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花のあと(藤沢周平)

決して美貌とは言えないが、剣にかけてはめっぽう強い以登。そんな以登には、ひそかに心を寄せる人がいた。だが、その想い人に予期せぬ災難が降りかかる!以登のとった行動は?表題作「花のあと」を含む8編を収録。

「花のあと」では以登の行動力に驚き、「鬼ごっこ」では吉兵衛のかっこよさに惚れ惚れとし、「雪間草」では変わらずに相手を慕う女心にホロリとし、「寒い灯」ではおせんの心根にほほえましいものを感じ、「疑惑」では女の怖ろしさをまざまざと見せつけられ、「冬の日」では清次郎のやさしさに感動し、「悪癖」では緊迫感と笑いの絶妙さに感心した。また、「旅の誘い」では安藤広重を作者独自の視線で描き、異色性を感じた。どの話もしっとりとした味わい深いものばかりで、楽しめる作品だと思う。



| 藤沢 周平 | 17:52 | comments(0) | ゆこりん |


本所しぐれ町物語(藤沢周平)

菊田屋の新藏の弟半次が、10数年ぶりに帰ってきた。突然江戸から姿を消した半次に、いったい何があったのか?また、なぜ帰ってきたのか?喜びと戸惑いの中、新藏は半次を迎え入れるのだが・・・。「鼬の道」を含む12編を収録。

江戸の本所しぐれ町に住む人々の日常生活を、実に細やかに描いている。そこに暮らす人たちの喜怒哀楽は、今の私たちにも通じるものがある。また、登場人物も個性豊かに描かれていて、読んでいて表情が目に浮かぶようだ。本所しぐれ町に生きる人たちは、時には主人公的に、時には脇役的に描かれていて、12編全てを読むと彼らが立体的に見えてくる。その作者の構成力にも感心させられた。切ない話もあるけれど、心の中にぽっと火を灯してくれる、そんな話が多かった。のんびりとゆったりと、心穏やかに読める作品だった。



| 藤沢 周平 | 18:30 | comments(0) | ゆこりん |


人間の檻 獄医立花登手控え4(藤沢周平)

「明日、ご赦免になったら先生を狙うぜ。」
そういった男の正体は?登をうらむ理由とは?過去の因縁と、登の旅立ちを描いた「別れゆく季節」を含む6編を収録。獄医立花登手控えシリーズ4。

今回のどの話も今までの作品同様、人間の心を興味深く描き出している。その中で特に、過去の罪が何十年もたってから思わぬ形で現れる怖さを描いた「戻ってきた罪」、自分を慕ってくれる男の心を利用し罪まで犯させた女を描いた「女の部屋」などが印象的だった。人の心は強くもあり弱くもあり。
さて、どうなることかと思った登とおちえの関係も、明るい未来を予測させる形で終わった。読者の欲を言わせてもらえば、もう少しこの先が読みたかった。登がどう成長していくのか?おちえや叔父、叔母とのこれからの関係は?楽しみながら読んできた獄医立花登手控えシリーズだが、これで終わりかと思うと少々残念な気がする。



| 藤沢 周平 | 16:14 | comments(0) | ゆこりん |


愛憎の檻 獄医立花登手控え3(藤沢周平)

娘の命を救ってくれたお礼にと、登に情報提供した男が牢の中で殺された。その情報とは、一家七人を皆殺しにして金を奪った黒雲の銀次に関するものだった。誰が殺したのか?登が怪しいとにらんだ男の女房は、いとこのおちえの友だちのおあき!登はどう解決するのか?「奈落のあおき」を含む6編の作品を収録。獄医立花登手控えシリーズ3。

人の善意を利用しようとするしたたかな女の話、情報提供した男をあっさりと始末する冷酷な男の話、自分の素性を隠すために関係のない者の命を奪う男の話、親切そうな態度の裏に恐ろしい心を隠し持つ男の話など、どの話もやりきれない思いがした。だが、どの話にも悲劇を乗り越えて前向きに生きていこうとする人たちの姿も描かれていて、救われる思いもした。まさにタイトルどおりの、愛憎が織りなす物語ばかりだ。最初から最後まで、飽きることなく楽しめる作品だと思う。読後も満足♪



| 藤沢 周平 | 14:22 | comments(0) | ゆこりん |


風雪の檻 獄医立花登手控え2(藤沢周平)

登の友人でもあり柔術仲間でもある新谷弥助が姿を消した。行方を追う登だが、弥助には容易に会うことができなかった。だが登は、思いがけない場所で弥助と対峙することになる。悪事をはたらく者たちの背後に、弥助はいた!獄医立花登手控えシリーズ2。

