロリとした。感動的な話だったが、同じような描写が続きうんざりする部分があった。もう少しすっきりと分かりやすくまとめられていたらよかったと思う。



| 浅田 次郎 | 23:35 | comments(0) | ゆこりん |


帰郷(浅田次郎)

戦争はさまざまな人の運命を変えた。その運命を変えられた者たちの切ない物語6編を収録。

戦地で地獄を見た者、帰る家をなくした帰還兵、父が戦死して人生が変わった若者、自分の命の火が消えるのを受けいれなければならない兵隊。戦争の悲劇はさまざまな形で人に降りかかる。人は抗うこともできずにただ翻弄されるばかりだ。人は何のために戦争をする?争いからは、悲しみや憎しみしか生まれない。そのことに気づかないのだろうか。
戦争の悲惨さ、平和の大切さを、作者は6編を通して切々と訴えている。この世から争いが無くなる日が来るのだろうか?たとえ無理だとしても、そういう日が来ることを願わずにはいられない。



| 浅田 次郎 | 22:24 | comments(0) | ゆこりん |


わが心のジェニファー(浅田次郎)

愛するジェニファーがラリーとの結婚を承諾する条件は、「ラリーが日本へ行く。」ということだった。ニューヨーク育ちのラリーは、日本へのひとり旅に出発するが・・・。

日本びいきのジェニファー。それと正反対の日本嫌いのラリーの祖父。祖父が日本嫌いなのは、太平洋戦争を経験したためだというのだが・・・。
ともあれ、ラリーは自分自身の目で日本がどんな国なのかを確かめることになった。ラリーの目から見た日本の様子の描写は面白い。普段当たり前だと思っていることは、実は当たり前のことではない。そういうことに気づかされる。また、日本のよさも再認識した。
けれど、全体的なストーリーはそれほど面白さがなかった。内容に深みがない。軽薄な感じさえする。ラリーの行動も共感できなく、とても感情移入できるような主人公ではなかった。ラリーの生い立ちや祖父の日本嫌いの理由も途中で気づいてしまった。設定が安易すぎないか?本の帯の「感涙の結末とは!」はオーバーすぎる。この帯を見て本を買った人は絶対に裏切られたと思うだろう。「浅田文学、最高の到達点」というのも嘘だ。やめてほしい。浅田作品ということで期待したのだが、それほどでもないのがすごく残念だった。



| 浅田 次郎 | 21:43 | comments(0) | ゆこりん |


姫椿(浅田次郎)

事業が行き詰まり死を決意した高木が訪れたのは、20数年前に妻と過ごした懐かしい場所だった。赤い姫椿の花の記憶が、彼に生きる希望を与えた・・・。表題作「姫椿」を含む8編を収録。

ちょっと不思議な話から日常生活の中によくありそうな話まで、実にさまざまな話がちりばめられている・・・。そんな印象だった。どの話にも、傷つき苦悩する人たちが描かれている。特に印象に残ったのは「懈(シエ)」だ。飼い主の鈴子が不幸の涙を流さなくなったときの懈の想いが、とても切なかった。「マダムの喉仏」も、ある人間の凄まじい人生を描いていて衝撃を受けた。絶妙な人間ドラマが繰り広げられ、まあまあ楽しめる作品だと思う。



| 浅田 次郎 | 19:18 | comments(0) | ゆこりん |


日輪の遺産(浅田次郎)

競馬場で知り合った老人から死の間際に渡された手帳。そこには驚くべきできごとが書かれていた。終戦直前に、時価200兆円という途方もない財宝が隠された!丹羽は、50年前の真相を見極めようとするが・・・。

死んだ老人の名は真柴司郎といった。終戦直前の1945年8月10日、26歳の彼は極秘の命令を受ける。
「900億(今の金額にして200兆円)の金とプラチナのインゴットを祖国再興のために隠す。」
それは、おのれの命を懸けてでもやり抜かなければならない任務だった。終戦直前の混乱期、人々の思惑が渦巻く中、彼は任務を黙々と遂行する。だが、財宝の秘密を守るため、作業に当たった10代半ばの少女たちの始末を命ぜられたとき、彼は激しく苦悩する。そして、50年前の真柴の苦悩を手帳から知る丹羽。少女たちの運命は?隠された財宝はどうなったのか?過去と現在が織り成す物語は、構成力が抜群だった。国家の再建をひたすら願った真柴らに、救いはあったのだろうか?考えれば考えるほど、切なさが増すばかりだった。



| 浅田 次郎 | 17:54 | comments(0) | ゆこりん |


昭和俠盗伝(浅田次郎)

昭和の初め、日に日に戦争色が濃くなっていく中、ついに寅弥が我が子のようにかわいがっていた勲に召集令状が届いた。戦争に突っ走ろうとする日本の国に対し、批判を込めて松蔵たちはある企みを計画した・・・。表題作を含む5編を収録。「天切り松 闇がたり」シリーズ4。

