花のあと(藤沢周平)
2010.07.02 Friday
決して美貌とは言えないが、剣にかけてはめっぽう強い以登。そんな以登には、ひそかに心を寄せる人がいた。だが、その想い人に予期せぬ災難が降りかかる!以登のとった行動は?表題作「花のあと」を含む8編を収録。
「花のあと」では以登の行動力に驚き、「鬼ごっこ」では吉兵衛のかっこよさに惚れ惚れとし、「雪間草」では変わらずに相手を慕う女心にホロリとし、「寒い灯」ではおせんの心根にほほえましいものを感じ、「疑惑」では女の怖ろしさをまざまざと見せつけられ、「冬の日」では清次郎のやさしさに感動し、「悪癖」では緊迫感と笑いの絶妙さに感心した。また、「旅の誘い」では安藤広重を作者独自の視線で描き、異色性を感じた。どの話もしっとりとした味わい深いものばかりで、楽しめる作品だと思う。
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