今回は、姿を消した弥助の消息と絡み合わせる形で物語が進んでいった。前作同様、さまざまな人間ドラマが繰り広げられる。作者の、人の悲哀の描写には、読んでいてぐいぐい惹きつけられた。
この本の中には5編の短編が収録されているが、一番印象に残ったのは「処刑の日」だ。限られた時間の中、真の下手人を追う登たちの緊迫した状況の描写がすばらしかった。また、登と、叔父、叔母、ちえとの関係の微妙な変化も楽しい。特に、登とちえの関係がこれからどうなっていくのかがとても気になる。
時代劇が苦手という人でも、読みやすいので楽しめる作品だと思う。読後の余韻も心地よかった。



| 藤沢 周平 | 14:52 | comments(0) | ゆこりん |


春秋の檻 獄医立花登手控え1(藤沢周平)

「叔父のような立派な医者になりたい。」
努力の末、彼は願いどおり医者になり、叔父を頼って江戸に来た。そこで彼が目にしたのは、叔母の尻の下に敷かれている叔父の姿だった。だんだん横着になっていく叔父の代わりに獄医として働くようになった登だが、そこで彼はさまざまな人のさまざまな人生を見ることになる。獄医立花登手控えシリーズ1。

ふがいない叔父、登を下男同様に扱う気の強い叔母、驕慢ないとこのおちえ。そんな環境の中、登は獄医として勤め、医者としても人間としても成長していく。この作品の中にはさまざまな人間模様が織り込まれ、中には胸が痛くなるような話もあるが、作者はどの人物にも暖かなまなざしを向けながら描いている。切ないだけでは終わらない。どこかに、ほんの少しだけでも救いを見出すことができてほっとする。読んでいると、心がほのぼのとしたものに包まれていくようだ。「人はどこかで支えあって生きている。」そういうことも感じさせてくれる。ふんわりとやさしい気持ちになれる作品だった。



| 藤沢 周平 | 15:55 | comments(0) | ゆこりん |


隠し剣秋風抄(藤沢周平)

藩主のための毒見をしたとき、三村新之丞は毒にあたり失明した。上司である島村藤弥に家名存続を頼みにいった妻の加世は、代償を求められる。それを知った新之丞は「武士の一分」のため、島村に果し合いを申し込むが・・・。「盲目剣谺返し」を含む9編を収録。

藩のため、愛する者のため、そしておのれのプライドのため、人を切るにはそれなりの理由があった。日常の様子からは想像もできぬほどの剣の腕。この作品に登場するのはそういう武士ばかりだ。だが、どんな理由があるにせよ、人を切り殺すことに変わりはない。その悲哀さも含め、人の心の揺れ動くさまを作者はじっくりと描いている。いつの世も、生きることには悩みがある。すっきりしたラストばかりではないけれど、心に余韻を残す作品だった。



| 藤沢 周平 | 18:37 | comments(0) | ゆこりん |


蝉しぐれ(藤沢周平)

牧文四郎。彼の父親は藩主の跡取り問題に巻き込まれ、無念の最期を遂げる。その後の厳しい処分。逆境にも負けず、ひたすら剣の稽古を続けておのれを鍛え、家を守り抜く文四郎。彼の成長していく姿をさわやかに描いた作品。

どちらかというと、時代物の小説は苦手な方だ。しかしこの作品は、最初から最後まで、飽きることなく楽しめた。やさしく誠実な心と凄腕の剣、そして揺るぎない信念。文四郎はとても魅力のある人物だ。淡い恋、友情、剣のライバル。そして藩内の勢力抗争。様々な出来事にぶつかりながら、何とかそれを乗り越え、文四郎は成長していく。人は苦労するほど、悩むほど人間として大きく成長する。彼の成長を見続けることが出来たのは、読者冥利に尽きる。爽快感が残る、とてもいい作品だった。



| 藤沢 周平 | 09:53 | comments(0) | ゆこりん |


たそがれ清兵衛(藤沢周平)

お城でのお勤めが終わると、労咳の妻を介護するためにさっさと帰ってしまう。人は彼を「たそがれ清兵衛」と呼んだ。その彼が藩内の抗争に巻き込まれた・・・。表題作「たそがれ清兵衛」を含む8編の短編を収録。

この作品の中に登場するどの人物も、普段は陰口をたたかれたり、あざ笑われたりする、うだつの上がらない人物だ。しかし、剣の腕前は抜群だ。ひとたび剣をかまえると、人柄は一変する。さながらスーパーマンというところか。お役目のために剣をふるい、それが終わるとまたいつもの生活に戻り、他人に侮られたりしている。そのギャップの面白さがよく出ている。どの作品にも人を斬る場面が出てくるが、決して残酷には描かれていない。そのことも、ほのぼのとした気持ちで読める一因かもしれない。



| 藤沢 周平 | 10:45 | comments(0) | ゆこりん |