義理や人情を重んじ生きてきた松蔵たちだったが、時代が昭和になり日に日に戦争が暗い影を落とすようになる。寅弥や勲のためにどえらいものを盗もうとする松蔵たちを描く「昭和俠盗伝」、永田少将を斬殺した相沢中佐を描く「日輪の刺客」「惜別の譜」、愛新覚羅溥傑と浩を描いた「王妃のワルツ」は、人々の悲哀がにじみ出ていて、とても切なかった。狂気の時代へと突入する日本・・・。これから、安吉は?寅弥は?栄治は?常次郎は?おこんは?もっともっと松蔵に語ってもらいたいと思った。



| 浅田 次郎 | 14:33 | comments(0) | ゆこりん |


初湯千両(浅田次郎)

二百三高地の激しい戦いの中、生き抜いた寅弥。心に傷を抱える彼が、大晦日の夜に銭湯で一人の少年に出会った。父親をシベリアの戦いで亡くし、母と二人暮しのイサオ。寅弥はその親子の面倒をみようとするが・・・。表題作を含む6編を収録。「天切り松 闇がたり」シリーズ3。

貧しい暮らしをしている母と子の力になろうとする寅弥を描いた「初湯千両」、鮮やかな詐欺の手口を披露する常兄ィを描いた「共犯者」、おこんと竹久夢二のふれあいを描いた「宵待ち草」、一人の女のために楠木正成の太刀を一時的に拝借しようとする栄治の話「大楠公の太刀」、道化師の父親を持つ仁太と少年の日の松蔵の物語「道化の恋文」、松蔵が、持つはずのない二つ盃を持つことになったいきさつを描いた「銀次蔭盃」、どの話も読み応えがあった。一番印象に残ったのは「道化の恋文」だった。貧しさや自分の境遇から抜け出すのが困難な時代、はたして少年の夢は叶うのか?安吉一家に登場する男たちのかっこよさだけを描かず、その当時の切なさも見事に描いている。松蔵は、次はどんな話を聞かせてくれるのか?とても楽しみだ。



| 浅田 次郎 | 19:18 | comments(0) | ゆこりん |


残俠(浅田次郎)

松蔵は寅兄ィと二人初詣にやってきた。そこで、あざやかな長刀使いの老人に出会う。その老人はただ者ではなかった。彼の名は山本政五郎・・・。死んだと言われてきた清水次郎長の子分、小政だった!!表題作を含む8編を収録。「天切り松 闇がたり」シリーズ2。

夜盗の声音「闇がたり」で語る不思議な老人松蔵の話は、多くの人をひきつける。小政の、一宿一飯の義理を通そうとする姿、目細の安吉の鮮やかな中抜き、嘘を語らせたら天下一品の常兄ィの恋、おこんを慕う軍人、そして松蔵と初菊のひととき、松蔵の父の死。どの話も、義理と人情にあふれていて心にしみる。そして、登場する安吉一家の男たちの一本筋が通った生き方も、読んでいて小気味よい。ただ、話の内容があまりにも現実離れしてるのが少々気になる。楽しめる作品だとは思うが。



| 浅田 次郎 | 19:52 | comments(0) | ゆこりん |


闇の花道(浅田次郎)

一人の老人が雑居房にやってきた。その老人は六尺四方にしか聞こえないという不思議な語り口・・・「闇がたり」で、若かしり頃のできごとを語り始めた。聞く者全てをとりこにするその話とは?「天切り松 闇がたり」シリーズ1。

夜盗の声音「闇がたり」で語られるのは、不思議な老人松蔵のはるか昔の物語。母を病気で失った後、父により姉は遊郭に売られ、おのれ自身は盗賊の親分に弟子入りさせられた。だがこの盗人集団には、義理も人情もある。ぴしっと1本筋も通っている。その潔い生き方には、ほれぼれとさせらる。安吉、おこん、栄治、寅弥、常次郎、どの人物も魅力的だ。そして人の心の痛みが分かる情け深い人たちだ。松蔵と彼らの間にある信頼関係は、読んでいてほのぼのとしたものを感じさせる。彼らは、松蔵の姉のためにも一肌脱ぐ。ラストの、松蔵に背負われた姉の描写は、胸に迫るものがあった。浅田次郎らしい作品だと思う。



| 浅田 次郎 | 18:24 | comments(0) | ゆこりん |


五郎治殿御始末(浅田次郎)

江戸時代から明治時代へ。激動の時代の流れの中、孫と二人で生きる五郎冶。生きることも死ぬこともままならない状況の中、五郎冶はついに孫とともに死ぬことを決意するが・・・。表題作を含む6編を収録。

明治維新。この言葉の裏に、さまざまな悲劇が隠されていた。時代の流れに乗ることのできない人たちの苦悩や悲しみが切々と描かれていて、読んでいてほろりとくるものもあった。中でも「柘榴坂の仇討」は、どうしても過去を断ち切れない元武士の心の苦悩がよく描かれていて、一番印象深かった。どうすれば未来へ目を向けられるのか?男たちの慟哭が聞こえてきそうだった。時代が変わるということは大変なことなのだ。そのことをあらためて感じる作品だった。



| 浅田 次郎 | 18:33 | comments(0) | ゆこりん |