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母の晩年(丹羽文雄)

母はなぜ幼かった私と姉を捨て、家を飛び出したのか?その真相を理解した時、戻ってきた母と暮らすことを決心するが・・・。年老いた母を描いた表題作「母の晩年」を含む12編の短編を収録。

どの短編も、登場人物の心の動きを細やかに描いている。しかし、かなり以前に書かれたものなので、私としては理解し難いところもあった。この12編の中の3編、「母の晩年」「うなづく」「もとの顔」は作者丹羽文雄の生母を描いたもので、興味深かった。本来なら隠しておきたいことを包み隠さず描こうとする作者は、本当に母のことを愛していたのだ。愛すればこそ、母の全てをほかの人にも、知ってもらいたかったのではないだろうか。これも一つの愛情の形なのだと思う。



| ”に” | 16:04 | comments(0) | ゆこりん |