
2018.01.05 Friday
神山市主催の合唱祭。その本番直前に千反田えるがいなくなった。彼女はソロで歌うことになっていた。なぜ彼女は姿を消したのか?折木奉太郎が見つけた真実とは?表題作を含む6編を収録。古典部シリーズ6。
表題作「いまさら翼といわれても」では、行方不明の千反田えるに焦点が当てられている。さまざまな状況や彼女に関わる人たちの証言から、奉太郎は彼女の居場所を推理する。彼女が姿を消した理由・・・覚悟を決めて進もうとした道が確かな道ではなくなったとしたら?女子高生の揺れ動く気持ちを巧みに表現した話だった。
奉太郎のモットー「やらなくてもいいことなら、やらない」はどこから来たのか?それが分かる「長い休日」は、なかなか興味深かった。気づいてしまったら気づかないときには戻れないのだ。奉太郎、ドンマイ!
「箱の中の欠落」も個人的には好きな作品だ。思いこみが予想外の錯覚につながる。そういうことは現実にもあり得ると思う。面白かった。
「鏡には映らない」も傑作だった。ある事実に気づいた奉太郎が取った行動は爽快だ。理由を言わないところが奉太郎らしい。
6編どれも、とてもよくできている話だと思う。読んでいて感心させられる部分も多かった。読みごたえのある面白い作品だと思う。
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